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8.知らないことを知る

名画座支配人の大澤です。

今、ある女性との出会いから始まったコミュニケーションについての対話を元にドリルを作成中ですが、最近は集中力が減退しているせいか、執筆の方はカメのような歩みです。

集中力不足の時、私は映画を観ることにしていますが(それが仕事なんですけれどもね)、あまり観たことのなかったロシア映画を最近立て続けに2本観たのでそのことを少しお話ししてみたいと思います。

その映画は「スターリンの葬送狂騒曲」「戦火のナージャ」です。両方とも第二次世界大戦勃発の何年か前から戦後の何年間にわたる時代の物語です。この2本の映画は私に強烈に襲いかかり、観た後に呆然とするほどの印象を与えてくれました。それはスターリンの狂気とも言える弾圧と粛清です。極度の人間不信から自分にとって不要と思った人物をこの世から抹殺してきたスターリンの存在は知っていましたが、彼が実際に行ってきた詳しい内容について、私はそれほど知識を持っていませんでした。もちろん映画ですから虚構や過大描写もあります。しかし、それを差し引いてもその異常さはかなりのショックを私に与えました。

そしてもっと私を最も驚かせたのはスターリンの周りにいる人物たち、と言っても側近たちだけでなく当時の旧ソビエト国民全体のスターリンに対する忖度、へつらい、そして恐怖によって引き起こされた他者への猜疑心です。それはただ観ていて心が痛むというよりも集団に属する者がいつでも陥ってしまいそうな狂気に対する恐怖でした。

人は誰でも組織や集団に属しています。もちろん家族と言う集団も含めてです。その組織や集団の中に一人でも狂気を秘めた人物がいれば排除されてしまうこともありますが、私が観た映画のように一国を巻き込んで壮絶な状況を作り出す可能性があると言うことに驚愕したわけですです。そしてそういう状態において自分が映画の中に出てきた人物たちと同じ行動をするかもしれないと言う恐ろしさを感じました。

私は会社勤めをしていた時、比較的経営サイドに接する機会が多かったので映画の中のスターリンとは比較にならないほど平和的ではありましたが組織や集団の持つパワー(ある意味個人にとってはネガティブな)と言うものを見てきました。そしてそのパワーは人々を巻き込み、時にはプラス、そしてある時はマイナスに働くことを実感として知っています。今は名画座支配人として一人で仕事をしていますのでそういったとことを感じることもなく生活していますが、今回映画を観て改めて組織、集団の持つパワーを思い出したのです。

映画と言うとアメリカ映画、または邦画を観る機会が圧倒的に多いですが、他の国で作製された映画を観て、知らないことを知ることも大事なことだと感じました。例えば紛争を経験した、または経験している国のことについて、そこに住む人々たちの生活や感じていることを知るには現場に行かなければいけないのですが、なかなかそうもいきません。もちろん映画で描写されることがすべて正しいわけではありませんが、知らないことを少しでも知ることを映画を通して体験できればいいなと思いました。

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