【ブリッジ】特殊なオークションのスラムに対するオープニングリードを考える【柳谷杯2日目②】

夏来るの早すぎ。KKTです。


柳谷杯2日目の午後を振り返っていきます。パートナーは引き続き日本リーグのパートナー。セッション開始前時点で5位で優勝は遠かったので入賞を目標に、次の日本リーグに繋がるようなブリッジができれば良いなと考えてました。


午後

競り合いでマージナルハンドの捌き方

あなたはサウス

#16 they vul 4th

K7
62
KJ963
A754

(P)-1C-(P)-1D;
(2D)-X-(2H)-?

2D=Both M

アクションはどうしますか?













テーブルで考えたのは、

・パートナーのダブルは取り決め無いが、少なくとも片方のメジャーに対してPENしたいような手か、ハイカードに余力があるバランスハンド傾向の手が多そう。
・自分の手はマイナーに9枚あってオフェンシブ寄り。ハイカードも11HCPあるので結構強い。2Hをパスするには勿体ない。
・2Hへのダブルはペナルティになるからできない。
・ビッドは2Sか3Cの二択だが、3Cの方が良さそう。ダイヤとクラブを持っていることを示せるし、自発的な3Cだからある程度バリューも示せる。2Sだとハイカードポイントしか示せないのがイマイチ。

3Cをビッドして後はパートナーにお任せすることにした。








実際の展開は、

(P)-1C-(P)-1D;
(2D)-X-(2H)-3C;
(P)-3NT///

パートナーの3NTになって、ハートリードからあっという間に6メイク。


終わった後パートナーにビッドを聞いてみると「3CってNFじゃないの?2Dへのダブルはバリュー示してるから2Sでフォーシングした方が良いと思いますが。」とコメント。

言われてみればたしかに、サウスのハンドはゲームフォースバリューがありました。AQxx AQxx xx xxxみたいな手で2Dをダブルすることは少なそうで、実際のノースの手のようなハイカードの多いバランスハンドが多いです。

ノースのハイカードに余力があるとすればサウスはゲームを探したいです。なのでサウスは2Sでハイカードをまず示して、3NTか5mを目指すのが良かったです。2Sでハイカードを主張しておけば、後はストッパーを確認して3NTか5mを判断できます。特に競り合っているときは伝えることができる情報が限られることが多いので、最優先で伝えたいことをシンプルに伝えるように心がけたいです。


続いて、

パートナーの3Mプリエンプトの後のジャッジ

あなたはサウス

#17 both non vul 3rd

KT
KT942
85
JT64

3S-(P)-?

アクションはどうしますか?















テーブルで考えたのは、

・3Sをパスするか、4Sにレイズするかの2択。
・3Sをパスするのは安全策。4Sxになることは無いし、4Hをビッドされたとしてもハートは抑えているのでディフェンスがありそう。
・4Sにレイズすればウエストの3NTと4mをブロックすることが出来るのが良い。ウエストが3Sには動けるけど4Sに対して動きにくい手を持っていれば、4Sノンダブルで買える可能性もある。オープニングリードの示唆をできるのも良い。一方で、5mに押し上げたり、4Sxで手堅く300くらい取られるかもしれない。

どっちが良いか微妙なところ。ハートを抑えているし今回はパスして様子見を選んだ。







実際の展開は、

フライトB

3S-(P)-P-(4C)///

ウエストの4Cになって、SAリードからジャストメイク。


フライトBのトラベリングを見るとEWの5mになったテーブルが半分くらいあったので、サウスで4Sをビッドした人が多かったようです。フライトAの方も見てみると、

フライトA

同じように半分くらいのテーブルで5mになってました。


後から考えると自分も4Sをビッドしておいた方が良かったです。ハートを抑えているとはいえ、5Dとかあまりプレーされたくないですし、こちらの4SxはKTのスペードが活きてマスターが発生しにくいから良いサクリファイスになるかもしれないです。あとは相手に6mがあるときにスペースを奪ってビッドしにくくすることが出来るのも良いです。3Mでパートナーが開いて、自分にアナーダブルトンあるときはだいたいレイズしておけば良さそうです。


続いて、

ペナルティダブルの使いどころを考える

あなたはサウス

#19 they vul 1st

KQT6
84
T9652
K3

P-(P)-1H-(X);
1S-(P)-P-(X);
P-(1NT)-P-(3NT);
?

アクションはどうしますか?













テーブルで考えたのは、

・ペナルティダブルしても良さそう。パートナーはゼイバルのサードハンドオープンで弱そうだが、8~10点程度は持ってそうなので相手のハイカードバリューは3NTにはカツカツだろう。スペードとダイヤを裏で抑えているし、パートナーはハートを裏で抑えているから、相手はトリックショートする可能性が高い。
・ダブルした結果、スペードでもハートでも無いマイナーリードが来るかもしれないが、クラブはパートナーに何枚か有りそうだし、ダイヤは5枚あるので耐えそう。
・一方で、パートナーの1Hがかなり弱い可能性がある。「ゼイバルのサードハンドなら何でもあり」という格言もあるので。

いろいろ悩んだがパスすることにした。ゼイバルのサードハンドオープンは通常よりも弱いし、自分の手はそんなに強くなくて平凡だから相手の3NTが配置悪くてもメイクするかもしれない。おとなしくノンダブルで落ちるのを期待した。






実際のハンドは、

P-(P)-1H-(X);
1S-(P)-P-(X);
P-(1NT)-P-(3NT)///

パートナーはCQリード。CKでオーバーテークしてクラブコンティニュー。ディクレアラーはダイヤを取って5巡目のダイヤでスローインしてきましたが、安全にハートを出せるので2ダウン。

終わった後はダブルで勝負すれば良かったと後悔しましたが、パートナーに聞いてみると「ダブルしなくて良いです。サードハンドのオープンはそんなに期待しないで」と言ってました。会場にいた他のユースOBにも聞いてみると「ダブルはしないです。」と言っていてダブルしないが多数派でした。

ダブルはちょっと頑張り過ぎでしょうか。3NTxジャストメイクされても4IMPくらいしか取られないし、サードハンドオープンが12点くらいあれば2ダウンも有りそうで良い勝負になるかもしれないと個人的には考えてます。でもやり過ぎなペナルティダブルはギャンブルみたいになってしまうし、パートナーが1,2番手でオープンして同じ展開になったときにダブルするくらいのバランスでやっていきます。


次はディフェンスが成功したハンド

あなたはサウス

#28 we vul 4th

Q
A82
J54
KJ9832

(1H)-P-(1S)-P;
(2C)-P-(4H)///

左の4Hになって、パートナーのオープニングリードはDT。ダミーは下。

AJ7652
KJ4
K
T74

T1:DT-K-4-6
T2:C4-2-Q-H6
T3:ST-A-Q-4
T4:S2-D5-H3-3
T5:DA-2-C7-J
T6:D8-9-HJ-?

ディフェンスの方針はどうしますか?

















実際のハンドは、

ハンド

(1H)-P-(1S)-P;
(2C)-P-(4H)///

T1:DT-K-4-6
T2:C4-2-Q-H6
T3:ST-A-Q-4
T4:S2-D5-H3-3
T5:DA-2-C7-J
T6:D8-9-HJ-?

T6時点での配置は下です。

T6

HAでオーバーラフしてハートを出すと、CA、Cラフを決められてしまいそうなのであと2つしか取れなくてメイク。HAでオーバーラフしてCKを出すのも、CAをカバーされて、H9でラフできるものの、クラブをダミーで2回ラフされるのを防げなくてメイク。HAでオーバーラフしたらディクレアラーは間違えることは無さそうです。

HAでオーバーラフしなかった場合、ディクレアラーは間違えてハートを出してしまう可能性がありそうです。ダミーからクラブを引くとCAをラフされてしまうから心理的に引きにくいためです。もしハートを出してくれたなら、HAで上がってハートをもう一回出せばクラブの下が処理できなくなって落ちます。

ディクレアラーが間違えるならこれしかないと考えてHAでオーバーラフせず。ディクレアラーは少し考えてHKをプレーしてワンダウン。薄い落ち目を拾うことができました。ラウンド終わった後パートナーに良いディフェンスだったと褒めてもらえたので良かったです。


試合終わった後にパートナーから、「CQ切った後にハート出してたら正当に落ちてた。ダイヤクリアされてクラブ切らされると出すもの無いし、できたディフェンスだったかも。日本リーグだったら作られてたね。」と言われました。

え、そうなの?と思ってダブルダミーで調べてみたら、

本当にハートシフトだけ落ちていました。ここからハート出せたら上手すぎる。まだクラブ切りたいですし、パートナーがスペードラフできる可能性も有るからスペード出すのは自然です。

でもサウスがスペード切れるなら、クラブフォローするときに9とか大きめの数字を出してスーツプリファランスを出せそうなので、2が出たならスペードボイドは無いとしてハートを出すのが良さそうです。勉強になったハンドでした。


続いて、

特殊なオークションのスラムに対するオープニングリード

#29 both vul 3rd

84
97654
KJT4
43

P-(1C)-P-(1S);
P-(2C)-P-(2H);
P-(2NT)-P-(6C)///

右の6Cになりました。オープニングリードは何を打ちますか?















テーブルで考えたのは、

・ダイヤを打つかハートを打つかの二択。
・左は打ち抜きを確認せず、RKCBでキーカード確認することもなく、6Cへジャンプした。これは何か理由がありそう。
・最初に思いついた理由は、「3Cとか4Cをビッドしたらパスされてしまうかもしれないから6Cまでビッドした」という理由。これはビッドが深く決まってないペアリングならあり得そう。次に思いついたのは、「フィット+ボイドをうまく示すのが難しいのでギャンブル気味に6Cを置いてしまおう」という理由。
・右は2NTをビッドしたのでダイヤにストッパーがある。ダイヤは裏からの打ち込みになってるかもしれない。

結局ハートを打つことにした。ダイヤは裏からAQに向かって打つことになるかもしれない。ハートはパートナーのHKに向けて打つイメージで打てるし、振り込むことは無さそう。










実際のハンドは、

ハートリードは13個取られてメイクでした。ダイヤが打ちぬけていて当たり。6Cの理由は「ダイヤの打ち抜きがばれないように」もしくは「3Cとか4Cだとパスされてしまうかもしれないから」だったようです。


後から振り返ってみるとダイヤ打つのが良かったです。フライトBで何回か試合に出ていると、こういうオークションでスラムにジャンプしていくオポーネントがたまにいます。こういうオークションで当たりになりやすいのは素直なアタッキングリードなことが多いと感じます。

あとはクラブのスラムトライをしなかった理由のヒントになる情報をオポーネントから聞いてみるのが良さそうでした。なんて聞けば良いのか分からないですが、シンプルな質問を多くしているうちに見えないものが見えてくるかもしれないです。


午後はリード一発6Cで大きく失点してデータムは24ボードで+6IMPしか稼げずでした。チームは1勝2敗で最終的に7位/14でフィニッシュでした。入賞できずでしたが、勉強になるハンドが多くて個人的には良かったです。

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