ドラフトマッチ③ 1回戦前半 良い6S、悪い6S

私魔女のキキ!こっちは6Sをビッドして怒られたKKT。


ドラフトマッチ③が始まりました。自分たちのチームは早稲田の学生ペアと日本リーグのパートナーと自分というチームです。一回戦の対戦相手はRolandersのメンバーとeethでした。

前半から気になったハンドを振り返っていきます。


上がるか、上がらないか

あなたはEAST。

2番ボード、they vul 1番手

K53
543
AT853
43

P-(P)-P-(1D);
P-(1NT)///

パートナーのオープニングリードはHQでした。ダミーは、

T764
A62
Q94
AKT

T1:HQ-A-5-7
T2:D4-?

Plan the defense.


















実際のハンドは下です。

画像1

上がってハートかスペード出すとダウン、上がらないとメイクという形でした。オープニングリードのHQがKQT9から出てることが見えにくいので、この形の想定が難しそうです。実際テーブルではDA上がらずメイクでした。仕方ないかなと思いました。あと、2Hオープンを44以上のボスメジャーPREで使っていたので、2Hオープンすれば良かったです。



続いて、

PREの威力

あなたはWEST。

3番ボード、we vul 2番手

K9
KQ642
J75
A32

(3C)-P-(4D)-X;
(5C)///

4D=C fit ST

3Hオーバーコールするかどうかは微妙なところと思いましたが、バランスハンドでハートの内容が悪いのでやめました。パートナーの4DへのXはDスーツですが、バリューがあるかどうかは分からなくなっていました。



実際のハンドは下です。

画像2

5Cは3ダウン、見事なサクリファイスでした。3Cオープンはチートではないかと思うようなオープンでした。この展開なら捕まえられないのも止む無しかなと思いました。


後から振り返って思ったのは、今回は3Hオーバーコールしておけばよかったかもということでした。ライトにPREしてくる相手には多少頑張ってバリューを示しておかないとうやむやになってしまうリスクがあって、こちらもちょっと頑張るくらいがちょうど良いのかもしれません。

しかし、こういう相手に合わせてジャッジを変えるというのをやると、パートナーへの負担がかかってしまうので、イマイチかなとも思います。よっぽど理解が共通していない限りレンジをずらしたことには気づかれなさそうで、むしろズレた分損することが多そうな感があります。また、相手が適切なレンジからずらしているとすれば、オープンした時点でいくらかマイナスの期待値を背負っているはずなので、無理に合わせずとも長い目で見れば得をしているとも考えられます。

なので結論としては、試合前に特別な合意が無い限りは普通にジャッジするのが良さそうだという風に思いました。



続いて、

良い6S

あなたはWEST。

5番ボード、they vul 4番手

AJ9642
7
A74
AQ4

ビッドは二番手のパートナーの1Hオープンからフリーランで下のように進みました。

1H-1NT;3H-3S;4C-4D;4H-4NT;5H-6S///

1NT=S5+
3H=H6+,light INV w tricks
4C=S fit,Advanced cue

スペードが不安で4NTをビッドするかどうかは微妙なところだと思いましたが、マイナーのルーザーが無さそうでメジャーも1ルーザーくらいになってそうだと思ったのでRKCBしてみました。


オープニングリードはC2でした。

K3
AQJT642
Q8
K7

AJ9642
7
A74
AQ4

6Hなら簡単にメイクしそうですが、6Sもいろいろチャンスが有りそうです。どうプレーしますか?























実際のハンドは下です。

画像3

今回はスペードが2敗する形なので落ちました。テーブルではCA,SK,Sxの順にプレーしました。スペードのフィネスが効いた32ならメイク、フィネスが効いた41でもHKがサウスにいればラフィングフィネス効けばメイク、フィネスが抜けてクラブが出たときにはDAで戻ってウィナーを取ればHK表の時にチャンスがある形になります。たぶん全部合わせたら50%くらいにはなりそうな予感がしていて、まあまあ良い6Sだったと思いました。


後で振り返ってみると、プレーの方は妥当なラインだったんじゃないかと思いました。先にハートを出しておくプランも有りそうですが、どっちにフィネスしたら良いのか分からなくなって悪いプレーに向かいがちなので、まずスぺ―ドを確定させてからハートのプレーを選ぶ方がシンプルで良さそうな気がしました。

次に6Hをビッドできたかどうかですが、これは結構難しいと思いました。パートナーのハートは良い内容なことが多い取り決めなのでハートを切り札にする判断もあるとは思います。しかしスペースが無くてビッドが難しいのと切り札も不安でセットしにくいのがあって、4Cをビッドするのは難しそうです。

変わった手筋としてはRKCBの後に6Hをチョイスする方法がありますが、これは成功するか怪しいです。たぶん直ビッドの6HはHQ askになるので、5NTでK askして6Hをビッドしてくれるのを祈るのかなと思います。実戦ではSQが無いことが分かっていたので、6Hの方が良さそうな感じがしたので5NTを挑戦してみても良かったかもしれません。

というか一歩踏み込んで考えると、実戦の展開で4Cをビッドされた段階で6Hをビッドするのが良かったかもしれません。パートナーの手は27xxか26xxで、良い内容のハート+スペード2枚で通常はアナー1枚以上有りそう+CKの形なので、ハートでプレーすればメジャーでルーザー一つ、マイナーはルーザー無しを想定できたかもしれません。もう少しパートナーの手をいろいろ配置してみれば6Hを考慮できたかもと思いました。



最後に、

悪い6S

あなたはWEST。

7番ボード、both vul 2番手

J98764
K73
KT
A7

(2H)-2S-(3H)-4H;
(P)-4S-(P)-5D;
(P)-5H-(P)-5S;
(P)-?

オポーネントから5Sにヘジテーションが入ったとの申告がありました。ビッドはどうしますか?
















5Sをパスするか、6Sにレイズするかの判断でした。

まずヘジテーションのことを気にするかどうかですが、自分としては言われるまでヘジテーションしていたことにも気づいていなかった(パートナーとしては通常のテンポだと思った)のと、仲間内での試合だったのであまり気にする必要が無いと思ったので、とりあえず気にせずビッドすることにしました。

次にパートナーの5Dについて、これはクラブのコントロールがあれば6までビッドすることにかなり前向きなビッドだと思いました。こちらは4Sでサインオフを選んでいて、こちらのレンジとしては2Sオーバーコールする中で下位50%くらいだと分かっているはずだと思いました。そのレンジに対してトライしているということは、クラブのコントロールを持っていてまあまあのバリューがあれば6Sをプレーして良いはずです。

自分の手はどうかというと、HKがイマイチながらもDKとCAは生きていてスペードも6枚有るのでまあビッドしても良いかくらいに思いました。スペードにQとかあればもっといいのですが。


一応どんな手で5D then 5Sを選ぶか考えてみました。必要なカードはSA,SK,SQ,HA,Hボイド,(DA),DQあたりから5個以上です。

いくつか考えてみます。


AKxxx
---
AQxxx
xxx

これは5Hを見たら6はビッドしそうです。


AQx
---
AQxxxx
Qxxx

これは5D then 5Sの手として妥当なところかと思います。


AKQx
x
AQxxxx
xx

これも5Dをビッドしたら5Sを選びそうです。


AQx
x
AQxxx
QJTx

こういう系は4Sをパスするのが妥当な感じがします。5Sが危ないかもですし、悪い6Sになりがちかなというイメージを持っています。



狭いレンジをいろいろ考えてみましたが、おそらくハートボイドで点数が若干足りない手が出てくるだろうと思いました。スペードの配置が悪ければ危ないですが、テーブルプレゼンス的にはスペードのフィネスは効いてそうな雰囲気なので長考の末に勝負することに決めました。



実際のハンドは下です。

画像4

HQリードからラフ、SA,DK,Hラフ,DA,DQでハート捨て,CQでフィネス,CA,Sxと一直線に進んでメイクしました。HQリードからだとプレーがほぼ一本になって、やればできる悪い6Sがメイクでした。が、結局5S+1に調整となりました。まあ際どいところをWESTがジャッジしているので、ヘジテーションが成立していると見られれば妥当なところと思いました。


後から思ったのは、ヘジテーションが成立した段階で微妙な6をジャッジするのはマイナスでしかないということでした。6Sをビッドした場合、メイクなら5Sに調整、ダウンならスタンドとなるルールなので、6Sをビッドして得になることは無いです。一方パスした場合は、5Sまでしかできなくてパスしてメイク、裏は6Sまで行って運悪く1ダウンとかなら得点することができます。なので、ヘジテーションがあった段階でそのパートナーは際どいところならパスするしかなさそうです。

そして一歩進んだ考えとしては、EASTは5Dをビッドする段階でヘジテーションのことも意識して分岐を組み立てるのが良さそうだと思いました。理想としては4Hの段階で分岐を考えておいて、以降のビッドはスムーズに行うのがヘジテーションを取られにくそうなのかなと思いました。ただ、4Hの段階でめっちゃ長考するとこれもブレークインテンポの対象となってしまうので、なかなか解決は難しいのかもしれないです。

さらにもう一歩踏み込んで考えると、相手がスラムトライしているときに怪しく6へ行けばディレクターを呼ぶことで、変な6をメイクされても調整されるかもしれません。スラムトライで長考しないのはほぼ不可能なのでブレークインテンポが発生している可能性が高く、もしジャッジがあり得ないと見られれば対象になるのではないかと思いました。

ただこれについてはルールの虚を突いているところがあって倫理的な問題もあると思いました。ブリッジは考えるゲームなので、考えたい場面では将棋や囲碁のように長考しても良いのではないかと自分は思っています。なので多少は多めに見ることがブリッジを楽しむ上で、お互いにとって必要なのかなとも思いました。


以上となります!

前半はまだ続きます。







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