【ブリッジ】コントラクトブリッジにおけるリバースインプライドオッズ

ブリッジの話しをするときにポーカーの用語をつい使いたくなる男。KKTです。


ブリッジしていて普段思ってることを取りとめもなく書いていこうとおもいます。今回はブリッジでのリバースインプライドオッズについてです。

リバースインプライドオッズって何?っていう方もいると思いますので簡単に説明すると、フロップでは強いんだけどターンリバーと進むにつれてだんだん弱くなっていく手におけるターンリバーでの追加失点の期待値ことです(違うかもしれないので詳細はwebでお願いします)。

ポーカーでの代表的な例はフロップ時点でのトップペアがターンリバーで相手にストレートやフラッシュを完成され捲られて、かつターンリバーでベットされてコールして失点するみたいな感じです。このとき膨れ上がった追加の失点がリバースインプライドオッズによるものになります(多分)。

インプライドオッズはその逆で、後のストリートで追加の得点を見込んだ期待値のようなものです。基本的には強い役が完成した後に、その時点での利益よりも追加で取れることを見込んだものとなります。

要はその時点での期待値よりも後々悪くなるならリバースインプライドオッズがあって、後々良くなるならインプライドオッズがあるという感じです。


自分はこのリバースインプライドオッズがブリッジにおいて出てくる場面を、

ビッドやディフェンスにおいて想像しにくいことをして、後のトリックでパートナーが勘違いをして失敗すること

だと思っています。

ブリッジはペアでやるゲームなので、予想外のアクションをされた場合には味方も敵も失敗が多くなり、もしそれが自分たちの側の失点が一方的に高まる場合にはリバースインプライドオッズの高いアクションになると考えています。


例えば、

①あなたは下記の手を持っています。

T6
KQJ98
J5
A962

左手が1Sでオープンし敵のフリーランで1S-3S;4Sとなりました。

パートナーのオープニングリードはCQです。ダミーは、

8732
T4
T976
JT8

T1:CQ-8-?

ディフェンスの方針はどうしますか?










実際の配置は下です。

画像1

CAで上がった場合にEASTにはゲスが発生します。

クラブをラフさせた上でどこかから二つ取るのを期待するか、赤いスーツにスイッチして赤いスーツのエスタブリッシュを狙うかです。多分自分にAが無いのでクイックトリックを期待しにくいから、どこかのスーツでエスタブリッシュする必要がありそうなので赤いスーツへのスイッチが有力だと思います。

しかし根拠不足で決めにくいです。何か他の考えはあるでしょうか?



ここで視点を変えて、オープニングリードに戻ってパートナーの意図を考えてみます。

パートナーはこのビッド展開で、想定されるハンドで、Qダブルトンをオープニングリードしてくるでしょうか?

自分はクラブを示していないですし、敵の方が全体的なハイカードバリューを持っていることを考えればCQリードは飛び込んでいる可能性も高いです。またダブルトンならそもそもラフできる可能性もシングルトンよりだいぶ下がります。そしてパートナーの赤いスーツのどちらかはボロい可能性が高いので、リードに詰まってクラブを打ったとも考えにくいです。

そうするとEAST視点に立った時にCQはかなり積極的に打ってきていると予想できます。それはつまりCQシングルトンだろうという結論に至ると思います。

ということでテーブルではクラブシングルトンならラフさせてからの方が良さそうだと考えCA,Cxとしてしまいメイクさせでした。

後から考えるとクラブがシングルトンだったとしてももう2トリックエスタブリッシュさせないといけないので、どちらにせよHKを打っておいてこれが勝てばクラブをラフさせるのが良かったです。もしHAに負けたとしてもパートナーがSAかSKのどちらかを持っていればチャンスがあります。


ここでオープニングリードのことに話を戻します。結果論にはなるんですが今回はハートリードをしておけばまっすぐ落ちたのではないかと思います。よくありそうなリードなので後の展開が分かりやすく、ディフェンスが逸れるリスクが減り本来のハートリードの期待値を実現しやすいと思います。

一方でCQダブルトンリードは今回のビッド展開からはパートナーが想像しにくいリードになっているため、後々のディフェンスが逸れてしまいやすい分で本来のCQリードの期待値よりも落ちるんじゃないかと考えてます。



実戦からもう一つです。今度はオープニングリードでなく少し進んだディフェンスの場面です。

あなたは下記の手を持っています。

T932
A7
K94
K976

右手のオープンからフリーランで、1D-1H;1NT-2C;2NT-3D;3S-3NT///

2C=1 way CB
2NT=no H3,max

オープニングリードはC6を選びました。ダミーは、

K8
QJ652
AT652
T

T1:C6-T-4-5
T2:DA-J-7-4
T3:D2-S5-DQ-K

T1ではおそらくカウントが出ていて、high=奇数、low=偶数です。

T3のディスカードはLavinthal、捨てたカードはノンカモンでスーツプリファランスが出ています。

次に何を出しますか?








実際の配置です。

画像2

テーブルではEASTはH7を出しました。

理由としては、WESTにはクラブアナ―が無いのでNorthのクラブはAQJ5となってそうだと予想できるので、シェイプはほぼ3244で固定できます(ダイヤ5枚無くてハートは2枚以下なので。まれに4144かもしれないですが)。またパートナーがスペードのディスカードをしているので、スペードはあまり期待できなさそうな感じがします。

そうだとすれば落とすのは難しそうなのでせめてクラブをスコアしたいと思いました。ハートのコントロールを失わないうちにパートナーからクラブを打ってほしいのでH7を選んだという感じです。そして実戦ではH7-2-3-Tとなりました。

WEST視点ではA7からの7は想像しにくいです。ここでも本来のH7リターンの期待値を実現できない結果となりました。



こんな感じでアクションが想像しにくいことによって本来の期待値よりも落ちるのをブリッジのリバースインプライドオッズが高いアクションと思っています。

ビッドにおいてはサイキックやスローアクションがこれに相当すると思っています。一方でインプライドオッズが高いアクションは、
・ファストアクション
・自分たちの得意技など、自分たちよりも相手が間違いやすいと自信のあるアクション
・パートナーが思う自分がやりそうなアクション

ファストアクションはジャンプビッドのような、自分の手をざっくり示してそれ以降のゲスを簡単にするタイプのアクションです。最後のゲスは敵にさせよという格言に従うアクションはここでも良いアクションに分類される気がします。


とはいえ、ときに想像しにくいディフェンスやビッドは必要な場面もあります。いつもパートナーに分かりやすいことだけを選んでいたらそれもそれで損してしまいます。

この記事の結論としては、もし期待値が同じくらいだと思うなら想像しやすいことをした方が良いのではないかと思っているということです。長い目で見てパートナーシップを築くという視点で、意味なく想像しにくいことをするのは良くなさそうだとも思います。分かりやすいディフェンス、ビッドをできるときにはするべきだと考えています。



PS:後から分かったのですが、例②はスペード出すと間に合って落ちるみたいです。

ちゃんと配置を考えればスペードが薄いことを発見できました。マイナーの点数が9点見えていたので、ディクレアラーはマックスでもSAJxまでしか持たず、それ以外の場合にはスペード二回出せばエスタブリッシュします。HKがパートナーならハートよりも先にスペードがエスタブリッシュするのでダウンでした(2042の8個しかない)。

ただ、ここでもリードが逸れている分どこかで間違えそうで難易度は高そうです。スペードリードからなら一直線に進んだかもしれません。オープニングリードって大事だなと思いました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?