「価格転嫁」

おはようございます。
公響サービス、代表のシンジです。

 この時季、大企業は春闘でバカ騒ぎをしている。「満額回答」「〇十年ぶりの賃上げ率」「過去最高の賃上げ」今年は、こんな文字を多く目にした。政府の後押しやコストプッシュインフレに対応したのもうなずける。バカなメディアはそのようなニュースばかり伝える。
 それが国民のどれだけの人に関係あるのかというと、わずか28%の人だ。残りの72%の人は中小企業で働いているので、こんな報道に関心はない。そんな報道を見ても憎悪しかうまない。日本の企業の99%が中小企業で、わずか1%の大企業を中心に話題を持って行っても、ほとんどの人の心には響かない。どこまで行っても、大企業中心であり、そのような構図を長年官僚とメディアが作り上げてきたわけだ。
 ところが、その大企業が不正をすると、多くは子会社のせいにして、トカゲの尻尾を切ってしまう。大企業を守るために。そんな不誠実な大企業が生き残る必要があるのだろうか?確かに、連鎖倒産する企業が増える。雇用と仕事を守るという大義名分はあるだろう。だから、何をやっても大企業は許されるのか?それは全く別の話だろう。不正を正すことも出来ないような企業がはびこっている国に住んでいて、あなたは幸せなのか?

 20代のころ、自動車メーカーに出向していたことがある。その時労働組合なるものを初めて目の前で見聞きした。自動車メーカーは男性の職場だ。99%が男性の中で、旗を掲げて春闘を戦う人たち。ビラをまく人たち。食堂で演説を始める人達。それに賛同して、こぶしを天にあげている人達を見て、意味不明感と畏怖を感じたのを覚えている。
 なぜ?自分を雇ってくれている会社と戦うのだろう?会社がなくなったら、自分が路頭に迷うのに?当時の私には、まったく理解のできないことだった。
 いまでは、なぜあのようなことをしていたのかが、とても良く理解が出来る。実に単純なことだ。大企業は、従業員が働かなくても、儲かるシステムが出来ているから、大企業になっているってことだ。彼らは単に、ヒマだったわけだ。自分達がいくら稼いだかなど関係なく、会社のシステムが稼いだ金を、みんなで分け合っているだけで、それを子供のケンカをして取り合っているというだけのことだったのだ。では、そのシステムはどうやって出来ているのか?実に簡単な話だ。下請けの中小企業に仕事を丸投げしているというだけのことなのだ。
 だからこそ、中小企業が生き残っているんじゃないか!という方がいるだろう。それは事実だが、下請企業に対し、「生かさず殺さず」を続けてきたことも事実だ。それを最も示すのが「価格転嫁」だ。

 大企業は、過去の「実績」という伝家の宝刀を振りかざし、価格転嫁を一切認めない。奴らが見ているのは数字であり、人間じゃない。自動車の値段は上げているのに、自社の従業員にはベースアップをしているのに、下請への支払いは一切価格転嫁を認めないのだ。だから私は、購買部には一切挨拶をしないし、購買部の人とは必要最低限の話しかしない。こちらも人間とは思っていない。奴らはロボットだ。すぐにAIにとってかわられる、不要なクソだと思っている。
 「過去にこの値段で出来ているよね。それなら、今回も同じ値段でやってください」というのが奴らの手口だ。原材料や燃料費、電気代の高騰なども理由にならない。「でも前回と同じ仕事ですよ。慣れているだろうから、もっと早くできるでしょ」という理論だ。本来、仕事に慣れて利を得るのは、下請企業であるべきはずだ。それが企業努力のノウハウだからだ。
 実際には価格転嫁どころか、「値下げ要請」をされることの方が多い。現状で厳しいのだから、値段を上げて欲しいと言っているのに、毎年値下げ要請が来るのだ。こんなおかしなことがあってたまるだろうか?それなのに、従業員は年齢で右肩上がりの給与を求めてくる。これで中小企業が生き残れる道理はない。
 それなのに、日本を始めアジアは特に、「支払いをする側の立場が強くなる」という傾向が強い。下請法に抵触しない大企業を、私は知らないほどだ。そして日本はデフレになった。日本をデフレにした原因の一旦は、日本の大企業に責任がある。だから、日本の平均賃金は1997年から、26年間も下がり続けているのだ。
 それが爆発したのがコロナだ。日本の大企業が国内中小企業を見捨て、アジアへの植民地政策で、より安い仕入を求めた結果、コロナでサプライチェーンは分断され、物が入って来なくなった。報道では半導体のせいにしているが、半導体は余っている。それよりも、ボルト1本、丁番1枚が不足している現実は、大企業は決して真実を言わない。当然、報道されることもないのが現実だ。自動車の生産が出来ないなどと言っているメーカーからは、決して買わないことをお勧めする。半導体のせいにしている限り、そのメーカーはいずれ代償を払うことになるだろう。メイド・インジャパンはすでに崩壊していることを知るべきだ。
 大企業は、中小企業の安い労働力を利用し、恐喝して安くさせた品物を買い、実務はすべて中小企業に丸投げだ。そんな中小企業が日本を支えてきたのが、高度経済成長だ。
 某自動車メーカーへ行った時、工場の機械が全て止まっていた。理由を聞いたら、労働者が怪我をするといけないので、仕事をしたくないとのこと。言っていることがまるで子供で、唖然としたことがある。そんなクソな人間を雇っているという現実がある。AIやロボットが発展していけば、そういうクソ人間はどんどん淘汰されるだろう。もう時代は違うのだ。スピード感のない、昭和の雰囲気を醸し出しているメーカーや人は、置いて行かれることは間違いない。
 製造業の現場は、物作りに正面から真剣に向き合っている。それなのに、大企業は自分達で手を動かそうとしない。金で解決できると思っている。だから、不正をしてごまかそうとするのだ。非製造業もそうだ。ソフトもアプリも、不具合を更新すれば許されると思っている時点で、物づくり企業として失格だ。アプリに不具合があっても人は死なないから、大騒ぎにはならない。そういう態度がIT企業には透けて見える。国民はもっと怒るべきことだ。簡単に受け入れてはならないと思う。

 安い下請代金で、1円も値上げを認めない大企業と交渉するのは、毎回心をすり減らす。だから、「実績」を残さないことが肝心だ。私は請求書にはなるべく高い金額を記載し、「今回のみの特別お値引き」として、指値になるように請求書を書いている。小さな抵抗だが、また次回の交渉材料にはなる。仕事欲しさに、指値を認めてしまえばそれで「実績」だ。決して認めてはならないのだ。ここは心を強く持つべきだと思っている。
 安易に「価格転嫁」が出来ると思っている小役人は、中小企業の実態を全く理解していない。我が社にきてくれれば、企業間取引の現実を包み隠さず見せてあげるのに。そんな奇特な人はいないだろうね。
 大企業に勤めている者は、1円値上げすることの難しさを知らない。だから、大企業のシステムに守られているうちはいいが、その外へ出ると、使えないクソに成り下がるのさ。だから私は、大企業出身者は決して雇わない。クソだって知っているからね。

 いつも読んでいただき、ありがとうございます。本日も皆さんにとって良い一日でありますよう、祈っております。

シンジ

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