「賃上げ」

おはようございます。
公響サービス、代表のシンジです。

 政府主導で「賃上げ」の機運は高い。だが実際には大企業のみが上がっている。中小零細企業は「賃上げ」は首を絞めることになる。そもそも、従業員の雇用を守るために会社を維持しており、いつ畳んでも良いという状況の会社も多くある。借金があり、畳むこともできない企業なら、なおさら「賃上げ」どころじゃない。(最低賃金の計算方法は、2021年6月9日のブログ参照)
 だが、現状維持は「衰退」だ。物価が上昇しているのだから、自然と生活は苦しくなる。自分の生活に余裕のない者が、お客様の為に努力するだろうか?そんなことはあり得ない。それなら、やはり物価上昇分を賃上げしなければならなくなるわけだ。

 だが、自分が賃上げしてもらった場合を想像して欲しい。その時は「社長ありがとうございます」と感謝しても、それをいつまで覚えていますか?1年なんて無理。半年?3ヶ月?まさか来月には忘れちゃっていますか?いやいや、1週間と覚えていないはずです!
 当然です。従業員は、そんなにありがたがることとは思っていない。自分の正当な評価が給与になっていると信じ込んでいるのだから、感謝じゃなく「当たり前」になるのだ。社長に感謝するのは、最初の1日だけです。更に悪い時には、「ちぇっ!これだけかよ!」と賃上げしてもらっても、少ないという「不満」が頭をもたげることもあるわけだ。だから、賃金で従業員の心は買えないし、動かすこともできないのだ。

 世の中では議論されない内容なのが不思議なのだが、「賃下げ」というものもある。労基法で月に基本給の10%は賃下げすることが可能だ。
 高度経済成長期は、誰もが右肩上がりの賃金と思い込んでいたので、いまもその幻想から抜けない人が多い。だから、賃金が下がると、経営者を目の敵にして一生許さない。賃上げしてもらったことは、数日で忘れてしまうのに。賃金を下げられたことは一生忘れない。賃金が上がると自分の正当な評価と思い込み、賃金が下がると不当な扱いを受けたと思い込む。サラリーマンとは、そんなものだ。
 だから、賃金は不用意に上げると、下げることが出来なくなるということを考慮しなければならない。かといって、伸び代を残して賃上げしていては、それもまた不審がられるし、その評価も難しいのが現実だ。
 そのため、私の中での最適解は「賃上げをしたから、それに見合うだけの仕事をさせるには、どうすべきか?それを考えて率先して実行したくさせるのが、経営者の仕事である」となる。うん。とても難しい命題だ。世の中の人が「賃上げ、賃上げ」気楽に言うよりも、それを実行して、会社を潰さないということは、並大抵の努力や知恵では不足するってことだ。やれやれ、政治家はそんなことは、つゆとも知らぬのだろうけれどね。サラリーマンの方が、100倍楽ってもんさ。役員報酬も「賃上げ」してもらいたいのだけれど。法的に1年間は変更できないという決まりがあるので、今年の業績を上げて、来年に期待するしかないですね。

 いつも読んでいただき、ありがとうございます。本日も皆さんにとって良い一日でありますよう、祈っております。

シンジ

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