「早期希望退職」

おはようございます。
公響サービス、代表のシンジです。

 上場企業の「早期希望退職」が増えている。本当は「早期希望退職」という名の整理解雇なのだが、退職金の上乗せに騙されている人が多い。
 早期希望退職に引っかかるのは、40代後半から50代後半の者が多い。そうすると、この先10年、場合によっては20年勤めることが出来たサラリーマン生活を捨てることになるのだ。それに比べて上乗せされる退職金は、とてつもなく小さいってことだ。

 まず、退職後に次の会社が決まっている人は少ない。セミリタイヤ的にバカンスなど行ってしまう人も多くいる。サラリーマンとして有給休暇を取るのとは違い、サラリーマンではなくなったら、国民年金と国民健康保険加入者だ。いままで社会保険を会社と折半で3割以上も納付していたのだ。それが急になくなれば、将来手にする年金額は激減することは間違いない。
 更に、住民税は後払いのため、現状の収入がないのに、昨年の年収で計算されたとてつもなく高い住民税の請求が1年間続くことになることも考慮が必要だ。会社を辞めるのが1月であれば12か月その高額住民税に悩まされることになる。12月退職ならそれほどでもないだろう。普段、給与から天引きで特別徴収されているため気づかなかった部分だ。
 次に、転職先を探し始めても、すぐには見つからないだろう。場合によってはどこにも引っかからない可能性が高い。転職先は辞めてから探すのでは遅い。しかも年齢が高いと余計に難しい。日本とはそういう偏見の国だ。
 時には、M&Aで会社を買おうと考える者もいる。「トラ〇ビ」などのサイトに登録し、退職金のあるうちにと思うのだろうが、経営の勉強をしていない者が相手の会社の財務諸表を読んで、騙されずに会社を購入できる可能性は極めて低い。あの手のサイトに登録している一部の売り手は、資産価値がマイナスしている、倒産寸前の会社や未来のなくなった会社をいかに高く売るかを考えて出している。もっとひどい者は、会社の土地建物の登記を元オーナーのままとして、事業のみの売却をしたがる。そうすれば、毎月家賃が入るからだ。要するに、経営などやる気のない者が、会社売却で儲けることを考えている者が多い。それを見抜けない者は、退職金をだまし取られるわけだ。
 また、創業しようとする者もいる。一部上場企業に勤めていた者が、いきなり裸一貫で世間に放り出されて、経営など出来るものではない。そもそも経営力がないから、黒字化する前に倒産するだろう。技術力やアイデア、人脈などを頼りに経営をしようとするからだ。経営力とは、何があっても決して諦めない「覚悟」だ。不要な物はすぐに捨てることが出来る「覚悟」だ。後悔するより未来を見すえて行動し続ける「覚悟」だ。数字で目標化できる「会計力」だ。四の五の言わず行う「行動力」だ。正しいことを行う「覚悟」だ。そして、あらゆることに「感謝」する気持ちがなければ、経営など出来ない。だから、創業後5年以内に9割の事業が倒産するのだ。
 早期退職をして、資格を取ったからといって、経営力の無い者が経営を上手く行うことなど、ほぼムリゲーなのである。早期退職をする人は、応募する前に何年もかけてその後の準備をして欲しい。そして、早期退職をする理由、方法、その後の展望が語れないうちは、早期退職の決断をしないで欲しい。サラリーマンは、世界で最も優遇された平民制度なのだ。これを最強と呼ばず何と呼ぶ!きちんとした計画がないうちは、サラリーマンにしがみつくことをお勧めします。「早期希望退職」など格好良いことではないのです。

 最近は年齢に関係なく「早期希望退職」を募る会社も増えてきた。つまり、人手不足と言いながら、上場企業では人を減らすことになっている。要するに、上場企業の稼ぐ力が衰えているってことだ。規模を小さくしないと、この先の見通しが立たないってことだ。だから、黒字なのに人を減らすことを考えている。ジリ貧なのが目に見えているからだ。だから、サラリーマンの方々は、自社の業績分析もせずに、「早期希望退職」という名の整理解雇に、騙されないようにしましょう。業績分析をして、将来性のある事業部への異動を願い出るのが賢い人間のすることだ。間違っても安易な創業だけはしないように。

 いつも読んでいただき、ありがとうございます。本日も皆さんにとって良い一日でありますよう、祈っております。

シンジ

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