「公私混同」

おはようございます。
公響サービス、代表のシンジです。

 公私混同をしてはいけない。誰でも分かっていることだ。ですが、本当に大丈夫ですか?会社のロッカーに私物を入れていませんか?机の引き出しに、私物を入れていませんか?そんな小さなことも、既に公私混同だ。
 細かいことを言えば、出張で使う飛行機に、個人のマイレージカードを溜めるのも、ポイントカードを溜めるのも、すべて公私混同だ。
  もっとひどい例もある。会社に出張旅費を請求して、実際には新幹線ではなく在来線で時間をかけて出張し、交通費の差額を得ていれば、公私混同を超えてこれは「横領」だ。指定席の金額を会社に請求して、自由席で出張するのも同様だ。しかし、この差額を当てにしている人は結構いると思う。

 経営者はどうだろう?社有車で私的なゴルフに行っていないだろうか?接待と称して、自分で行っているゴルフ費用、飲食費用を経費にしていないだろうか?自分の通勤用のガソリン代も経費として精算していないだろうか?経理部にやたらと領収書を持ち込む経営者は要注意だ。そのほとんどは私的な利用だろう。中小企業の場合、年間800万円までの交際費が認められている。つまり、その金額を超えない限り、税務署は真面目に調べないってことだ。そのため、家族旅行の費用まで会社の経費にする、とんでもない経営者が後を絶たない。経営者が一人だったら、年間800万も使ったら、年収とは別に800万使えるってことだ。そう考えると、従業員の公私混同などかわいいものだ。目をつぶれる範囲だろう。ところが、このような悪徳経営者は、自分のための経費だと思い込んでいるため、従業員に1円でも多く使われることを、異常に嫌うものなのだ。
 更に、会社で必要な物をネットで購入するときに、私物も一緒に購入してしまう人も多い。必要な物と、私物をサンドイッチして買ってしまうと、私的なものとは分からず、バレることもない。税務署は調べもしない。
 偽装空出張もよくある手口だ。新幹線のチケットを購入しに行く。電話でキャンセルをする。キャンセルをしても、チケットは手元にあるから、経費として数万円が手に入る。パッと見の証拠もあるので、簡単にはバレない。空出張はよくある横領方法です。何年か前の号泣議員で有名になりましたね。このように経営者が自社に不利益を与える行為を「特別背任」と言い、会社法第960条に抵触(テイショク)します。日産のカルロス・ゴーンで有名になった法律ですね。10年以下の懲役か、1,000万円以下の罰金。もしくは併科される。

 経営者は簡単に横領ができてしまう立場にいるので、グレーゾーンに気をつけましょう。まずは会社の現金を完全になくすことです。一度すべて自腹で払い、レシートのない支払は、すべて自腹にします。その他の支払いはすべて通帳に記載されるようにすれば、まず横領はできません。自分の会社だと、元々出資も自分一人だし、会社の財産=自分の物、と思う人が多いですが、会社の財産は「法人格」という人格を持った法人の物です。交際費や会社の経費を公私混同してしまうと、最も重要な「信用」というものを落としてしまいます。これは一度落とすと、ほぼ取り返せません。会社のお金は完全に透明になるようにしておきましょう。
 因みに我が社の昨年の交際費はわずか1万1,600円だ。昨年の暮れにお客様に菓子折りを持って行っただけだ。私は行政にも銀行にも仲間の経営者にも、決算書を公開しています。質問さえされれば、預金残高も教えます。グレーな経費やお金は一切ないようにしています。公私混同をしたら、経営者として戻れない場所に落ちますから。
 ではどこまで厳しくするのか?と思う方がいると思います。なるべく1円もグレーにしないのが良いですが、どっちか分からないこともあると思います。判断基準は単純に、従業員が同じことをして、許せる範囲。とすれば良いです。
 例えば、会社に私物を置いている従業員を注意したいのであれば、経営者も私物を会社に置けません。ゴルフバックとか置いていたらアウト!接待で使うよね。というのは言い訳です。所有権が会社ならともかく、自分に所有権のあるものは私物です。
 ゴルフに行った時のガソリン代、ETC代を会社の経費にしたいのなら、従業員が遊びで社有車を会社のガソリン代で使用しても、文句は言えません。しかも、ETCカードも渡さなければなりません。それが出来るのなら、「公私混同」とは言いません。単なる「業務上横領」となるだけで、税務署の問題になります。

 公私混同を避けるには、強い心が必要です。ですが、人は弱い。監視の目がなければ、すぐに自分に負ける。だから、決算書も通帳も公開し、私的利用ができない仕組みにしていく必要があるのです。だから、我が社では法人は現金を決して持たないのです。証拠が残らない使途不明金は認めていません。コピー1枚に至るまで徹底です。それが、何よりも大きな「信用」という財産になるからです。

 いつも読んでいただき、ありがとうございます。本日も皆さんにとって良い一日でありますよう、祈っております。

シンジ

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