「経費」

おはようございます。
公響サービス、代表のシンジです。

 世の中のサラリーマンは、「経費」というお金は使っても良いお金だと思っている。しかし、経費を減らせば利益が増えるのだ。だが、サラリーマンは利益が増えても給与は増えないので、会社の利益のことなど何にも考えないのだ。会社で出してくれる経費なら、出来うる限り使用して、少しでも得をしようと考えるものなのだ。それは、そもそもの教育がなっていない。

 経費とは、売上を上げるために必要となった費用のことだ。要するに、売上に直結しない費用は、経費とは言わない。
 例えば、社長がゴルフの練習に行ったのは、接待のための練習だから、会社の経費として会社がお金を払う。という考えは間違いである。10万円以下の金額は、いちいち税務署は突っ込んでは来ないが、経費ではないことは明らかだ。これを計上するか否かは、その経営者の倫理観が問われることになる。
 一度公私混同をしてしまうと、それは当たり前になってしまう。出張の際の食事代を、交際費や会議費として計上すれば、自分の財布は痛まない。では従業員が出張した際には会社が食費を出すのか?当然出すわけがないのである。それならば、すべて自腹にしなければ、そこに公正さはないではないか?そういうと、必ず反論する人がいる。
 「だって会社の設立費用も、会社が苦しい時も、社長が私財を投じて回してきたんだから、中小零細企業の資本金はすべて社長のものじゃないか!会社と社長が一体で何が悪い!」そう言われる方がいると思う。
 私もオーナー社長だからその言葉の意味は理解できる。しかし、共感は出来ない。会社のお金と自分のお金は全く別物だ。所有権が異なる。会社のお金は会社のオーナーにとっても、他人のお金である。それに従業員が稼いでくれたお金でもある。感謝の気持ちはないのだろうか?「会社の金はほとんど社長が稼いでる!社員などいなくても良いのだ!」という方もいるでしょう。そう言って、自社のレジから直接自分の財布にお金を入れたら、業務上横領が成立することを知らない方が多い。ただ、訴える人がいないから捕まらないだけのことだ。
 個人事業主は、役員報酬という概念がない。売上げた金額はすべて個人のものであり、支払った経費を差し引いて、残った金額が自分の収入だ。多い月も少ない月もある。そうすると、すべて自分の物と思うのも無理はない。だから、社会的信用がないのだ。クレジットカードも作れないし、住宅ローンも組めない。人として扱ってもらえないとも言える。
 ところが、法人化すると途端に信用が上がる。なぜか?それは社会保険という税金を払うからである。健康保険、厚生年金などへの加入だ。
 これを行うことで、社会的信用を得ることが出来る。つまり、会社のオーナーとして社長である自分を雇うという構図に代わるのだ。そのため、年間を通して役員報酬は変更が出来ない。要するに年俸制に代わるのだ。そして当然、経営者は利益という結果を求められるのだ。株主であるオーナー(自分)に対して。だから、経費は出来るだけ少なくすべきと思う。
 しかし、法人になると使える経費の枠が増えるのだ。税務署は、接待などの交際費に年間800万円までは損金算入が認められている。そのため、従業員を増やして仕事を回し、自分は仕事を離れて遊びまわる経営者が目立つのです。
 会社のお金でゴルフをしたり、飲食をしたり、家族旅行まで行ってしまう人がいます。高級外車を買う方も多いですね。ネットで買い物をする際に、私物も一緒に購入してしまう人もいます。
 法人になると、役員報酬以外に「経費」という報酬を得られるので、経営者は金持ちだ!という先入観が巷には広がってしまったのです。私から言わせれば、それらはすべて業務上横領であり、会社の利益に相反している特別背任罪です。逮捕をされないから、税務署が細かい部分を見落とすから、許されると考えること自体が、自分に負けていると思う。そのような経営者は、存在する価値がないと私は思っている。
 法人化して折角得た「信用」なのに、信用を損なうような行為をしているのです。事業が上手く行っていれば、誰も文句は言わないが、苦しくなった時、誰も助けてはくれなくなる。公私混同している人にお金を貸してくれる銀行はない。経営者保証が付いたままでは、事業を引き継いでくれる人もいない。そうやって消えていく会社が今後増えるだろう。それは、経営者の身勝手によって起こっている問題だと思っている。
 繰り返しになるが「経費」とは、使って良いお金の予算ではない。仕方なく、支払うものなのです。

 因みに、「経費」という言い方は会計用語だ。同じ内容でも税務用語だと「損金」となる。個人的には「損金」という言い方の方が好きだ。損をするお金なので、無駄づかいをしないイメージがある。我が社では「経費」という言葉は使わないルールにしている。

 いつも読んでいただき、ありがとうございます。本日も皆さんにとって良い一日でありますよう、祈っております。

シンジ

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