「最低賃金」

おはようございます。
公響サービス、代表のシンジです。

 全国の中小企業経営者に申し上げたい。2021年、最低賃金が28円上がった。全国平均で930円だそうだ。発表されていないが、東京は1013円に28円上乗せで1041円になるのであろうか?10月から施行なので、そのうちはっきりしそうだが、「このコロナ禍に最低賃金を上げられては、経営が厳しい!」と憤る経営者の気持ちは分かるが、よく考えて欲しい。
 以前にも最低賃金については申し述べている。全国で統一できない最低賃金がおかしいという話しをした。日本は先進国G7の中で最低の賃金レベルだ。因みにイギリスは1,360円、フランスは1,330円、ドイツは1,350円だ。米国は1,650円で大統領令の署名があったばかりだ。
 「賃上げにより中小企業が倒産する」と言っているのは、年会費を納める中小経営者を保護している商工会議所であり、労働者を無視しているという事実。また、「中小企業が倒産すると、労働者が失業する」と商工会議所は言っているが、いままでに、賃上げにより失業率が上がったというデーターは世界的にないことも事実。最低賃金も払えないような会社が倒産したり、そのような会社を解雇されても、労働者は他に仕事を探すに決まっているのだから、失業率が上がるわけがないのだ。一度失業したら、一生失業者と言うのなら話は別だが、そんな人は稀だ。もっと時給の高い仕事はいくらでもある。もっと労働条件の良い会社はいくらでもある。そうならなければ、人員確保が出来ないのが現実だ。
 それじゃ、最低賃金を支払えない事業者はどうすれば良いのか?国が明確に方向性を示している。最低賃金を払えないような事業は、新業態に挑戦して最低賃金を払えるような工夫をして欲しいとのことだ。そのための事業再構築補助金である。「そんな簡単に出来るわけないでしょ!」と思われるだろう。その場合は、適切な大企業、中堅企業に会社を売却し、M&Aの推進により、淘汰されることを勧める。と明確に示している。
 これに関しては、政府の方向性ははっきりしており、実に良いと思う。単に最低賃金を上げた場合には、他国との格差を考慮し、賃上げが目的になってしまい、批判も免れないだろう。しかし、「賃上げに対応するための、新業態を考え出し、挑戦するなら、全面的に応援します」もしくは、「賃上げに対応できない経営者は、経営者としての器が小さいので、それなりの企業に身売りをしてください」と我々経営者の退路を断ったわけだ。実にあっぱれな政策ではないか!
 商工会議所が言うように、コロナ禍の上に、最低賃金を上げることを、中小企業イジメだと思われるだろうが、ある記事によると、コロナで休業しているパート、アルバイトなどの最低賃金適応者への休業助成金は、会社が申請しているにも関わらず、本人の手元に届いているのは、わずか30.9%とのことだ。事業者に金を渡しても、そのほとんどが本当に困っている人には届かないという実態がある。
 私も、時給1,100円程度で朝から晩まで働きたいとは思わない。クタクタに疲れても、年収は200万ちょっとにしかならない。もし、自分の家族にそのような働き方を強いられている者がいれば、労働条件のより良い会社を探すように勧めるだろう。しかし、現実はそのような低賃金でフルタイムにて働いている人がいるという現実もある。そんな若者に、将来の夢などないし、将来に不安がなくなることもない。それでは結婚もできないし、子供も増えない。個人の責任部分も当然あるが、社会全体として変わる必要も感じる。そのためには、より多くの人に影響力のある、我々経営者が変わらなければ、我が国は変わらないのではなかろうか?当然、外国人技能実習生にも、最低賃金は適応される。「仕事が出来ないのに、賃金ばかりあがって」という近視眼的な見方をせず、いま支払っている賃金は種まきであり、実りのときには、それ以上になるよう、大事に育てよう」と思って、長期視点を持って欲しい。途中で辞められたら、御社に魅力がなかったと、諦めるより他にない。もしくは採用の見込み違いだ。経営者は、他人のせいにしてはならない。(苦しいけど)
 いまのビジネスモデルで、最低賃金を払うのがきつい。儲けが少ない。と言うのであれば、売り方や顧客、働かせ方など、なんでも変えていく以外にない。現状のまま最低賃金が下がるのを待っていても、下がる見込みは限りなく「ゼロ」だ。むしろ上がり続けるはずだ。
 経営者は、そのような自分都合の期待を待たず、常に挑戦して欲しい。挑戦する気持ちと、その行動力がなくなった時が、経営の「死」だ。例えビジネスが軌道に乗っていたとしても、いつかそのビジネスは廃れる。この世に、永遠のビジネスモデルはない。永遠の商品はない。常に次を考えられなくなった会社は、淘汰されるのが、市場というものだ。
 我々経営者はそのことを肝に銘じて、最低賃金の引き上げを、快く行いたい。皆様の奮起に期待する!

 いつも読んでいただき、ありがとうございます。本日も皆さんにとって良い一日でありますよう、祈っております。

シンジ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?