「買い負け」

おはようございます。
公響サービス、代表のシンジです。今日で978日目です。

 日本企業が「買い負け」しているのをご存知だろうか?少し前に話題となった、半導体不足だが、それは日本の問題でもある。自動車の生産が出来ず、納車が遅れていたのも同様だ。メーカー側は必死に隠して、他に原因があるように言っているが、根本原因が変わっていないので、同じ問題はこの後も頻発するだろう。他の業界にもいえることだ。
 では世界で何が起こっているのだろうか?それは、日本企業の「買い負け」である。日本企業に売ってくれない。という現象だ。
 昨年、日本の自動車メーカーがこぞってサプライチェーンの崩壊で生産が出来ないと言っていた頃、世界の自動車メーカーも同様に生産を止められていただろうか?そのような報道は一切ない。それどころか、日本車が売れない間に、販売量を伸ばしたメーカーも存在している。では、なぜ日本だけがサプライチェーンの崩壊を起こしたのか?
 一般的にコロナのせいだとするのは、あまりに浅慮だ。実際のところは他の業界にも共通する話だ。自動車のサプライチェーンの裾野が広かった為、悪目立ちしたに過ぎない。

 日本企業が物を買う時、売り手側には詳細な見積り、販売個数による値下げ要請、また下らない質問状から、クレームまで非常に上から目線なのだ。
 しかも、ちょっとした汚れ一つで文句を言ってくるのは、日本企業だけだ。それだけならまだしも、汚れた原因をレポート提出しろと言ってくるのは、日本企業だけだ。売り手は、輸送中の事まで保証できないし、汚れても大丈夫なように、外側を梱包しているのだ。そこが汚れていて中身が安全なら、何も問題はなく、レポートで書けることなど一つもないのが実情だ。
 このように、クレームが多く、面倒な日本企業に売るよりは、文句なく大量に買ってくれる中国やインドに売った方が儲かるし、楽なのだ。何が悲しくて日本企業になど売るものか!というのが、「買い負け」の現実だ。

 先日、ある契約書で一部上場企業とやり取りをした。先方の作成した契約書に1文字間違いがあった。私は、1文字の間違いがあっても、契約内容にはそん色ないのだから、そのままで良いと言ったにもかかわらず、それをわざわざ差替えの郵送を既にしてしまったというのだ。なんという、無駄なコストをかけているのか!と担当者に愚痴を言った。
 もう一度、書類作成をして、押印する手間もそうだが、それを切手不要封筒を用意してこちらに既に郵送している時点で、無駄なコストと無駄な時間を使っていることを、担当者は認識していない。むしろ、良い仕事をしたと思い込んでいるところに、日本の落日を見る思いがした。これは目的を忘れ、完璧主義のワナに落ちているに過ぎない。完璧にしなくても、目的が達せられれば、それで事足りるということを、日本企業は知るべきだ。日本人すべてが知るべきだ。完璧な仕事は、所詮は自己満足でしかないということを。

 日本企業はこのような完璧主義を、外国企業にも求めてしまうのだ。人に厳しいが、自分にも厳しいと、良い仕事をした気分になるが、それが日本の足を引っ張っていると気づいていない。だから日本企業には売りたくないのだ。だから、「買い負ける」。
 面倒でクソ真面目な日本企業に売りたい外国企業は減っているということだ。どうせ売るなら、うるさくない、面倒じゃない相手に売りたいだろう。それが現実だ。だから「買い負ける」。
 今後、この「買い負け」は加速こそすれ、減速することはないだろう。かつて、世界の工場だった日本製品も、他国に真似をされて、もうアドバンテージは残っていない。同じ値段なら、面倒じゃない他の国に売るに決まっている。まだ物があるから良いが、これから現物の取り合いになった時、日本企業は様々な物が不足し、完成品を作れず、「買い負け」のために崩壊しかねない。私は、一人ひとりの意識を完璧から、スピードにシフトしないと、日本の未来はないと思っている。

 いつも読んでいただき、ありがとうございます。本日も皆さんにとって良い一日でありますよう、祈っております。

シンジ

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