「株式配当」

おはようございます。
公響サービス、代表のシンジです。

 上場企業は株主になると、配当金がもらえる会社が多くある。ところが、未上場の会社は配当金を行っていないところの方が多い。では、株式配当とは何であろうか?
 株式配当は、当期純利益の中から配当される。すなわち、黒字の会社でなければ、配当はなかなか行えない。というわけだ。ところが、アメリカの会社などは、配当を高くし、株価を上げるために、赤字でも配当を出す場合もある。株主至上主義ですよね。最近はその行き過ぎた考えも見直されて来ていますが、今回は未上場の会社を考えてみようと思います。

 貸借対照表(以下B/S)の左下にある純資産の部には、「利益剰余金」という項目がある。これは、損益計算書(以下P/L)における当期純利益の創業時からの合算額だ。つまり、B/SとP/Lがつながる唯一の場所が、この「利益剰余金」である。つまり、今期末の剰余金とはP/Lの一番下、当期純利益のことです。
 株式を公開していない中小企業は、資本金が増えることはほとんど考えられません。純資産を増やすには、この利益剰余金を増やして、財務体質を良くしていく以外にありません。
 では、この利益剰余金がマイナスになって、資本金以上にマイナスになったらどうなるのか?資本金が1千万円の会社が、利益剰余金がマイナス1千万円を超えた場合のことを、「債務超過」と呼びます。債務超過とは、借金が多過ぎるという意味ではないのです。返済不要な資金が無くなった。純粋な会社の資産がマイナスになった、と考えるのです。
 「債務超過」になっても、倒産するという意味ではありません。東芝やシャープのように倒産しない場合もあります。ただ、その会社の持っている工場や設備、シャーペン1本に至るまですべての資産が、他人の物であり企業には人以外、何にも残っていない状態という意味です。
 逆に資本金よりも利益剰余金が多くなれば「資本超過」になります。この利益剰余金と資本金を合わせて、「純資産」といい、返済が不要な資金なので純粋なその会社の資産と考えます。すべての資産と比べて、その純資産が何%あるかを見るのが、自己資本比率といって、他人の資本、つまり借金で回っている会社なのか?自己資本で回っている会社なのかを調べることが可能です。
 この純資産がその会社の価値を表しますので、会社を売買する場合には、ここが値決めの最低金額になるのは、言うまでもありません。つまり債務超過の会社は、値段がつかないのです。

閑話休題。

 配当の話に戻ると、今期の純利益の中から配当を行なうのですが、その純利益は計算上の利益であって、現金じゃない。例えば、純利益が100万円だったとしても、手元には30万円しかないことの方が普通です。当然ですよね、だって決算をして終わりじゃなく、来月の仕入れをしなきゃいけないし、今期の在庫の残りもあります。P/Lには出てこない「お金の流れ」を考えなきゃ、純利益の何%を配当にする。なんて決めてしまったら、大変なことになります。お金がないってことが毎年起こってしまうのです。株主への配当のために銀行がお金を貸してくれることも、決してありませんしね。
 未上場の会社は、株を売買しないので、資本金はほとんど変化することがない。純資産を積み上げていくには、黒字にして利益剰余金を積み上げる以外に方法はないのです。ですから、未上場企業は配当などする余裕がないのです。
 ですから、未上場企業は配当をしない会社が多いのではなく、出来ない会社が多いと考えた方が早いです。我が社も当然配当はしていない。配当するより、実弾(現金)を残すことの方が企業存続につながりますから。
 その代わり、優良企業になると、上場企業よりも財務体質が良くなり、自己資本比率も高く、純資産も大きくなります。そのため、会社を売却する場合。もしくは株式を後継者に引き継ぐ際に、株価が高くなり過ぎて(純資産額÷発行済株式数)贈与税や相続税が払えなくなり、会社を引き継げなくなるなどの問題も出てくるのです。事業承継は早めに準備し、それなりの対策を取っていれば、それほど難しいことではありません。その点は、有料で個別ご相談を受けることも可能です。

 いずれにしろ、未上場の会社が配当などするわけないので、私は会社設立時に定款で「配当はしない」と記載したところ、公証人にダメ出しをくらって、削除する羽目になりました。
 確かに、法的には株主に配当しないという会社は、株主のためにならないので、株式会社として認めないのでしょう。ですが、建前の前に、実態調査をしてから法を見直して欲しいと思います。
 会社は、法の下には株主の物です。しかし、会社は誰の「ため」のものか?という問いに関しては、私は「公共のためのものです」と答えます。我が社は公に響くためにこそ、存在しているのですから。

 いつも読んでいただき、ありがとうございます。本日も皆さんにとって良い一日でありますよう、祈っております。

シンジ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?