「抽象化と具体化」

おはようございます。
公響サービス、代表のシンジです。

 経営者は、会社の方針を抽象的に示します。なぜか?方針を具体的に示してしまうと、例外的な状況になった時に、従業員はどう対応すべきかがわからなくからです。企業理念なども同様ですね。
 例えば、鉄道会社の事業目的を「鉄道に人を乗せて、安全に届けること」としてしまうと、自動車が出来てお客様を奪われても、「鉄道じゃないから仕方ないよね」と言って衰退してしまった。アメリカの鉄道会社のように。もっと抽象化して「人や物を運ぶ事業」もしくは「人の夢を運ぶ事業」「家族の距離を近づける事業」など、定義の仕方は様々に出来たはずです。それを具体化しすぎ誰がために、衰退してしまったのです。
 でも、抽象的な内容では、実際にどう行動したらよいのかわからないと思います。それを具体化した指示にするのが、部長や課長などの管理職となります。つまり、管理職とは、経営者の考えを伝言ゲームする者ではなく、抽象化された文章を、「いつ、誰が、どこで、何をする」という具体化した内容に、数字を使って落とし込むことが出来る者にしか務まらないのです。それが出来ないから、コミュニケーション不全が起こるのです。
 しかし、実際には中小企業の場合は、単に仕事ができる。もしくは社歴が長い者が管理職になるため、部下の管理をしていて、職場の管理も方針の管理も出来ていない。という現場が多く見られるのです。
 また逆に、実務に対する脳の使い方は具体化する必要がありますが、会社の戦略を話し合うような経営会議の場で、具体的なことばかりを言っていると、出来ない理由探しになってしまいます。やりたい方向性や情熱を語る時は、具体的な脳を抽象的な脳に変更しなければなりません。これは訓練しないと、なかなか切り替えられないものです。経営者はこの切替を、日常茶飯事に行っています。
 いまの会社で、重要な役割を担いたい場合には、仕事で成果を出すこと以上に、日本語力を磨き、抽象化と具体化の行き来が出来る脳を鍛えて下さい。他の同僚との大きな差別化につながると思います。訓練的には、常日頃読書をして、自分で実際に文章を書いてみることです。そして、後日その文章を読み返してみると、自分の言語力の弱い部分がよくわかります。サラリーマン諸氏は行うことをお勧めしますが、きっと誰もやらないんだろうな?と思っています。

 いつも読んでいただき、ありがとうございます。本日も皆さんにとって良い一日でありますよう、祈っております。

シンジ

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