親愛なる、夏まゆみ先生へ。

「失ってから気がつく」だとか
「もっと早く伝えておけばよかった」とか

使いまわされて手垢にまみれたこんな表現が
今でもいつも見かけるのは

それだけ、これを感じる人が多いからなのか、と、実感した今日。

生きていることは当たり前じゃない。
いつ何が起きたっておかしくない。
わかっている。
わかっている、つもりだけれど
それでもやっぱり、受け入れられない。
夏先生、早すぎるよ。


私は、小さい頃から「アイドル」になりたかった。
本当は、今だってなりたいのだ。

歌うことも、踊ることも、誰かを楽しませることも大好き。
花火のような、熱くて眩しい日を過ごすために
粛々と、着々と時間をかけるのが好き。
きっと適性で言えば高いんじゃないかと、未だに思っていたりする。

世の中の子どもは全員、「世界一可愛い!」と言われながら育ってほしいと思っているし、
例に漏れず、自分もそう言って育てられたので
幼少期は、割と本気で
「私は可愛い♡」と思っていた。

何にでもなれると思っていた。
ギンガピンクにも、セーラームーンにも、
モーニング娘。にも、ミニモニにも。

家の一間で、モーニング娘。のCDをかけて
汗をかきかき、毎日踊っていた。
そんな子どもだった。

どうやら自分のルックスでは「アイドル」ってものにはなれないらしい、
とはっきり気がついたのは、高校生の頃だった。
「努力することと、お客様を笑顔にすることができる人大募集!」
という謳い文句があっても、
この顔ではアイドルにはなれないのだ。

ここからしばらく、「自分のルックス大嫌い期」が続いた。
結構尾を引いて、実は未だに写真に映るのが好きじゃない。

自分の可愛くなさを、認めることになってしまうから。

それでもやっぱり、アイドルが好きだった。

当時SKE48の5期生オーディションの募集があって
本気で、大好きなSKEに入れたら、と願ったけれど
結局平凡な高校生活を過ごす道を選んでしまった。

それでもずっと、アイドルを応援し続けた。

AKBも、SKEも、NMBも、HKTも、SNHも、

モーニング娘。も、アンジュルムも、
そのほかのハロプロ全グループも。

歌って、踊って、汗かいて
刹那な青春を生きている少女たちが眩しくて

つらかった高校生活、
迷い悩んだ大学生活に、
何度も何度も光を与えてくれた。

「頑張ってもどうせできないから頑張らない」
そんなことを言っていた高校時代の私に
48の物語が「頑張ることは素敵だよ」と教えてくれた。

「自分なんてなんの役にも立てない、ちっぽけだ」
と思っていた私に
ハロプロの物語が「誰かが見てくれている。誰かをきっと勇気づけられる。大丈夫」と教えてくれた。

そのどちらも源泉を作ったのが
夏先生、
あなたでした。

ドキュメンタリーや、舞台裏の特集を見て

あなたが
「プロとしてお金と時間をもらう意味を考えなさい」
とおっしゃっていたこと
厳しい指導に見えるけど、
その奥で、誰よりもお客様のこと、そして演者のことを思っていること
「目からビーム、手からパワー、毛穴からオーラ」
という言葉で、たくさんのアイドルたちを輝かせて、私たちに元気をくれたこと
かっこよくてスマートなのに、
成長期の女の子の体にとって無理のないよう工夫された振り付け。

その全てが、私を作ってくれました。

夏先生
きっとあなたは、私のことは知らないでしょう。

あなたの知らないたくさんの人が、
今日はこうして、あなたに思いを馳せています

「あなたがいてくれたから、今の私がある」
これもまた、手垢にまみれた月並みな言葉だけれど

今のあなたに、今日の私が捧げたい言葉です。

夏先生
ありがとうございました。
どうか、
ゆっくりお休みになれますように。

今までもこれからも
あなたの言葉が、表現が
この世界に輝き続けます。






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