私は高円寺の四畳半に住みたい

自ずと「お金は抜群に無いけど夢追っかけてます」みたいな泥臭い大人の青春に憧れるようになっていた。

初めての一人暮らしは薄暗ーいカビ臭ーい6畳くらいの部屋で、もやしとか小麦粉で作る何とか生きる為のギリギリの食事を取り、夜中に銀杏BOYZを聴きながら「いつか成功してやるんだ」って泣きながら決意したかった。

だから、自分で不動産屋に言った条件は「そんなに広くなくていいんで、家賃3万くらいで」だった。
北海道の学生街とはいえ、3万円じゃそこまで良いところには住めないだろうと思っていたし、きっとそうだろう。


しかしいざ父と不動産屋に行くと、父は「オートロックで家具がついてる、風呂トイレ別のところ」と言った。
18年大切に育ててきた娘だ。そりゃ何か犯罪に巻き込まれたら困るし安心できる暖かい家に住んで欲しいと思うだろう。

だが、私は自分の野望を持っていたにも関わらず、父の気迫に押され(ヘビースモーカーの父は2、3時間タバコを吸えておらず、イライラしていた)それを父に言えなかった。
愚かだと思う。
4年間過ごす生活の拠点だ。何故自分で決めないのか。
まず、親との癒着を切り離す為に一人暮らしをするんじゃなかったのか。

結局、父の希望通り、オートロックで日当たりの良い9階の角部屋で、10畳ワンルームで、冷蔵庫洗濯機電子レンジが付いてて、自転車置き場がついてて、学校から徒歩2分で、徒歩30秒でコンビニがあって、共同のランドリーと乾燥機があって、自販機のある、家賃全て合わせて4万円のめちゃくちゃ住みやすい家に住むことになった。




この感じで4万円なら3万円の家でもまあまあ良い家だった気がする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?