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プロレスって思い出と戦い続ける|24/3/17後楽園ホール雑感

DDTの通訳Ashさんのnoteや曲がきゅうさんのnoteを読んで、いいな〜面白いな〜と思って書いてみることにしました。

アウトプット不精ではあるのですが、プロレス=テキストだとずっと思っていたので、一回やってみよう。AIに書けないめちゃくちゃな文章書いてやりますわ。

to HEROes ~TOBE 1st Super Live〜アイドルだってプロレスなんだって!やってやるって!

私たちは思い出に勝つことができるのだろうか?

いきなりなんだという話だけれど、きっと思い出には一生勝てない。思い出より今がいいなんてことはない。人の記憶にはどうしたって補正がかかるし、“今”というやつには常にうっすらと未来への不安が漂っている。どんなに幸せだとしても。
果物を食べるとき、甘さの向こうに微かな苦味を感じることがあるけど、ちょうどあんな感じで。

だから思い出や過去を相手に勝負をしなきゃいけない人たちは苦労する。

たとえば、先日私はTOBEの初コンサートに行ったんです。どうしてもNumber_iを拝みたくて。

プロレス記事なので一応説明するのですが、Number_iは旧ジャニーズ事務所所属のKing&Princeから脱退した3人による新ユニット。彼らはグループと事務所を離れ、TOBEという新しい場所で活動することになりまして。そんな彼らの、お披露目的な場が先日開催された東京ドームでの事務所ライブでした。

バチバチのヒップホップチューン「FUJI」のイントロが流れるやいなや、会場中に悲鳴が散乱。脱ジャニーズを果たした彼らが、メインステージの天井からゆらゆらと降りてきます。全身ブラックの衣装を見に纏い、ちょっと荒廃したような、剥き出しの金属っぽいステージに乗って。

ここでふと脳裏によぎるのが、King&Princeのデビューコンサート。2018年8月の横浜アリーナ。真っ白な王子様衣装の6人が、6脚の玉座に座って天井から降りてきた。平野紫耀の一節からはじまる名曲・シンデレラガール。なにもかもが完璧な王道アイドルだった。

だから、どうしたって天井から登場されたら、デビューコンサートを思い出すわけで。構図は一緒なのに、何もかもが違っていて。人数も減って、王子様の衣装は脱げ、そこに玉座はもうなかった。東京ドームの客席を見下ろすのは、あの頃より少し大人の寂しさを携えた3人。それでも瞳の輝きを失わないまま、毅然と歌い出す。

つまり、思い出がオーバーラップする演出になっていたんです。多分、意図的に。私は思いましたよ「これ、プロレスじゃん!」と。

だって、プロレスってずっと思い出と闘い続けてる。その証拠に、プロレスファンはいつまでたっても猪木だ長州だとはしゃいでいる。だから、まだ客の思い出に刻まれていない若手選手は弱い。

よくよく考えて、なんで体力のある若者がおじさんレスラーに勝てないの?って思いませんか。そりゃ「経験の差だ」と言われたらそれまでだけど、その経験とやらに「観客の思い出」分が含まれているのでは。

前にも書きましたが、プロレスは観客と勝負しなくちゃならない特殊スポーツです。対戦相手はもちろんのこと、客をいかに沸かせるか、会場をどう熱くさせるかということが最も重要なんですわ、と。

お客さんは思い出をいっぱい抱えて会場に足を運びます。それは「あの頃の新日」だったり「猪木」だったり、「あの頃の全女(全日本女子プロレス)」だったり。時に「あの頃のDDT」だったり。プロレスが、団体が、自分の中で一番輝いていた時代の思い出や伝承をたっぷりと蓄えて、客は席に座っている。思い出と照らし合わせながら試合を観るし、過去の映像が脳内でオーバーラップすると感動もひとしお。

うぜ〜!マジうぜ〜!うぜ〜から武知がそういう旧態型のプロレスオタク蹴散らしてくれ〜〜!なんてね、そんなことを少し思ったりもね。でもやっぱり2.25の感想を漁っていると「あの頃の全女の会場くらい盛り上がっていた」とか、「あの頃のドラゲー(DRAGON GATE)の会場くらい黄色い声があがっていた」なんて声を見かけたので、どこまでも思い出が好きなのですよプロレスファンは。

うぜ〜なんて言いましたけど、私もプロレスの伝承が好きです。映画「アントニオ猪木をさがして」もちゃんと観たし。変な映画だったけど。

伏線回収や人間ドラマによって旨味を発揮するプロレスにおいて、思い出は切っても切り離せない。というか、思い出をうまく利用して、伏線にして盛り上がっていくジャンルですよね。だから、うぜ〜というのは本音だし嘘だよ。

武知海青くんのQJwebの記事で、スーパー・ササダンゴ・マシン選手の言葉が引用されていましたね、「プロレスはサイコロジカルだ」と。

Number_iはそれをやったということで。あえて客の頭の中にある思い出を引っ張り出して感情を揺さぶる手法ですよね。プロレス好きの社長がいる事務所のやることは違いますわな。

ただし、Number_iの場合はもう少しシリアスな問題にもなっています。King&Princeの思い出に囚われている層が悪質なアンチと化していますので。プロレスのように「でもさ〜この因縁がまた新たなドラマを生むんだよな〜」とはならない。毎日毎日真顔で呪詛をつぶやき続けているファンもいる。可哀想にな。お嬢ちゃんに足りないのはプロレス的思考だ。後楽園ホールに来ないか?楽になれるよ。

Number_iはこれから長い時間をかけて、過去の自分たちが丹精込めて作った思い出たちと真剣に戦わなければならない。なかなか過酷だと思う。格闘技みたく拳で決めれたほうが単純なのにね。がんばってほしいです。

DDT EXTREME選手権試合
勝俣瞬馬 vs 岡谷英樹

その後、DDTの5時間興行(Judgement2024〜旗揚げ27周年記念大会5時間スペシャル〜)を観るため再び水道橋に降り立ちました。TOBEコンサートの東京ドームを横目に後楽園ホールへ。この興行でも、さまざまな思い出・記憶との格闘を見ることになるのです。

例えば、勝俣選手vs岡谷選手のデスマッチ(DDT EXTREME選手権試合~痛みを呼ぶジャングルデスマッチ)。これは2人にとってのリベンジマッチでもありました。

1年前、2023年5月21日後楽園ホールの同カード。私も会場で見ていたので、今でもあの時の心臓が縮むような感覚を思い出せます。勝俣選手がトップロープに飛び乗ったところを、岡谷選手が有刺鉄線ボードの上に叩き落とすという場面。多分、リング下に落ちた瞬間に足を折ったんじゃないかと思う。映像だとそう見える。

怖かったよ。ずっとプロレスを見ていると殴り合う姿に麻痺しちゃうんだけど、冷静に考えたら本当に命を削るようなシーンを私たちは楽しんで消費しているわけで、己の野蛮な側面にはっとさせられる瞬間でもありました。

ドラマ『俺の家の話』(2021年)の放送時、宮藤官九郎さんのラジオにササダンゴ選手と上野勇希選手が出演した回がありまして。ここで、最終回で描かれる主人公の死についての言及がありました。ササダンゴ選手いわく「プロレスラーがリング上でそこまで死を連想させるような表現をするのは結構タブー」なんだそうで。

そして私はこのラジオで「リング禍」という言葉を初めて知りました。

ウィキペディアの「プロレスにおけるリング禍」という項目を全部読んで、それでプロレス見るのが怖くなっちゃいました。リングの上で死んでしまった選手が実際にいる。それが1人や2人じゃなくて、結構いる。その現実に今さら打ちのめされた。

それからしばらくは会場でプロレスを見ていても「目の前で上野くんが死んだらどうしよう」という気持ちになってしまった(今も無くはない)。

そんな感情を持って客席に座ることが、選手にとって一番本意でないことは分かっているけれど、どうしてもそうなってしまった。

だから勝俣選手が立ち上がれなくなったときに、いろいろよぎって、怖くてたまらない気持ちになってしまったわけで。それはもうどうしようもない気持ちですよ、人間だもの。制御できない部分での、生理的な不安だから。

リベンジマッチの日。若手選手たちがロープに草を巻きつけて準備している姿にはゲラゲラ笑っていたけど、岡谷選手が入場するとやっぱり緊張して自然と両拳を握りしめていました。

1年前のあの日に後楽園ホールで2人の試合を見ていた全員が、レッスルユニバースであの日の試合を見た全員が、緊張していたんじゃないかと思います。

その緊張感は、もしかしたら選手にとってはノイズかもしれない。先入観はとっぱらって見てもらいたいかもしれない。でも仕方ないじゃん。だって怖いシーンを見ちゃったんだもん。

「どうしようもない客の生理的な不安感」「客の嫌な記憶(思い出)」という、いつもとは違うものを相手に闘う必要があった。そして何より本人たちが「目の前で人がケガをしたときの恐怖心」「ケガを負って痛い思いをしてつらい欠場期間を過ごした苦い記憶」という己の経験と戦わなければいけなかった。

普通の試合じゃなかったよね。闘う相手が多すぎた。けれど2人は、極めて軽やかに闘い抜いたように見えました。もちろんリング上は血生臭かったけれど、それでも軽やかだなと思ったのは、私自身が途中から恐怖を忘れることができたからです。2人のテクニックによって客の不安は早々に晴れたんじゃないかと思う。プロフェッショナルレスリングってすごい。

もちろん両選手のファンは生きた心地がしなかったかもしれないけど、フラットに見て客席は大盛り上がりだったし、エンターテインメントが優って恐怖を克服したような気さえした。(これもある種の麻痺ではあるのだろうけど)

「プロレスは緊張と緩和」というのも、私がスーパー・ササダンゴ・マシンによる「まっする」で学んだことですが、まさに過去の記憶が緊張を生み、ケガなく闘い抜いた2人の姿で大きな緩和が生まれた。

緩和の瞬間に脳がじわ〜とする。これがプロレスの麻薬部分なのでしょうね。

「プロレスもサウナも同じなんすよ〜」とか言う勝俣選手。なあにを言ってんだと最初は思ったんですけど、緊張と緩和ってまさに「ととのい」のメカニズムでもあって、ぜんぜん間違ったことを言ってなくてすごいよね、あの流血ベビーフェイスは(褒めてます)。

勝俣選手はやる理由が相当ない限りもうDDTのリングでデスマッチはやらないとXで言ってましたね。いろいろと考えがあってのことでしょう。
しかし、本当に勝俣岡谷戦で脳から変な麻薬が出た感じがして、今すっごくデスマッチ見たくなってるんですが、どうしてくれるんでしょうか。

KO-Dタッグ選手権試合
遠藤哲哉&飯野雄貴 vs 本田竜輝&安齊勇馬

記憶の話でいうと、遠藤哲哉選手もまた、苦い記憶に苦しめられているひとりなのでは。いよいよ長くなってきたので、ニュース記事貼って詳細は省きます。

「遠藤選手も長らく苦い記憶に苦しめられている」なんて書き方しましたけど、実際のところは分かりません。遠藤選手に聞いたわけではないので。ただ、少なからず私個人は引きずっている。多くのDDTファンもそうなのではないのかという気がしています。

非常にショックなシーンでした。これも会場で見ていて、本当に怖かった。怖かったし、他団体との対抗戦という性質上どうしても悔しさが拭えなかった。

NOAH(というか拳王)の言い分として「DDTは学芸会だろ」があって、当日までさんざん煽られて煽られて、やっと「バーカ!DDTはただの学芸会じゃないんだわ!」という意地をDDTが見せる日。それがCyberFight Festivalであった。はずなのだけれど、遠藤ショックによって「DDTは学芸会だろ」へのアンサーは宙に浮いてしまったように思う。

これについては本当、すまんな拳王…という気持ち。拳王にそんなつもりはなかったはずなんだ。私が拳王を大好きなだけなのですが。

もちろん誰のせいとかって話ではなくて。実際にDDTが学芸会かどうかって話でもなくて。結果としてそうなったというお話です。これもプロレスだというね。DDTは常に強いだけじゃなくて楽しい側面があるから、シリアスな展開を前にすること自体に私は慣れていなくて、脳みそが右往左往して、結果「悲しい」に着地しました。悲しかった。

だからこそ遠藤哲哉よ、KO-D無差別級王者に復活してくれと願っているDDTファンはかなり多いでしょう。私もそう思っています。そう思っているけれど、じゃあすぐに無差別級のベルトに挑戦すればいいのかっていうとそういう話ではない…ということを、あれから今までの遠藤選手は丁寧に丁寧にやっているのかなと推測しております。

一方、遠藤選手のタッグパートナー・飯野選手はフェロモンズという大人気ユニットに所属し、DDT史に残るであろうインパクトを残しながら、惜しまれつつ解散。更生施設に入りセクシーを抜いて、新生・飯野雄貴として生まれ変わった。けれども、いまだにフェロモンズ待望論は根強く、ごめんなさい、私も飯野“セクシー”雄貴が忘れられない人間のひとり。

だって、フェロモンズの全部の試合が面白くて最高だったから。DDTのファンはみんなフェロモンズが好きだった。飯野選手の尻を見ると本当につらいこと忘れられた。

思い出は補正されていく。過去の栄光は日増しにその光を強くする。これから飯野選手は自分で作ったフェロモンズという輝かしい功績を塗り替えていかなきゃいけない。

ようはフェロモンズがキンプリで、飯野雄貴がNumber_iってこと!「フェロモンズがキンプリ」は我ながら最低の例えだが。

ということで、現・BURNINGは過去の自分と戦わなければいけない状況の2人が奇しくも手を組んでおるんですね。え!エモいじゃん!?そう。今のBURNINGは非常にエモい状態なのです。

そしてそんな2人が対峙するのは、全日本プロレスの未来を担うユニット。その名も「New Period」って。ちょいと話が出来すぎてやしませんか。ねえ、高木社長。

このように、始まる前から抜群の構図だったわけですが、試合内容も両ユニットが予想以上の噛み合いの良さを見せて、会場中のボルテージがどんどん上がっていくのを感じました。本田選手よかったよね〜!攻撃されてるときに、あんな面白く「ぎゃー!」と叫べる人なかなかいない。とにかく声が面白い。

遠藤飯野組にとっても、タッグベルト防衛ロードの素晴らしい門出になったのではないかと思いました。2人はこの先も対戦相手だけでなく、過去の自分たちとの闘いを続けていくわけで、これは絶対に強くなっていきますよね。だって自分と闘うのが一番しんどいもん。

そして全日勢との交流戦のおかげで遠藤選手の口からついに中嶋勝彦の名前が出たことも震えるポイントでした。「1日たりとも忘れた事はない」と。

私も中嶋勝彦を忘れたことは一日もないよ〜!NOAHから全日に移籍して、どんどん変になっていく勝彦を見てドキドキもしていたよ〜!プロレスビギナーには難解すぎるよ今の勝彦。

この交流戦の先には、遠藤vs中嶋のリベンジマッチが待ち受けている…のかは分かりませんが(勝彦がとにかくずっと変だし)、期待してしまうでしょうやっぱり。遠藤選手がそこに向かって走っていることが分かっただけでも嬉しいのですけどね。

生まれ変わるとかそんなんじゃなくて、過去を引き受けて闘い続ける。そんな遠藤哲哉から目を離さないぞ!

KO-D無差別級選手権試合
上野勇希 vs HARASHIMA

で、DDTの古き良き思い出と闘い続ける男・上野勇希である。まさか、こんなチャンピオンになるとは思わなかった。

2022年TOKYO DOME CITY HALLで樋口選手が持つK-OD無差別級に挑戦したとき「もしも上野選手がKO-Dをとったらどんなチャンピオンになるだろう?」と考えたりもしたんだけど、うまく想像できなかった。

竹下政権(後期)や火野政権は「強いヘビー級のDDTを見せるたるんや」的な色が濃かったと思う。

樋口政権は「ドラマチック+強いDDT」という感じのバランス型。サイバーファイトフェスを経てKO-D無差別級王座を返上した遠藤選手の介錯をしたり、秋山選手との因縁にも一区切りがついたり、世話になった坂口征夫選手からの卒業をしたり…と、これまで築いてきた自身のさまざまな関係性を回収するというドラマチックドリームを描きながら、青木真也選手や竹下幸之介選手といった実力派を力で倒すという、バランスの良い防衛ロードを歩んでいて、個人的に一番好きなチャンピオン像でもありました。

↑樋口坂口戦の煽りVTRが本当にやばいので観て〜!過去5本の指に入る煽りV。

クリス政権は「ドラマチックドリーム」に全振りしていたようにも。それは彼自身が人格者であり、愛されるキャラクターであったのに加え、誰とやっても面白い試合展開にできる超テクニシャンだったので、自然とそうなったのではないかと思います。この3〜4年でいえば、一番のピープルズチャンピオンだったんじゃないかと。クリスのアンチって見たことない。DDTの人はみんなクリスブルックスが好き。

だから上野さんがチャンピオンになったときに、どこに身を置くのかというのが本当に想像つかなかったんですね。まずピープルズチャンピオンは無理じゃん、だって。若くて、顔が良くて、ハツラツとしている人間なんか全員に好かれるわけがない。力道山が外国人レスラーを倒す姿を見て敗戦国の日本は涙流して喜んでたわけで。そういうね、卑屈な客を喜ばせるのがプロレスだもん(正式な悪口です)。冗談だよ、怒らないで。

竹下選手に憧れてプロレスラーになった背景を思えば、ひたすら力やテクニックを見せる方向に走ってもおかしくないなとは思っていました。まあ、それはそんなに面白くはないだろうとも思ったけど。竹下選手に憧れて、竹下選手がやったことをなぞったとて。いやでも、そうなるかも…みたいな不安のような、期待とはいえない何かが正直あったのです。ごめんね。推しを疑うタイプのオタクなもので。

だから男色ディーノ、HARASHIMA、彰人の流れにビビり散らかしてるというか。それでいて興奮しきっているというか。予想を遥かに裏切る最高の防衛ロードを歩んでいて、惚れ直しが止まりません。推しを見くびりすぎていたね。反省だ。

上野選手は「ピープルズチャンピオンタイプじゃない」という部分を利用してドラマチックドリームを突き進んでいるように見えます。男色ディーノ戦もHARASHIMA戦も、会場中が挑戦者の味方だった。それはそうに決まっている。みんなDDTが大好きで会場に来ていて、そのDDTを作ったのはまぎれもなくディーノ選手であり、HARASHIMA選手であるのだから、上野選手を応援している人の方が変ですよ!私だ。

新宿FACEを覆いつくす大ディーノコールの中で、上野勇希は笑っていた。変で気持ち悪いよ、あんな笑顔は。最高なんだけどさ。

上野選手は自他共に認める「非プロレスファン」であり、プロレスの歴史には疎いそうで(だから長州力と組んだときも大して緊張はしなかったとか)。

上野選手の中ではプロレス=新日でも全日でもなく、それそのままDDTであり、だからこそDDTの過去に向き合う理由もドラマも持っていて、「過去のDDTと闘う」は実にまっとうな展開だったのだ…と、今になって言うのはずるいよね。すみません本当。見る目のないファンで恥ずかしいよ私は。

あの時のディーノコールは“DDT”への声援だったし、それはDDTがすべてである上野選手の力にもなってしまうという旨い構図になっている。旨いし怖い。他人の声援を養分に変える化け物だ。褒めてる。

私は映画「俺たち文化系プロレスDDT」も好きなので、当然HARASHIMA選手が好きです。だから上野HARASHIMA戦はどっちを応援していいか始まるまで分からなかった。でも試合が始まって、やっぱり会場の空気がHARASHIMA選手に期待しているのを感じて、上野選手を応援したくなっちゃった。

いい試合だったね〜関係ないけど横顔きれいね〜
そしてブラックアウトスリーパーはずるいだろ〜カーラノワールを思って泣いた

ここまで書いた通り、そうなんです。私は「過去と闘う」系の話が大好き。だからNumber_iにも肩入れしている。“今”が思い出を超えるシーンが見たい。

でも、上野選手がただ過去と戦っているだけとも思っていないです。
というのも、ディーノ選手もHARASHIMA選手も竹下幸之介がKO-D無差別級をめぐって戦ってきた相手(しかもどれもベストバウト)なので。上野選手のプロレス人生の目標のひとつに竹下幸之介を倒すことってあるでしょう、きっと。そのための鍛錬をしているんじゃないかと邪推しています。

つまり、上野選手は未来に向かってもいる。
過去に向かって走ると未来(ザ・フューチャー)へ繋がるなんて、あまりにドラマチックな立ち位置すぎやしませんかこのレスラー。

↑竹下くん未来Tシャツ、おすすめです。

想い出はいつもキレイだけど それだけじゃおなかがすくの
と、そばかすみたいな防衛ロードを歩む上野選手を見てるのが今最高に楽しいです。

DDT UNIVERSAL選手権試合
MAO vs 正田壮史

そして、正田よ。正田ファンよ。
いつか今が過去になるときに、正田選手は自分と闘うことになる。そのときに、最大エモ風速を記録すると思うので、もう金輪際片時も目を離さず追い続けるといいと思います。未来は明るいよ。

正田選手のファンが落ち込んでいるのを目にしました。プロレスは推していて、もどかしいときやつらいときもある。リングで負ける推しをたくさん見ないといけない。毎回悔しい。私も富士通スタジアムの上野佐々木戦はいまだに見れないトラウマ試合になっている。

だけどDDTはいつも温かいし、意味のない試合はないし、未来は明るい。
いつかそう遠くない未来、2024年3月17日後楽園ホールの記憶が回収されるとき「プロレスって最高〜!」となる日がきます。必ず。
だってプロレスは思い出競技だからさっ!よし⭐︎

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