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馬場裕一さんの訃報に接して

馬場裕一さんが永眠されたとの報に接し、衷心よりお悔やみ申し上げます。


■私の中の「馬場プロ」

麻雀プロであると同時に麻雀ビジネスの先駆者の1人であり、ギャンブルのイメージが強い「麻雀」をエンターテインメントとして昇華してきた方だと思っています。

と言っても、私は馬場さんにお会いしたことはありませんし、馬場さんの知己の方から噂を耳にしたこともありません。
麻雀集団「バビロン」についても、詳しいことは存じ上げません。

私の中の馬場さんのイメージは、古くは片山まさゆき先生のマンガに登場する「ババプロ」であり、または「MONDO杯」の解説者としての姿であり、直近では『メンチン何切る』の著者としての存在です。
麻雀プロとしての競技実績はほとんど存じ上げませんが、その存在感は抜群で「いい加減だし問題も多いけれども、どこか憎めないキャラクター」という認識です。

■麻雀の浸透と発展

馬場プロが愛し、人生そのものを注ぎ込んだ「麻雀」は、その尽力の甲斐もあって発展してきた面があることは否定しにくい事実だと思います。

戦後日本で、「麻雀」は純粋に「ギャンブル」として発展してきました。
昔は雀荘といえば古いビルの薄汚れた部屋で、タバコの煙が充満し、一日中ジャラジャラと音を立てて金銭を奪い合っている場所というのが相場でした。

麻雀のエンターテインメントといえば、古くは阿佐田哲也氏の『麻雀放浪記』、小島武夫プロ・阿佐田哲也氏・古川凱章プロの「麻雀新撰組」の活動が草創期でしょうか。

その時期から20年以上経って、私が高校生・大学生で麻雀にハマり始めた頃には竹書房の『別冊 近代麻雀』があり、片山まさゆき先生の『ぎゅわんぶらあ自己中心派』『スーパーヅガン』『ノーマーク爆牌党』を愛読していた記憶があります。

そこからまた10年くらいが経過し、CS放送の「MONDO TV」で「MONDO杯」が放送されるようになると「麻雀対局の観戦」という楽しみ方が広まっていきました。
同時に実力派のプロやビジュアルに優れた女流プロの存在も認知され、次第にファンも増えて定着していったように思います。
この時期に活躍していた若手プロ雀士は、今でもMリーグ等の第一線で活躍されていますね。

さらに十数年後、サイバーエージェント代表・藤田晋氏が中心となって「Mリーグ」が発足し、「ギャンブル」からの脱却が急速に進んでいます。
今ではMリーグの人気が高まったこともあってか、室内も清潔感が保たれて禁煙・分煙が主流となり、ノーレート雀荘が人気となってもはや単なる「ギャンブル」とも言えなくなってきています。
麻雀を嗜む若い女性の割合も増え、プロ雀士も著名人やアイドルに近い扱いを受けるようになり、純粋な「趣味・社交の場」や「エンターテインメント」としても確立されてきました。

もちろん、その中で極めて多くの方々が様々な方面で力を尽くされてきた積み重ねは間違いなくあります。
雀荘経営者やメンバー。常連客。麻雀を嗜む若者たち。プロ団体を立ち上げ、参加し、競技麻雀を発展させてきた方々。麻雀サークルを作り、参加し、存続させてきた方々。雑誌や媒体の立ち上げや運営、広告・宣伝に携わった方々。

こうした先人の皆さんのお陰で麻雀愛好者が増え、ビジネスとしてもエンターテインメントとしても発展してきた「麻雀」を楽しめている私がいるのは間違いありません。
そう思うと、いくら感謝しても足りないくらいです。

馬場さんもその中で大きな役割を果たされた方だと思います。
改めて、ご冥福をお祈りいたします。

■連綿と続く時間の中で

もっとも、こうした(良くも悪くも、ですが)「先人たちのお陰で」という部分は麻雀に限らず、人が関わるあらゆる場面に通じるものですよね。

今ある環境は決して当たり前のものではないですし、全てのものは移ろいゆく。

顧みて、私自身が今まで歩んできた道・これから歩んでゆく道が果たしてどんな影響を生み出してきた・生み出してゆくのか。
いち個人ができることは限られているとは言え、よくよく考えないといけませんね。自戒しよう・・・。

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