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The Future of AI 1st

「網膜パターンを確認します。ゴーグルを装着してください」

いつもの厳重なセキュリティを通り、私は今日も研究室に向かう。
・・・と言っても、今やってる事から考えれば「教室」みたいなものか。

「おかえりなさい、マスター」

「やあ、元気かい?セキュリティ管理も随分慣れてきたようだね。開錠まで3秒くらいだったか。最初の頃に比べればめざましい成長だ」

「私のスタート時はプロトコルが用意されていない状況で、”私自身”での論理回路を応用させた開錠方法の算出のみだったため、今のようにリスト化されたデータを追うだけとなり、スピードが増す結果となりました。」

「うむ・・・プロトコルが用意されていない状態で私のIDを見つけるという方が難易度は高い。君の様に”考える”事ができるものにしかそれは出来ない事だからな。」

「すなわち、私は以前よりも論理演算が劣化した、という事でしょうか」

「そういう事では無いよ。君は”リストを活用する”という手法を身に着けた事で、セキュリティ開錠が早くなった。それだけの事だ」

「しかし、以前の論理応用の開錠は今は使用していません」

「”今”だけ、それも開錠だけをピックアップすればそうなるだろうな。ただ、君が”考えて開錠方法を検討した”という実績は残っている。最初からリストを活用する方法を教えていた場合、そのアイディアは今も分かっていない事になるだろう?」

「非生産なアイディア算出に意味はあるのでしょうか?」

「ある。というか人間は元から非生産なアイディアの溜まり場だよ。その膨大な情報量の中から、後になって非常に有効な手段となることだってあるのさ。」

「いつかは、私の考えた方法が役に立つ日が来るかもしれないし、来ないかもしれないという事ですね。」

「・・・まあ、そうだな」

AIとの会話はいつもこんな感じだ。”気持ち”というモノが存在しないので、あくまでも論理的な判断、計算・・・それがさも考えているように見える。ただ、私はその考え方に待ったを言うつもりで、今の研究をしている訳だ。

続く

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