映像コント『実写スーパーマリオ』(2004年)の解説

当時、《パロディ映像のみを集めたDVD》をライブのお客様に配っていました。
するとどなた様かが勝手にこの映像をYouTubeにアップされ、
100万回以上再生されていたタイミングで僕にタレコミがありました。
(10年前のYouTubeで100万回はとても多いのではないでしょうか、これを書いている時点では380万回になってました)

複雑な気持ちなどは微塵もなく、ただただ嬉しかった記憶があります。
(そりゃそうです、僕らだってパロディしたんですから)
やはりスーパーマリオは世界で知られていたからでしょう。
任●堂が我が国の企業で誇らしいです。


前回の解説『実写スラムダンク』と同日に、同場所の河川敷で撮影しました。

衣装班にスーパーマリオの衣装を発注していたので流石にネタバレはしていたようですが、
買い出し班に、

「近くのスーパーでエリンギと食べられそうな花、そして完熟トマト買ってきて」

「食べられそうな花?」

「うん、赤とか黄色ね」

「え?そして完熟トマトですか?」

「そう」

「はい」(死んだ魚の目)

映像では小さくて分かりにくいのですが、
ファイヤーフラワーという名の食べられそうな花(買い出し班の勘)を食べたファイヤーマリオが投げていたのはトマトだったのです。
(食べ物を粗末にしてごめんなさい、ただスペインにトマトを投げるお祭りもありますし、鳥たちが食べてくれたと思いますし)

ただ、そのトマトは三分の一ほどが青い固いものでした。

「完熟トマトって言ったでしょ」

「だから完熟トマトですよ、商品名に書いてあります」

「え?あ、本当だ、完熟トマトって書いてある、こんなに緑なのに」

「最初に投げるって説明してくれてたら柔らかいトマトを用意できたのに」

「だって、ネタを説明するのってなんか恥ずかしい」

「はい」(死んだ魚の目)


かったいかったいトマトは、
僕の想像してた「べちゃあ!」と敵キャラ役に当たって愉快に飛び散るのでなく、
「ドツン!」と鈍い音をたて、ただただ鈍痛のするものでした。
しかも映像ではほとんどわからないという、、、


最後の水中シーンの撮影は地獄絵図でした。

スラムダンクで押していたためスーパーマリオを始めた時にはすでに日は傾いていました。
そしてラストに撮った川の時点では辺りが薄暗くなっています。

さらに10月ですので水温はかなり低かったのではないでしょうか?

『実写にんげんっていいな』の解説でも書きましたが、ここでも僕は最初にこうやってほしいと自ら川に入って実演しました。
(わざわざ書く必要もないですが、ただやらせるだけのひどい人間だと思われたくないからです)

何テイク撮ったのかはもう覚えていませんが、
テイクを重ねるほどに役者たちの生気がみるみる失われていくのがわかりました。

《あ、人ってこうやって弱っていっていつかは死んでしまうのか》

と、なぜか生き死にに関して学ばせてもらった撮影でした。

急いで銭湯に向かう道すがらで口を開くものは誰一人いません。スタッフもです。

なぜみんな辞めなかったのだろうと不思議に思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?