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我慢する勇気 自力Sub3.5を目指した愛媛マラソン2020 Part1

2018年にSub3.5達成。しかし…

2012年にランニングをはじめて6年目の2018年11月の岡山マソンでSub3.5(3時間半切り)を達成した。しかしこの時は3時間半のペースメーカーにひたすらついていってなんとかゴールしたという他力本願のレース展開で自分では納得していなかった。

自力でSub3.5を達成したい」と思ったが、それ以降のフルマラソン3回でいずれもSub3.5は実現できなかった

2019年2月の愛媛は動画撮影しながら走って3:33’、3月の東京は雨と寒さに凍えて3:34’と結果が出せずに終った。11月の福岡は事前の調査と練習不足が重なり3:40’とここ数年でのワースト記録を更新してしまった。(そのショックはSNSにアップしなかったほど!w)

この低迷している理由の一つとして目標を失なってしまったというのがある。フルマラソンでSub3.5というのは一つの自分の到達点だった。それは愛媛マラソンのアスリート枠(抽選する一般エントリーの前に優先的にエントリーできる権利)の条件が3:30’だったからだ。

一度アスリート枠をゲットしたら3年間有効なので、2018年の岡山で3:30’を達成して気が抜けてしまったという部分は正直ある。

また、自分の現在の目標は、フルマラソンのタイム向上を目指すというよりも、100マイルのトレイルレース具体的には今年の4月に出走するUTMF、そして来年の8月にUTMBを完走することに焦点を絞っているからだ。

4月に控えているUTMFに注力するため(予算的にも時間的にも)、今のところ地元の愛媛しかフルマラソンをエントリーしていない。

フルマラソンに心が向いていないとはいえ、なんとか2020年最初の愛媛マラソンで再びSub3.5、しかもペースメーカーに頼らない自力サブ3.5を実現してUTMFに向けてのよい通過点にしたいという思いがあった。

今回いくつか新しい試みを取り入れたのでメモしておく。

ポラライズドトレーニング

TAKEfootWorksのタケさんに提案してもらったポラライズドトレーニング(Polarized Training)を実施した。

簡単に言ってしまうと高強度と低強度のトレーニングの二極化でトレーニングを行う施策のことだ。いわゆるペース走のような中強度のトレーニングはおこなわない。

自分は元々低強度トレーニング(ジョグ)を多めにやってきたが、逆に高強度トレーニングはほとんどやっていなかった。せいぜいレース前にレースペースで走るくらいだ。なぜならメインがウルトラやウルトラトレイルといった長距離主体なのであまりスピード練習に重きをおいていなかったからだ。

しかしポラライズドトレーニングだと、低強度に加えて高強度(20%くらいの時間)の練習を含める必要がある。

そこで60秒のダッシュを数回、または5分全力走の反復などのスピードトレーニングを週1程度実施することにした。

実施するのは、毎週水曜日のお絵かき教室の待ち時間に河川敷までジョグで移動し、そこからスピード練習を2-3数セット実施して再びジョグで教室まで戻るというメニューだ。

毎週木曜は子どもの野球教室があるので、その待ち時間に近くの神社の裏山へ登る階段を駆け上がるのを2-3セット行った。これまではこの裏山は朝走っていくのがルーチンだったがその時には基本1回しか登らなかった。それを夕方に変更して反復するようにした。

水木以外の曜日はゆるくジョグを行うか休んで、週末は土日どちらかで近くの山にでかけて3時間以上里山探検するという低強度トレーニング(というか遊び)を行った。

スピードトレーニングは心肺を追い込むのでキツイが、レース中は逆に楽に感じ余裕ができることがメリットだというのがやってみてよくわかった。

また時間走(一定時間でどこまで走れるか)や、同じコース同じ距離をラップ計測して過去と比較する指標にできるので、週毎の成長(や停滞)を感じることができるのも新しい発見だった。

これはアジャイル開発で言うところのベロシティを上げるのと同じ感覚だ。

そして重要なのはこのポラライズドトレーニングは決してフルマラソのためにやっているのではく、あくまでも100マイル完走のためにやっているという点だ。

月間走行距離は気にしない

ここ半年くらいの走行距離は以下のグラフのような感じだった。300km越えた月もあれば150kmにも届かなかった時もある。

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普段は意識としても月間走行距離は気にしていなかった。むしろ週の運動時間を気にするようにしていた。目標は8時間/週だがそれすらも難しい時もある。時間がとれなければ短時間で効果的な内容にするしかない。そういう意味でも先のポラライズドトレーニングは今の自分には合っていたと言える。

一週間前のハーフマラソン出走

愛媛マラソンの一週間前の2/2に香川県の丸亀国際ハーフマラソンに出走した。ハーフマラソンを走るのは数年ぶりなのでペース配分などもすっかり忘れていたけど。

ハーフマラソンの自己記録を目指すという方向もあったが、今回は愛媛の調整目的だったので目標タイムに向けてペースを意識するのではなく、呼吸を安定させて走れるペースで完走をするのを目標にした。結果は1:35’で完走 することができダメージもほぼなかった。

一週間前というギリギリではあったが、ハーフのペースはフルよりも当然速くなりレースの雰囲気も体験できてよい練習になったと思う。

モルテンで栄養補給

これもTAKEfootWorksのタケさんに紹介してもらったものだ。

これまでレース中の補給は色々試してきたが、ジェル系は甘すぎたりべとついたりして好きではなかった。BCAAの粉末サプリメントなども途中で飲んだりもしていたが粉がむせるのでレース中はとりたくない。甘すぎず食べやすいゼリー系をメインに使っていたが、ジェル系よりもかさばってしまうリスクがあり荷物が増えてしまうというデメリットもあった。

何より最近はケミカルな味のものを摂取すると気持ちが悪くなるので、できるだけ自然由来のものを採るようにしているが固形物はかさばるのでなかなか難しい。

今回はモルテンDRINK MIX 320GEL100/GEL100 CAF100を使ってみた。(スポーツ用品のモルテンじゃないよ!)

DRINK MIX  320は水に溶かして飲むタイプだが、なんと500mlで320kcalのエネルギーを補給できる。すこしとろっとした口当りだが、当日の早朝からゆっくり飲むことで(朝食に加えて)事前のエネルギー補給はばっちりできたと思う。

レース中はGEL100を20km、GEL100 CAF100を30kmで摂取した。ジェルはプルプルとしておりにこごりみたいな食感。甘すぎないのでとても食べやすく普通のエナジージェルのようにむせてしまうこともない。

念の為にあと二つのジェルも持参しておき20km以降5km毎に摂取するようにした。

直前の過ごしかた

2/2の丸亀国際ハーフ後の練習は、通常の練習と同じように習い事の待ち時間の練習を水木で行ったが、ペースは普段より落した。というよりも、いつものペースでは足が動かなかったというのが本当のところだ。ハーフ後の疲労はやっぱりあったのだろう。

後は丸亀国際ハーフ以降は走ると右足鼠蹊部が痛むようになってしまった。直前の金曜に鍼灸で診てもらって少しは不安は取り除けたのだが。

レース前日の土曜日に最後の仕上げとして河川敷で1kmの全力疾走を行って追い込んでおいた。これで当日はちょっとは楽に感じるだろう。

やらなかったこと — ロング走

フルマラソンの一ヶ月以内に大抵行う30km以上のロング走の練習は結局一度もやらなかった。これは丸亀国際ハーフマラソンを走るのがロング走の代わりだったということもあったが、週末は山の探険を重視していたのと、ポラライズドトレーニングの側面で、ゆるジョグかスピード練習しか行ってなかったという側面もある。

ロードだけで30km走るのは今の自分にとってはかなり退屈なので、誰かと一緒に走るとかならできるのだが…

当日やったこと (1) 呼吸に意識を向ける

当日の戦略は唯一つ。抑えて抑えて、後半スパートだけだった。

基本のペースは4’53-55”/kmに設定し、ここを上回りすぎないようにし、30kmを過ぎたらスパートをかけるように考えていた。細かなラップタイムのチェックは一切しなかった。

実際はレース中にはペースに波があり、早すぎたり遅すぎたりするのを調整しながら進んでいた。途中からペースをその都度微調整するのが思いの外疲れるため、時計を見る回数を極力減らし呼吸を一定にしてそのペースを保つように作戦を切り替えた。

自分の場合、呼吸を「(鼻で吸う)スッスッ」「(口で吐く)ハー」のリズムで一定を保ちながら走ることに注力することで、それほど実ペースを気にしなくても一定の速度で走れた。これは丸亀国際ハーフでもやったやり方だ。

自分はレース中でも走りながらついつい考え事をしてしまうことがある。仕事のことゴール後のことその他諸々。そうなるといつのまにかペースが早くなりすぎたり、逆に遅くなってしまう。普段のジョグなら気にしないのだが、レース中は身体と呼吸に意識を向けるように方向を転換させた。

当日やったこと (2) 前半抑えて後半上げる...言うは易し行うは難し

過去2年のレースの結果をみると、どれも後半失速する失敗レースだった。

前半飛ばしてしまい後半失速する飛ばし過ぎ、あるいは前半を抑えてるつもりでいても自力が伴っておらず後半ペースを上げようとしても上がらないどころか失速してしまう勘違いペースの二つのパターンがあった。

過去にネガティブスプリット(後半にペースをあげてそのままゴールする)で走れたレースは一度しかない。Sub3.5を達成した岡山2018でも、結局最後はバテて必死でペースメーカーについていったのを思いだす。

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直近3レースの5kmラップをグラフにしたが、どれも25km以降に失速しているのがよくわかる。

2019の愛媛は最初の5kmでゆっくり過ぎたので、少しペースをあげてキープしながら30km以降でスパートをかけようとしたが結局失速してしまった。

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2019年の東京も同じく最初の5kmが遅くペースをあげたが、前半の下りでペースを上げすぎて同じように30km以降に失速してしまった。(この日は雨も降りとても寒くて手がかじかんで思うように動かず補給もうまくできなかったのを思いだす。)

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2019年の福岡では、後半の失速の度合いが笑ってしまうくらい大きすぎて話しにならない(笑) 前半は予定ペースとほぼかわらずいけてたのだがスパートする余力がなかった。勘違いのペース配分だったのだろう。一言でいうと実力が伴なっていなかったということだ。

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これらと比べて唯一後半スパートを上手にかけられたのが2017年の東京マラソンだ。この時は35kmからスパートをかけて、ゴールしてもまだまだ走れるくらいの余裕があった。翌日以降も筋肉痛が一切なかったのにも驚いた。

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ネガティブスプリットでレースを完走することは、自分がレースをコントロールしている万能感が持てとても気持ちよい反面なかなか思うようにできない。

ネガティブスプリットが難しい要因は、どうしても前半は周囲のペースに巻き込まれてオーバーペースになっていたり、「このまま行ける」と勘違いしてペースダウンをせずにそのままいってしまう、というものがある。

これらを防ぐためには、当日までのトレーニングも当然必要だが、当日のレース運び、つまり前半を徹底して抑えて後半のスパートの余力を残しておくこと、ペースアップするタイミングを見極めるのが必要だ。

かといって抑えるのを意識しすぎてペースが前半あまりに遅くなって途中で焦ってペースを上げてしまし最後まで持たないというのもよくあるパターン。バランスが重要だ。

今回は細かいラップはまったく気にぜずに、常に基準ペースとなる4’55’と比べて速いか遅いかだけでペース配分を行った。これまでは手に5km毎のラップを書いた絆創膏を貼りつけて途中で細かにチェックしながら走っていたが、意識がタイムの方に向きすぎていたように思いやめた。

さてここまでが愛媛マラソン2020の準備編といったところか。長くなったので当日の状況は別の記事にしてみることにする。

果たして自力Sub3.5は実現できたのか?

はたまた、やはり後半失速の憂き目にあって大反省会を繰り返すのか?

続きはこちら。。。


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