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我慢する勇気 自力Sub3.5を目指した愛媛マラソン2020 Part2

前回までのあらすじ

2018年にフルマラソンでSub3.5(3時間半以内にゴールすること)を達成したものの翌年はパっとしない記録に終ってしまった自分がなんとかしたいと思い昨年11月から新しい試みにチャレンジしてきた。

これまでのレース戦略も見直して、事前準備と当日戦略の合せ技をもって果して2020年令和最初の愛媛マラソンはどんな結果になったのか?続きです。

スタート前 シューズは上履き

朝は若干寒かったが、思ったよりも天候はよく陽射しの下は暖かった。

今回はメレルのMove Gloveで出走しようと考えていた。昨年購入してから気にいってメインシューズにしていのだが、二週間前に六甲山にトレランしに行った時に転倒のひょうしに壊れてしまった。日常生活やトレーニングで履くことはできるがレースで使用するのはちょっと厳しい。とても気にいっていたのに残念。

新しく同じシューズを買おうとも思ったが、予備で保持しておいた以前メインで使っていたシューズのムーンスターのジャガーエースGのホワイトで出走することにした。

ジャガーエースG

アウトソールはゴム、インソールなし、クッションなし、下手するとルナサンダルよりも薄いこの体育館履き的なスニーカーでこの5年のすべてのフルマラソン、2019年以外の100kmマラソンを走ってきた(2019年の四万十ウルトラはルナサンダルで完走)。岡山のSub3.5もこの靴だ。

ちまたでは厚底、反発素材のシューズが話題になっている。丸亀国際ハーフマラソンの時も、近くを走るランナーが「ナイキの厚底を履くと人によっては3分マラソンのタイムが縮むらしいよ」という話をしていた。

自分の走る目的の一つに「人は本来走ることに適した身体構造である」という書籍『BORN TO RUN』を読んで知った仮説を自身で検証するというものがあった。

それ以来一貫して薄底のシューズ、ルナサンダル、自作のワラーチや草鞋で走ってきた。たとえ靴を変えて3分タイムが縮もうとも道具の力を借りてタイムを縮めるモチベーションはない。今回もこの体育館履きシューズでSub3.5を目指すことにした。

スタート ペースを守れ

会場に到着し荷物を預けたあとに少しだけアップをしてからスタートブロックに入った。

会場に入る前に獣神サンダーライガーとタイガーマスクのコスプレをしている人たちを見かけた。ちょっと太めだけど再現度の高いコスプレだ。頑張って欲しい。

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今回はBブロックからのスタートだった。ステージでしゃべるゲストの声は聞こえるが、たけやま3.5、M隆史さん、高橋尚子さんらの顔はよく見えず残念。

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スタート位置の県庁前付近に移動してスタートを待つ。

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カウントダウンがはじまり、気づいたらスタートしていた。スタートゲートまでは1分未満でタイムギャップがあまりなくいいスタートを切れた。

ここ何回かのレースでは、開始当初を抑えすぎてかなり出遅れていたので、飛ばしすぎない程度に予定の4:55'/kmのペースに合わせて走る。

スタートからしばらくは沿道の声援がものすごい。毎回感じるが愛媛の声援は地元贔屓とかではなく素晴しいと感じる。

西一万交差点、平和通り、本町六丁目の交差点を過ぎて国道196号に合流する。ペースは当初の予定通り抑えて飛び出さないようにして周囲に抜かされても気にしないで進む。

そこまで気にしていても、気づくと4:45’くらいにペースアップしている時もあり、あわててペースをまた元に戻す、こんなことをしばらく繰り返していた。

7km付近の平田の坂にさしかかるもペースを落さずにそのまま一気に登る。まだまだ元気だから行きはよいよいだが帰りは怖い平田の坂

堀江小を過ぎて少しペースがあがってしまった。トンネルに入るとGPSが効かないのでペースがわからず呼吸に集中してそのままのリズムで走っていく。

12km ペースよりも呼吸に集中する

光洋台を過ぎてから小まめに時計をチェックしていると走りに集中できないのでチェックの頻度を下げて走るようにした。それよりも呼吸を「スッスッハー」の一定のリズムを作り安定させる。心拍もまだまだ余裕があり大丈夫そうだ。

15kmを過ぎ、5km毎のこれまでのラップをみるとおおよそ24分台でいけているようだ。大幅なペースアップやダウンの必要はなさそうなのでそのまま進む。

ランナーがまだまだかたまっているため、エイドの給水はかなり混み合っていた。気温はそれほど高くないので、前半は3回に一度程度の給水にした。途中給水しようとしたらテーブルにコップがなかったこともあった。

20km 補給は予定通り

北条から右折を二回し20km付近で予定通り持参のモルテンGEL100を摂取した。プルプルのジェルの食感は食べやすくしかも甘過ぎない。高濃度のジェルと比べてとても食べやすかった。

21.9kmのエイドには自分の好きな山田屋のまんじゅうが置いてあったのでジェル補給直後だが手にとった。県外の人にお土産をもっていくときにまず最初に買うのがこの山田屋饅頭だ。しかし饅頭は包装紙のまま渡されて手袋をして走りながら食べるのは一苦労だった。

こんなことを繰り返しながらなんとか25kmまで進んだ。エイドの給水は結局3回に1回くらいしか取らなかった。GEL100に引き続き予備のジェルを摂取しておいた。

28km 予定より速いスパート

ちょうど28km時点で沿道から声が聞こえた。

「3時間半いけるよ! Sub3.5のペースランナーはさっき通ったよ!」

ここではじめて今のペースがSub3.5ペースより遅れてるのに気づいた。前をよく見ると確かにペースランナーの風船がかすかに見えている。

30kmからスパートしようと考えていたので正直予定よりも早いタイミングでのスパートには、いつ足が動かなくなるか、鼠蹊部が痛くなるか、という不安もあった。しかしここぞとばかりにペースを上げ始めた。

しばらくするとSub3.5のペースメーカーに追い付きそのまま抜いた

30km付近で予定通りGEL100 CAF100を摂取し、最後の難関である平田の坂に備える。

35km  坂ニモマケズ

愛媛マラソンの最難関である35km付近の平田の坂。これまでは大抵ここでペースをがくっと落していた。今回はできるだけペースを落さないように登った。なんとかピークまで登り、下りは自然にペースを上げ駆け下りる。

直後のエイドは飛ばしてそのまま走り、途中でQちゃんとのハイタッチ!前週の丸亀に続いて二週連続だ。あとは平地を進むのみ。

39km 最後の直線で思いだした笑顔

残り5kmを切ってからは推進力と空気を多く吸うため腕振りを大きくした。これが最初からできているといいのだが、さすがにもたないので後半にとっておいた。

道を左に進みゆるやかなカーブを抜けると最後の直線。もうタイムは気にせずひたすら呼吸のリズムを気にしてできるだけ速く走る。足はまだ止まらない。最後まで行けるか??

途中沿道から「笑顔笑顔」という言葉が聞こえてきた。苦しいときに苦しそうな顔をすると本当に苦しくなる。苦しい時にこそ笑顔をするのだ。ついつい忘れていたこの原則を思いだし、無理に顔を笑顔にしてひたすら走った。

顔はひきつっているかもしれない。脛のあたりも攣りぎみだ。しかしここまで無事に来れたことを考えると感謝しかない。

ラスト 3:26'台でゴールできる?

ゴールが待つ堀之内公園の入口が見えてきた。左に曲り残りは最後のスパートをかける。ゴールに向かってひたはしる。ゴール直前にある時計を見ると3:26'を刻んでいた。

「なんとか3:26'台でゴールしたい!」

最後の最後の猛ダッシュそしてゴール。GPSウォッチでタイムをみるとなんとか3:26’台でゴールできたようだ。計測を止め後ろを振り向きゴールゲートへ一礼をする。

ゴール後は完走タオルをかけてもらい、オレンジのウィンドウレーカーを着た大勢のボランティアの方とハイタッチしながら移動する。

「おめでとうございます!」
「ありがとうございます!」

途切れることのないハイタッチ、何度も「ありがとうございます」を繰り返す。。。

地元ならではの家族のお迎え

記録証をもらいフラフラと荷物預り所に向おうとする途中、会場に来ていた娘と出会った。今日は模試があって朝から学校で試験を受けていたのだが、終ってから駆け付けてくれたのだ。ありがとう!

奥さんや息子達はまだ到着していないらしい。予定よりも速くゴールしすぎたせいかもしれない(笑)。ひとまず娘に直後の記念写真をとってもらった。顔が疲れているのは直後なので御愛嬌。

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荷物を受取り上着を着ている間に奥さんと息子達と合流した。近くのボランティアの方に家族との記念撮影をしてもらった。

遠征して参加する大会は一人で参加し一人でゴールして帰るのが普通だ。こうやってゴール後に家族で写真を撮ってもらえるのは本当に有り難い。

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愛媛マラソンはレース後にさまざまの「おせったい」を受けられる。おにぎり、スープ、いもたき、焼き肉、味噌汁、パン、今年はこれまで愛媛を4回走ってきて初めてすべてのお接待(足湯は除く)を頂いた。昨年まではレース後に食欲がないこともあったが、今回はすべて食べれるだけの体力と胃腸の調子が残っていたということか。

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家族は屋台で買った昼食を取り、自分はお接待の食事を頂いてお腹が満されたので、まだまだ走っている知人やラン友さんがいたが家族と一緒に帰路についた。駐車場までの歩きはさすがに足が痛んだがひきずるほどでもなかった。

多くのボランティアの皆さん、準備でお世話になった人たち、そして家族に支えられた愛媛マラソン2020だった。

ふりかえり 「我慢する勇気」

4回目の愛媛マラソンは、想定以上のレース展開となり、自己ベスト更新及びペースランナーに頼らない自力Sub3.5を達成することできた。

ラップを見ると25km以降でスパートをかけられているのがよくわかる。スタート直後と15-20kmでは予定よりも少し遅いがあとは予定ペース以上で走ることができた。

もしかすると前半から飛ばしていれば、タイム的にはもう少し早くゴールできたかもしれない。その場合は後半に失速しているはずだが、タイムを取るか、レースのコントロール感を取るか。自分は後者を選んだ。

愛媛2020

今回は事前のトレーニングや調整、当日の栄養補給でいくつかの新しい試みをしてみた。それらがすべてうまくいった要因なのかは現時点ではなんとも言えない。今後も試してみて効果があるのかを引き続き検証していきたい。

しかしひとつだけ間違いなく言えるのは我慢する勇気を持ちペースを抑えることができたということだ。これまで何度もやろうとして結局うまくっていなかったことができたことが、結果としての記録よりも嬉しい。これは途中の誘惑(=飛ばしたい)に負けず、プロセスに注力できたということだ。

これからもレースを走るたびに、同じような失敗を繰り返しそうになるだろう。その度に今回得られた教訓を思いだそう。

「我慢する勇気を持て。プロセスに注力せよ。結果は後からついてくる。」

本心から願って壁を乗り越える

フル記録推移_2014_2020

これまで6年間/14回のフルマラソンのグロスタイムの推移を見ると、タイムが向上しては壁にぶつかり何度も乗り越えてきた軌跡が見てとれる。決して平坦でも順調でもない。元々それほどタイムに拘りはなく、抽選不要のアスリート枠が欲しいために目指したSub3.5だった。

Sub3.5は人によってはあっさりとクリアしてしまうレベルではあるが、今回の壁は思ったよりも長かった。が、なんとか乗り越えることができた。

何度も失敗を繰り返しているがそこから学べていると言ってもよいだろうか?

この先も更なるタイム向上を目指すのか目指さないのか正直わからない。当面は100マイルの完走に注力するのでその後にまたゆっくり考えたい。

ただひとつ言えるのは、壁にぶつかってもその壁を越えたいと本心から願い、そこに向けて一歩ずつ歩んでいけば、いつか越えることができる

自分はそう信じてる。



皆様のサポートによって、より新たな知識を得て、知識と知識を結びつけ、実践した結果をアウトプットして還元させて頂きます。