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どのくらい酷いことをしたら相続人廃除?


私ヂェーンは夫ターちゃん、1ダースの子供達とともに、義父母であるエテ吉・エテ子と同居していました。

種族の違いもあり、私と義母とは最初から折り合いが悪く、口論が絶えませんでした。

夫は私の味方をしてくれ、義母に掛け合ってくれたのですが、
「お前は、あんなデブ守銭奴女の味方をするのか!」と、かえって義父母と私達の関係は悪くなってしまいました。
一家で家を出ていこうと考えていたとき、義父エテ吉にガンが見つかり、そのまま1ヶ月後に亡くなってしまいました。
「遺産は妻エテ子だけに与える。ターちゃんは推定相続人から廃除する」旨の遺言が見つかりました。
確かに、いつも口論をしていたので、夫は義父に「このエテ公!」など侮辱的な言葉を言ったことがありますし、胸ぐらを掴んだこともあります。
でも、それは義父エテ吉が私達の子供に対して余りにひどいことを言ったからです。
決して一方的にこちらが義父にひどいことをしていた訳では無いのです。
このような事情は、廃除が認められるかの判断に影響しないのでしょうか?

A.影響する
民法892条では、虐待若しくは重大な侮辱又は著しい非行行為があったときに廃除できると規定しています。しかし、どの程度の行為があれば該当するのかについて条文上明確な基準は無く、裁判例の基準も一貫している訳ではありません。ただ、廃除の効果が遺留分さえ否定するという強力なものであることから考えると、その非行の程度は、離縁原因・離婚原因として認められる行為とのバランスをとる必要があります。具体的には「当該非行行為があれば、養親間であれば離縁、夫婦間であれば離婚判決が認められるであろう程度の重大な非行」と考えるべきです。
一方が暴行を行なったとしても、当該暴行は他方の挑発的行為により生じる場合も少なく無いので、単に暴行行為の程度のみを問題とするのではなく、当該暴行に至る背景も加味して考える必要があります。

★世戸弁護士のコメントです
裁判例では,廃除原因に当たらないとされた場合として,老齢の尊属親に対する甚だしい失行があったとしても,それが一時の激情に出たものである場合(大判大11・7/25),父がその子を非道に待遇したために,その子の非行を誘発するようになった場合(大判大15・6/2),被相続人が代表取締役をしていた大手企業において業務上横領の罪により実刑を科せられた場合(東京高決昭59・10/18)などがあります。


「相続対策虎の巻」2021/7/19発信分から

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