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親族間売買の時によく使う計算方法と、その欠点

法人で購入したワンルームマンションを、相続対策のためにお父様に移転したい、とのご相談をいただきました。
個人で購入したものを所得税対策のために法人に移転する、というのは良くある話なのですが、今回のは珍しいパターンです。
相続税対策の他にも、減価償却費を多く取ることができないか、という意図をお持ちのようです。

今回の場合の目的を整理すると、以下になります。
①お父様の相続税評価を圧縮すること
②建物の減価償却をなるべく取れるようにすること
③税務署に否認されないこと

法人に支払うワンルームマンションの代金が、そのワンルームマンションの相続税評価よりも多ければ、①の相続税評価の圧縮の目的を達成することができます。
現在、市場で売買されている価格で法人から個人に移転すれば、(路線価がめちゃめちゃ高いような場合を除けば)、相続税圧縮効果はかなりとることができます。(相続税評価が半分くらいになるのはザラです)
ただ、その市場で売買されている価格を証明する手段が案外難しかったりします。
不動産鑑定を使えば比較的安全ですが、費用がかかってしまいます。(同じ鑑定価格ならば、区分建物の方が一棟建物よりも鑑定費用は高くなります。実は、区分建物の評価の方が手間がかかるのです。)
宅建業者の査定では、根拠が薄いのでちょっと危険。
なので、親族間売買の時は、建物を簿価、土地を相続税評価の80%割戻で計算する方法を使うことが多いです。
これまで税務署に問題視されたことはありませんし、費用も殆どかからないので、簡単で有効な方法だと思っています。

ただ、この方法は、①相続税評価の圧縮、②減価償却を多くとる、という点ではあまり有効ではありません。
①について、土地に関して言えば、法人からお父様への売買価格の方が相続税評価よりも25%高くなるので、その分お父様の相続税評価は圧縮できることになります。
建物に関して言えば、簿価と固定資産税評価との比較になりますが、これについては一概にどちらが高いとは言えません。
ただ、この場合の移転価格は、本当の市場価格よりは低くなることが多いので、普通に収益物件を第三者から購入する場合ほどは、相続税評価は下がらないと思います。
減価償却についても、建物の評価は低くなりがちであることから、移転させることにより増やすことは難しいと思われます。

不動産鑑定評価を入れるだけのメリットが、相続税圧縮効果、減価償却による所得税圧縮効果があるのか、を具体的に検討してみる必要があります。


「移転したけど、意味なかった!」というのはこちらとしても辛いものがあります、、、

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