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行方不明の相続人がいる場合には遺産分割協議を諦める?

Q

翔ちゃんのお父さんが亡くなりました。相続人は、妻恵美子さんと長男翔ちゃんの二人です。


お父さんは遺言を遺していなかったので、恵美子さんが相続するためには遺産分割協議を行う必要があります。


ところが、翔ちゃんは50年前に学校ごと行方不明になったままです。


ただ、恵美子さんは、翔ちゃんがどこかで生きていることは強く感じているので、失踪宣告を申し立てていませんし、断じてその気はありません。

この場合に遺産分割を進めるにはどうすれば良いのでしょうか?


A.

不在者財産管理人の選任を申し立てます

似たような場面に、相続人がいるかいないか自体が不明の場合がありますが、今回は戸籍上の相続人が行方不明になっている場合です。

この場合、他の相続人は、家庭裁判所に対し、行方不明者のためにその財産を管理してくれる人(不在者財産管理人)の選任を申し立て、その選任を得た上で、同財産管理人と他の相続人との間で遺産分割協議を進めることになります。

協議による遺産分割の合意を成立させるため、財産管理人は家庭裁判所の許可を得る必要があります。協議が調わない場合、審判による遺産分割を求めることができます。

★世戸弁護士のコメントです
不在者財産管理人ついて,民法は,以下の規定を置いています。そして,協議による遺産分割の合意を成立させるための不在者財産管理人の行為は,民法103条に規定する権限を超える行為ですから,家庭裁判所の許可が必要です。

(不在者の財産の管理)
第25条 従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同様とする。

(管理人の権限)
第28条 管理人は、第103条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者が定めた権限を超える行為を必要とするときも、同様とする。

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