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”Walk on the Wilde Side” Archiveシリーズ#3 "Tuck and Patti"

米国在住中の2005年から10年近く”Walk on the Wild Side”というタイトルで書いていたBlogのArchiveシリーズ第三弾は”Tuck and Patti”について。最初の投稿は2005年10月24日。

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ケンタッキー州のレキシントンに住んでいた頃はあまりメジャーなミュージシャンのコンサートはなかった。たまにあっても観客が集まらないとかの理由で、キャンセルになることが多かった。その分、日本では味わえないようなコンサートをいくつか経験することが出来た。Tuck and Pattiもその一つで、2000年の春に州都FrankfortにあるKentucky State Universityでコンサートがあると言うので見に行った。

Tuck and Pattiを最初に見たのは確かタモリのTV番組だったように思う。二曲ほど演奏した記憶があって、特に二曲目の”Time after time”(シンディー・ローパー)でのギターの上手さにあっけにとられてしまった。今では彼と同じようなギターを弾く人もたくさんいるようだが、当時は目新しく本当に驚いた。すぐに1991年に発表された”Dream(日本盤でボーナストラックとして”Time After Time"が入っていた)"を買ったので15年ほど前のことだ。その後も東京でJ-WaveというFM局が開局した頃に、よく流れていたのを覚えている。

コンサートはThe Frankfort Arts Foundationと地元ラジオ局のWUKYが主催したもので、チケット代は大人$20、子供$5と格安。場所は学校の講堂で1,000人ぐらいは入るだろうが、総観客数は100人にも満たない寂しいものだった。コンサートはまずはTuck Andressのソロギターから始まり、何曲目からかPatti Cathcartが加わった。観客が少ないので、途中で席を中央の二列目に移ってTuckのギターをじっくり見ることができた。

5年も前なので演奏曲目はあまり覚えていないが、Europe(サンタナ)やCastles Made Of Sand/Little Wing(ジミ・ヘンドリックス)といったロックの曲もやっていたものの、本人はジャズの曲を好むようで割合としてはその方が多く、特にWes Mongomeryの”Up and at it"をいかに良い曲かを語ってから演奏していたのを覚えている。

特に記憶に残っているのはTuckの演奏するときの表情で、彼はあの素晴らしい運指をほとんどフレットを見ずに弾くのだが、目をしっかり見開いたまま顔を観客側に向けて弾く姿がどうしても腹話術の人形のように見えて仕方がなかった。本人は特に意識していないのだろうが、未だに彼の曲を聴くためにその姿が頭に浮んでしまう。

シカゴにいた大学の先輩がケンタッキーまで遊びに来てくれた時に、Tuck Andressのギター教則ビデオをダビングして家に持ってきてくれた。自分でも欲しくなりその後ニューヨークに来てから購入、一度練習してみようかと思ったが結局すぐに諦めてしまった。本人が「簡単でしょ」と言う部分ですらとても同じようには弾けなかったのは情けなかった。


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