文ステ黒の時代

*2018年10月16日の記事です。

色んな人が感想を上げているからいいかな、って思ったんですが私の中の感想がどんどん他の人の感想に塗りつぶされてしまうような気がしたので、私があの一瞬一瞬に感じた事をつらつらと述べたいと思います。
正直、すごく拗らせてると思うし多分不快感あると思うので石は投げないでくださいね。
あと織太のひとなのでそれっぽい感想もあります、注意。

さて、まず私は5年前に初めて文ストの小説を1つだけ上げ逃げし、黒の時代でドはまりしそれなりのペースで小説を上げさんこいちアンソロを出し逃げし、アニメの時に出戻りしその年は1年で100本の織太小説を書き織太アンソロを出し逃げし(第一段の舞台も見たし映画も見たし有難い事に特典小説をお借りして読むことが出来ましたがここは割愛)今回また墓から引き摺り出された者です。
声高々に主張したいのですがアニメのタイミングで出戻りはしましたが実際は小説4巻が決め手です、あれが無かったらアニメだけで出戻り……してたかなー、してただろうな。

正直最初舞台化すると聞いて、まぁ記念に一回見れればいいやくらいの気持ちでした。
コミックス追ってるけどジャンルとしては離れてたので、今見ても昔のような気持ちになるかなというのが強いし、申し訳無いけどチケットってめちゃくちゃ高いじゃないですか!
それと一弾を見た時に思ったんですが、演出とかめっちゃすごくても私、どうしても「あ~、あのキャラがこんな風になってる! すごい!!」みたいな、キャラの追っかけ的な気持ちになってしまって純粋にストーリーを楽しめないというか、展開も知っているし、役者さんの本気とかそういうのは確かにすごいんだけど、こう、入り込めないみたいな……。
実はブリミュをずっと追いかけていたので、この感じ昔からよく知っているんですよね。
「このキャラこんなこと言ってる、キャー!!」
みたいな……まぁブリミュに関してはこれから色々あったのですが話が逸れるのでまた今度。

あと今だから言いますが私、織田作はがっちりした男! ってイメージだったので谷口さん線細いな~って思っていて、多和田さんは一弾の黒太宰を見て「すごく背高い、大人だ!」って思っていて、特に太宰は黒の時代から原作の間に少年から青年になった、って印象が強かったので探偵社太宰を見た後に黒の時代太宰として見れるのだろうかって不安にもやもやしてました。
あ、決して役者さんがどうこうって話じゃないです。
キンちゃんめっちゃかっこよかったし可愛かったぞ、ニンニンジャーも見てね!
なので偶然取れてしまった二回分のチケットと痛いお財布を握り、大丈夫かな……って割りと、不安な気持ちで1回目の観劇を迎えました。

1回目見た後私は即ライビュのチケットを取りました。

最初の感想は本当に、頭の中がいっぱいで何も考えられなくて、泣き崩れて立てなくて。
「あ、やば、推しがかっこいい、推しのかっこよさがカンストしてた、そして推し生きてた、ちゃんと生きてて、それで、死んだんだ」
ってなんかもう私は何を見せられたんだってくらい頭がついていかなかったです。
プロジェクションマッピングを使う異能の表現は予想がついていたし、ムービングで銃弾とかの演出はある程度は解っていてそれがどんな効果を生むのかは頭では理解していたのですが、それ以上に役者さんの息遣いが、そしてアンサンブルの方を含め人の力で作り上げる空間が、黒の時代が好きだと再確認する度に聴いてきた音楽が、表情が呼吸が劇場の空気が昇る紫煙が客席のすすり泣きが、ぜんぶ、ぜんぶ、とても洗練されたものだと感じました。

1回目はサンシャイン劇場の2階席から見ていて、2回目も同じような席だったのですが2回目は少し冷静というか全然冷静ではないのですが、ちゃんと観ることができました。
舞台の太宰はちゃんと18歳の男の子で織田作と安吾が大好きで、そして織田作は生き生きと本当に生きている人間って感じがして、安吾は舞台の方がずっと背負うものの重さをひしひしと感じられて本当に辛かったし、この空間が本当にあったんだって錯覚すら覚えました。
色々しんどいポイントを上げると本当に、皆さんと同じ場所ばかりでなんとも面白味がなくなってしまうのですが私が一番衝撃を受けたのは、織田作が子どもたちに玩具を届けるシーンです。
実は私、黒の時代はアニメ化しないと思っていたので文アニ一期決定のタイミングくらいに、動画を作り始めました。
『五分で振りかえる黒の時代』をテーマに必要最低限の情報に絞って構想を練っていたのですが、その時に織田作が子どもたちのところに出向くシーンはほぼほぼカットして演出で誤魔化そうとしていました。
正直、あのシーンって織田作があの場に出向いたってことが分かればいいし、その後織田作が生存の階段から降りるきっかけが伝わればいいのだと思っていたからです。

--横浜はその日、うららかな陽光の差し込む暖かな日だった。

この言葉がどれ程残酷で、どれほど悲しい結末になるのかなんて。
それこそ物語の繋ぎの一文じゃないですか、時間や天気なんて小説に入れるでしょ。
あそこからの演出、もう、ずっと鳥肌が立ちっぱなしでした。
あの空間に太宰と安吾は勿論居ない訳です、小説もアニメも、でも舞台には居る。
そして淡々と、これからおこる『きっかけ』に導く。
原作の小説を初めて読んだ時、展開を知らず目で追ってハラハラしたあの時、それから起こる惨劇を知らず唖然とした時、あの喪失感と絶望感……4年前の記憶がぶわっと蘇りました。
エリスちゃんとボスの演出も狂気に満ちていて、不気味で不釣り合いで、あぁこれが首領なんだ、太宰の師であり横浜の夜なんだなってそれでいて、とても美しかったです。
あのシーンからの流れは何度見ても、あ、きた……って思った瞬間から嗚咽が止まらなくなるまでになりました、病気です。

その後、時間が出来たので当日券で3回目を観劇しました。
抽選だったのですが運良く選ばれて、ひとりで見ることとなりました。
1,2回目は介護してくれる方が居たしボロボロ泣いても笑い話になるな~、くらいだったのであんまり気にしてなかったのですが、3回目は一人で行って一人で泣いたらちょっとどうしようもないぞ! と気恥ずかしい気持ちでした。
3回目は1階席の後方センターくらいで、前売りよりも良い席でびっくりしました。
2階席と一番違ったのはセンターってのもあって音響の迫力。
展開知ってるのに爆発のシーンは体がびくって飛び跳ねるくらい驚いて今考えるとちょっと恥ずかしいです。
あと、2階席は舞台全体を見渡していたので演出につい目が行くというか、舞台見てるな~って感じが頭のどこかにあったですが1階席はぼんやりとですが役者さんの表情もなんとなくわかり、すごく物語に呑まれる感じがしました。
流石に3回目は泣かないと思っていのですが今度はもう、この時の太宰の気持ちはきっとこうだ、とか織田作はきっとこんなこと思ってるんじゃなかろうか、とか登場人物に感情移入するというかそんな気持ちになってしまって、展開を先読みして泣くという芸当を身につけていました。
前半で頭を撫でられた太宰が最期頭を撫でられた時どんな気持ちになったんだろ、と割りと太宰寄りの気持ちで見ていたと思います。
そしてその太宰が探偵社に入って敦君と出会い、織田作と一緒に生きた横浜を守るという展開、皆が自分の街を愛しているというフィッツ戦を思い出してしんど~って、なってました。
黒の時代は勿論なのですが、私は織田作が導いた太宰とそして武装探偵社を中心とした救済の連鎖の物語である文ストがやっぱり好きなのだと再確認しました。

そしてライビュ。
千秋楽っていうのも勿論あるのですが、それ以上に、今までで一番泣きました。
此処は笑ってほしいのですが、乱歩さんの一番最初の登場シーンで「え、このクオリティ(カメラアングルや表情の鮮明さ)でこれから見るの、あ、むりだこれ」とここから若干泣きたくなりました。
そして本当に一番最初、ほんとにな、最初のバーのシーンで自然と涙出てきてこうやって三人が平和に飲んでるの見れるのってこれで最後なんだって思ったら本当さみしくて、でもこんなとこで泣いている自分が逆に可笑しくて笑い堪えるのに必死すぎてぴくぴくしてました隣の人マジごめんな。

で、太宰についてライビュで今までの感想ががらりと変わりました。
ここは織太目線で申し訳ないと思うんですが、今まで18歳の男の子がも~織田作すきすき! みたいなでもそれって近所のお兄ちゃんが大好きみたいな純粋な友達としてというより尊敬できる人としてみたいな感じで「健気だな~」って思ってて、この太宰は織田作と付き合ってないしワンナイトラブなんてしないだろうなって思ったのですが、表情をガッツリとみてその瞳の黒さにびっくりしました。
黒太宰が出るシーン(たとえば芥川のとことか)割りと声を荒げるというかがなるというか、そういう印象があって、あくまでも私のイメージは足元から冷気がくるみたいな静かでひんやりとした感じだったので年相応なのかなって思っていたら、この時の表情が本当に冷たくて、大きな瞳を見開いてじっと逸らさないでそこに闇を湛えていて、あ、この目でこの言葉こんな感じで言ってたんだって思ったらすごく闇が深いなって感じました。
首領との対峙シーンもずっと何かを堪えるように目を逸らさないで見開いている印象で、あぁこれが太宰治の孕んでいるどん底かと思ったら、なんかもう、それを掬い上げた織田作って本当に大切な友人だったんだなって、織田作だから出来たんだろうなって、つらくなって。
そして織田作を看取ってからの一連の流れ、太宰があんなに泣くなんて。
それこそアニメになるって言った時「あそこで太宰が泣くのは解釈違いだからどうなるか怖い」とか当時の原作ファンの間でざわついたあの場面(まぁアニメはほら包帯が全部持っていったけど)だったと思うのですが、そこからの追加シーンで堅豆腐でもう、泣くわ泣くわ。
本当に太宰のとって織田作は大事でこれからも隣に居たい人だったんだなって思うわけです。
これは勿論、友人としてって意味ですし、ある意味では太宰が親に求めていた愛情とかそういうのを与えてくれたのかなって思ってそしてこれ以上の愛を与えられる人はもう現れないのではないかって、そう思うわけです。
私は織太クラスタですけど二人は付き合っていない、過激派です。
(ただしそういう世界線も大好きです)

安吾ちゃんはしんどい、しか本当に言えない。
カーテンコールの時もにこりともしない安吾ちゃんが本当に安吾ちゃんだと思ったし、最後の三人でバーのシーンで泣きそうなのに泣かないやりきれない表情をしているのが本当に辛かった。
「プライベートの写真だ」の無愛想な感じもしんどいし、そのシーンを入れてくれて本当にありがとうって思いました。
ステの安吾ちゃんは最初から最後まで、エージェントでした、三人のバーのシーンを除いて。

ジイドについては私あまり触れてこなかったのですが、実はすごく好きです。
あそこで織田作と対峙したのがジイドであったからこそ織田作は、最後太宰を導けたのだと思うし、二人は唯一無二の関係だと思っています。
舞台でジイドを見た時、ジイドの役柄といいますか、アクションシーンはあるけれどあまり動きが無いのであの舞台上ですごく浮いた存在な気がしていました。
ライビュ、本当にやばかった、表情だけで全てを語っていた。
時折見せる寂しそうな目も、感情を乗せる眉間も、淡々と動く唇も、あぁこれがジイドなんだったすごく納得しました。
だからこそ全身で感情的に訴えかける織田作との対比が素晴らしく、何とも切ない気持になりました。
二人はどうにかわかりあう事はできなかったのかなと思うと、その虚無感で苦しいです。

そして織田作、すごい、生きていた。
実は私アニメの織田作好きではあるのですが、めっちゃ好きではあるのですがすごく、聖人君子みたいな感じがして眩しすぎて……なので舞台の織田作の子どもたちと笑って、太宰に怒鳴って、焦って泣いてってしている表情豊かな織田作がすごく好きです。
原作を『織田作が天国で書き上げた小説なんじゃないか』って捉え方がすごく好きで、勿論そんなはずはないと思うのですがそう考えると本文中にある物事の例え方がすごく可愛らしく、生き生きとしていてこんな感性を持っている織田作はすごく人間臭いんじゃないかって思うわけです。
織田作だって23歳の男で(ただ文ストの年齢はプラス5は最低でもしないとと思っているので気持ち28歳くらい)そしたら人より少し表情に出ないだけできっと豊かな感情を持ち合わせいてそれが端々に出るんだろうなって原作の時から思っていたので、舞台やりすぎだぞ~とは思いつつも、私は、三次元に織田作之助を落とし込んだらこういう人間になるのかなって、キャラクターとしてではなくそこに生きる男として、すごく惹き付けられました。
いつの間にか『小説から推してた織田作というキャラ』が『そこに生きている織田作之助』になってました。
だからこそしんどい、彼の身に起こった理不尽もこの結末も、全てがしんどい。

語っていけば本当に長くなってしまってもうまとまらないのですが、私が感じたのはあの舞台で織田作之助は生きていて、そして太宰に想いを託して死んでしまった、ということでした。
一人の人間のドラマチックな一生を覗き見た感じがして何とも言い難い気持ちになりました。

乱歩さんの傘のシーン、太宰を殴りたかったのに殴らなかった織田作、追加された頭ぽん。
言いたいことは沢山あるのですがそこはまぁ、皆様の感想と似た感じになってしまので。
拙い言葉でしたが私が感じたのはこんなところでした。

多分、アニメはアニメの世界線、舞台は舞台の世界線、原作は原作の世界線とバラバラに見るのが楽しみ方として正解なのかもしれませんが(そもそも正解はないと思っているが大前提ではありますが)私はやはり同じ材料で作られた咖喱がつくるひとの好みや煮込み時間や何処に重きを置くかで似たような味だけど少し違う、みたいな感じで根本は同じものだと思っています。
アニメも勿論好きですし、舞台も勿論好き、そして原作がとても大好き。
舞台のエンドロール? を見た時に原作が確かアニメの黒の時代という表記になっていた気がするのですが(間違ってたらごめんなさい)そのもっと原作を大切に沢山のことを拾って下さった舞台には感謝しかありません。

そしてこの沼の深さに慄いてます。
何度戻されるんだろうね、一弾のDVDも映画のDVDも買う予定無かったのに買っちゃったよ。

最後になりますが、一番は千秋楽まで怪我無く無事に舞台を終えられた事だと思います。
天候というアクシデントには正直、自分のことのように心を痛めていたのですがフォロワーさんに何も掛ける言葉が見つからず、ただひたすらに落ち込んでいました。
だからこそカーテンコールで「劇場に来てくれたお客さんもいたんだから、全26公演」って言って下さったのがとても嬉しかった。
最高に愛されている黒の時代だなと思ってその場面をこの時間を一緒に生きれたことを嬉しく思います、サイコウだ……。
東京(大阪もかな?)スタンディングオベーションだったと思いますが、新宿角川シネマもぱらぱらと拍手が起こってました。
最高の一瞬をありがとうございました。

しばらくはこの余韻に浸ってしんどいしんどい言ってる気がします。
はぁ、咖喱食べに大阪行こうかな。


おまけ:Twitterに残ってたメモ

舞台めも

森さんのシーン
①「大人の事情だよ」
②「段取りだからね」
③「これ重いんだよ〜」

事故
1回目見た時安吾出ていくとき、立ち上がった織田作が椅子を倒してた。
余りに何事も無かったかのように続いたので2回目見た時あー、やっぱりあれアクシデントだったかって思う程。
3回目安吾ちゃん噛回だったかなって思ったけど、いやそれでも十分、うん、もう。

子供達のシーン
①②「お前のその攻撃はなんだ」
③「お前はいつもふざけているな」

おやすみ
2回目見に行った時あたりから、最後に咲良ちゃん抱き締めてた。
毎回声が潤むところが違って、うわぁーんってなった。

森さん最後
照明落ちるタイミングだと思うんだけど紙飛行機飛ばすアクション1回目めちゃくちゃ綺麗だった
3回目もアクション見えたけど2回目見えなかったんだよなー