【3•26 ONE Xの考察①】

~“柔道ガール”平田樹のチープな復帰戦~

2022年3月26日。アジア最大の格闘技団体ONEが2011年の旗揚げ依頼、最大規模のイベントを興した。

【ONE X】

MMA,キックボクシング,ムエタイ合わせて全20カード、そのうちタイトルマッチが5試合、ワールドグランプリ1試合という異例中の異例のイベントである。

また、Abema TVでPPVを発売するなど新たな試みも行われ、今後のONEに期待したくなるような仕掛けが多々感じられたイベントであったといえる。

ではそんなONE Xの中から特に注目されていた日本人選手のマッチを中心に考察していく。

【目次】
①“柔道ガール”平田樹のチープな復帰戦
②日本人格闘家の歴史を変えた秋元皓貴
③裏のメインイベント青木真也vsセクシー
④“リトルピラニア”若松佑弥の挑戦と世界の壁
⑤ママになっても強かったアンジェラリーと新星スタンプ


①“柔道ガール”平田樹のチープな復帰戦

格闘代理戦争で注目を集め、ONEに参戦していらい5戦5勝と勢いに乗ってる注目株であった。
結果としては本日メインを務めたスタンプが優勝した
【女子アトム級ワールドGP】では1回戦で判定勝ちを収めるも体調不良により2回戦以降は出場しなかった。

ONE Xはこの体調不良からの復帰戦である。

ONE自体も平田樹を看板選手にすべくマッチメイクをしてきていた。
しかし今回のマッチメイク 【VSラズワン】は今までと違う何かしらの意図が伺える。

ONEの描いたストーリーはこうだろう

①平田樹がやっぱり強かった
②勢いのあるラズワンが平田樹を食った

“今まで”は平田樹が一本で勝てるところ見せたいのではないか?という意図があったが、今回は違った。
ラズワンも勢いのある若手であり、『ラズワンが勝ったら勝ったでいいか』というONE側の気持ちが見えた。

さあ試合内容だが、題名にもある通りまさにチープな試合だった。

序盤は平田樹が積極的に仕掛けゲージに追い込み、得意の“投げ”を狙い続けた。
しかしラズワンは当たり前に平田樹の柔道を警戒していたため、なかなか投げが決まらない。
お互い組みながらも決めきれない時間が続いた。

その後も柔道一辺倒の平田樹に対して、徐々に距離感を掴み始めてテイクダウン、打撃を決めるラズワンという構図になってきた。

最終的には平田樹が攻めきれず、積極性も見られないまま“無駄な”前蹴りを繰り返して判定時のポイントも稼げないままゴングが鳴る。

結果は判定2-1で負け。
判定3-0でないのが不思議なくらいだ。

内容はもちろんチープなものであったが、前回の試合(アトム級ワールドGP)の試合といい戦略性に欠け、デビュー間もない頃の怖いもの知らずなスタイルと攻撃的な仕掛けの技術はどこへ行ったのか?

一つの問題としては所属GYMがあるのではないか?
平田樹は所属をKrazyBeeに移し2戦目であるが、体の作りも以前に比べ大きくなり筋肉がついたように見てとれる。
これは“進化”のようにも見えるが、私は“退化”であり平田樹らしさを失わせた一つの要因だと思う。
世界で戦うことを見据えるとフィジカルの強化に努める選手が多くいるが、平田樹の強みはフィジカルでなくあの野生的な勝負感であった
しかし、筋肉がつき重くなった身体は平田樹を本能的な仕掛けからフィジカル勝負に打って出るように変化させてしまった。

これで平田樹はONE初黒星。
まだまだ22歳なのでこれからが楽しみではある。そしてこれからもタイトルマッチなどが期待できる選手である。

しかし、このままでは次のステージに上がれないだろう。

•なかなか自分のやりたいことができず、試合が流れていくと切れる集中力
•試合前の準備と試合中の戦略の組み方

などなど“一流”と言われるファイターとは精神的にも技術的にも大きな差がある。

平田樹は金髪のスタイルでPopなアイドル的要素も強い格闘家であり、そのファッションや言動などSNSを中心に話題や人気が先行してしまっている。また、先日はMonster Energyとのスポンサー契約を報告していたが、格闘家としての発信力といった素質は大いに感じさせるが問題の実力と実績が伴っていない。

解決策そして改善策は一つであろう。
もう一度、格闘技に真摯に取り組み戦略性と平田樹の強さを理解したコーチのもとで再出発を図ることだ。

師•青木真也のもとでやり直すもよし、Crazy Beeに残り再起を図るもよし。。。

いずれにせよ平田樹は大いに期待が持てる選手だ。

イメージや人気が先行し、結果を出せないファイターになるか?
それともタイトルマッチでAngela Leeを倒す選手になれるか?

どんなカードになるかは分からないが次戦に期待しよう。

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