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有限な時間の使い方

人間には有限性がある。寿命はある程度決まっているし、物理的に人間が達成し得ないことも多くある。

それにも関わらず人間は万能感を得たがる。世間に数多と存在するタイムマネジメント法がその一つである。あまりにも多すぎる量のタスクを様々な方法を駆使することによって定められた時間内に終わらせようとする。これによって自分は仕事ができる、良い一日を送ることができたと感じられる。

しかし、この満足感は刹那的なものである。仮にそのタイムマネジメント法によってタスクを早く終わらせたとして、空いた時間には別の仕事が舞い込んでくるであろう。仕事が落ち着いたらずっと楽しみにしていたあのことにじっくり腰を据えて取り組もう、と考えていても、その時は永遠に来ない。

人生はおよそ4000週間しかない。全てのやりたいことをやることはできない。時間は有限であり、人間はその制約から逃れることはできない。真にやりたいことを選び取り、中途半端にやりたいことですら捨てる必要がある。それらは人生においてさほど重要でないにも関わらず、我々の注意を奪うほどには魅力的な選択肢であるからである。

限られた人生のなかで、何かをすると決めることは、他の全てを捨てるということだ。このとき、捨てた選択肢が、やると決めたことよりも良い選択肢だったかもしれない、と不安に感じる人もいる。しかし、選択肢を選ぶということはそういうことであり、何もしないことよりもはるかに多くのことをあなたは体験し、感じ取っているのである。それだけでその選択には価値があるのである。

やることを選び抜いたとしても、まだ苦しみには遭遇するだろう。世界はコントロールできないものであり、必ず想定外のことが起きる。タイムマネジメントに取り憑かれている人ほどその時の苛立ちは大きいはずだ。しかし、そもそも未来など人間がコントロールできるものではないのである。未来をより良くしようとする努力を否定するわけではないが、過度に未来に期待をしてその結果に一喜一憂する生き方は不幸につながる。起きたことは起きたこととして受け止めるしかない。どうせ自分には予想できないことが起きるのだから、それ自体を楽しめば良い。物事と捉え方は別物であり、どのように捉えるかこそが全てなのでたる。

人間の有限性を受け入れる。
やりたいことを徹底的に選び抜く。
その選択に自信を持ち、過程を徹底的に味わう。

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