氣づきの国語辞典「ハイ」編
「灰」→「右手」の象形と「燃え立つ炎」の象形
から、手で拾うことができる冷たい火「はい」を
意味する「灰」という漢字ができた。
「誤魔化す」は当て字と言われている。
「護摩に紛らかす」で「ごまかす」。
護摩木は願い事を書いて燃やしてしまうと何が書
いてあったか分からなくなってしまうことから
「護摩化す」となったという説や江戸時代の胡麻
を使ったお菓子で、中空のものがあり、見掛け倒
しだったため、「ごまかす」。今ひとつ美味しく
ないお菓子でも、胡麻をかけるとおいしくなるこ
とから「ごまかす」という説まである。
「杯」→「大地を覆う木」の象形と「花のめしべ
の子房の象形と口の象形」から「ふっくらと大き
い」という意味となり、「ものを入れるためのふ
っくらとした木製の器」、「さかずき」を意味す
る「杯」という漢字ができた。
神社や皇室では神饌の酒を盛るために盃を使用す
ることがあり、三方、折敷、高坏等に盃を載せて
供えることが多い。神道の盃は、上古は素焼土器
だったが、後世は陶器、漆器、金器、銀器等も使
用するようになった。
『古事記』上巻の終わりに海幸彦のホデリと山幸
彦のホヲリの話が登場する。ホヲリが兄のホデリ
の釣り針を海に落としてなくした場面で、ホヲリ
は海底の海の神オホワタツミの宮殿の前に到着す
ると、泉のほとりにある桂の木に登って待ってい
た。すると海神の娘「トヨタマビメ」の侍女が器
を持って出てきて、泉の水を汲もうとした時に、
ホヲリが水を求めたので、侍女が水を器に入れて
差し出すと、ホヲリは水は飲まずに、首にかけて
いた玉の緒を解いて、その玉を口に含み、差し出
された器に吐き入れた。
すると玉は器にくっついて離れなくなったので、
侍女はそれをそのままトヨタマビメに差し上げ
た。
トヨタマビメは外に出てホヲリの姿を見るなり、
一目ぼれして、父である海神に報告した。海神
は、この方は天の神の息子だと言って中に招き入
れ、丁重にもてなして娘のトヨタマビメと結婚さ
せた。ホヲリは三年の間、海神の宮殿に滞在した。
この器のくだりは神様同士の性描写であるといわ
れている。
「拝」→「5本指のある手」の象形と「枝の茂っ
た木」の象形から、邪悪なものを取り除くため
に、玉串を手にして「おがむ」を意味する「拝」
という漢字ができた。※「拝」は「拜」の略字。
子杜神社(こもりじんじゃ)
『古事記』全三巻を撰録した太安万侶(おおのや
すまろ)を祀る神社。多氏はこの安万侶の代に姓
を「多」から「太」に改めたといわれている。
奈良県は田原本町という住宅街に接していながら
生い茂る樹木の様子は、古く「樹森神社」と表記
された過去を想起させるよう。
学問の神である一方で、“コモリ”の読みが“子守
り”へとつながり、安産信仰も育んだようだ。
「はい」という返事も拝むという漢字の「拝」が
語源で「拝」の心すなわち拝み、受け止めるのが
本来の「はい」の意味といわれている。「拝」と
いう字の意味は「丁寧に敬礼する」「有難く受け
る」と言う相手を敬う気持ちや相手の呼びかけを
感謝して受け取る気持ちの現われだといわれている。
ここにもことだまの力が隠されている。
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