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流しの国語辞典「芋」編

並び生えた草の象形と弓の反りを直す道具から

であるが、「誇」りの「誇る」という意味から

「掘る」と根が「誇」りたくなるほど大きな様子

から「芋」という漢字ができた。

芋の動詞形「芋る」という言葉がある。

田舎くさいという意味や

ゲームでズルい戦法を取る人

バイクの世界ではギアチェンジを失敗したり、

スタンドを出したまま走って転びそうになること

を芋ると言ったりする。

テニスでも不正ジャッジを芋ると表現する。

芋には田舎やダサいというイメージを連想しやす

いのかもしれない。

お米を買えない貧しい家庭がやりくりして主食に

していたことも影響しているのかもしれない。

でも、裏を返せば、安くたくさん収穫できるとい

う意味では農業においてはめちゃくちゃ優等生な

んだと思う。

西郷隆盛の人柄を表すエピソードにも芋が登場す

る。中村半次郎という少年が隆盛主催の私塾に

入門したいが、入門にあたっての贈答物が準備

できないぐらい困窮していた。

なので、畑で取れた芋を持参した。

すると門下生たちがどっと笑い出した。

普段温厚な隆盛の表情がみるみる変化し、

「これは半次郎や家族が一生懸命育てた丹精で

ある。これこそ最高の贈答物であって、モノの

良し悪しというのは値段で決まるのではない。

それを理解せずに笑い転げる奴こそ門下生の資格

がない」

そう厳しく説いた。

人の持つ真心を大切にした隆盛らしいエピソード。

「敬天愛人」

人として正しい道を歩み、関わる人の物心両面の

幸福を追求すること。

ここでの正しさとは利他の心。

人のために。社会のために。

そして自分のために。

そんな人が人に愛され天に愛されるのだと思う。

#流しの国語辞典
#流しのがっこう
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