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お客様までも使い捨てか?

ピーチの「旅くじ」が、10月に発売された。
好評すぎて一時停止されたが、今月再度東京、名古屋、大阪で販売された。

五千円でガチャガチャのカプセルを買う。行き先はカプセルの中にあるという。ピーチらしい面白い発想だ。「旅行先が決まっていて航空券を探す」のではない。航空券が先で、それに合わせて日程を考え旅行のスケジュールを立てる。それでもとても好評だった。

面白い、でもアイデアだけで終わってはつまらない。
だからこの陰に何が隠されているか、考えてみた。

・魅力ある旅先に行きたいと思わせる
・飛行機に乗りたい、ちょっとの優越感(?)を感じて旅したい
・飛行機に乗るワクワク感、解放感(開放感)
・五千円というリーズナブルな値段
・旅行先がどこだかわからないというチャレンジ
・準備する、待つ時間を楽しむ、そして楽しみはもう始まっている
・「旅行に行こう」と「飛行機に乗ろう」

まだまだある気がする。
そして業種が違ってもヒントになるものが必ずある。


コロナ感染が落ち着きを取り戻し、旅行業界への支援が用意されている。
でも、「GO TO キャンペーン」だけでいいのだろうか?

起爆剤にはなるだろう。
でも、強いキャンペーンはよく効く注射と同じで、その時は楽になるが続けて打てば身体を痛める。
「GO TO キャンペーン」は、言ってみれば値下げ合戦だ。
その後どんな手を打つのか、これがもっと大切になる。
自分の健康を保つ生活改善がホテルや旅館に求められる。

思えば、ホテルも旅館も「お客様を使い捨て」にしてきた。
一度来たお客様はもう来ない、だから次のお客さんを旅行社を通して探してもらう。そんな風に思えてならない。
それは旅行者も同じだ。一度行った所はもういい、だからまだまだ行きたい所があると次を探す。

でも、そんな時代はもう終わるような気がする。
いや、いい意味でもう終わらせなければならない。


これからは、こんなホテルや旅館の出現を期待したい。

・一度来たお客様と永いお付き合いを続ける
例えば、SNSなどを使って情報提供を続ける。再訪できないなら知人に魅力を伝えてもらうような工夫をする。
・ホテルや旅館が地域の情報発信基地の役割を担う
ホテルや旅館が中心になり、地場の商品や特産物、体験も含めた移住計画なども企画する。
・宿泊客との事前のコミュニケーション
宿泊前にホテル側からSNSなどを使ってお客さんとコミュニケーションを図る。ホテルはその日だけだが、お客さんは準備の段階から旅行は始まっている。
・また来てもらう理由ではなく、また来たい理由、来なければいけない理由を創る


今年初め、地元の老舗ホテルが倒産した。コロナ感染が蔓延して中国人旅行客が激減したことが直接の理由だった。そのホテルは、お客様の90%が中国人だった。今思えば、とてもハイリスクな経営をしていたように思う。
でもその時は気づかない、この状態がずっと続くと思っていた。

そのとき、お客様は使い捨てだった。


ピーチのホームページにこんな言葉があった。
「地域の新しい魅力を発見する実験室」
「さまざまな人と繋がりながら、今まで感じなかったちょっとした違和感を好きかもに変えていくことを目指します」

単に「旅くじ」というアイデアだけではない。
ミッションというプラスアルファを付けて、「みんなでつくる旅の小ネタ帳」に情報を集めていく。そこからまた新たな発想が生まれそうだ。

そしてまた、ピーチの飛行機を使って旅行に出る。
いや、もしかして飛行機を使って人が動かなくても産直品などのモノを動かすかもしれない。様々な可能性がある。

ポイントはホームページに書いてある。

「さまざまな人と繋がりながら、今まで感じなかったちょっとした違和感を好きかもに変えていくことを目指します」

ここに仕事を変える気づきがある。



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