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選評

 地方の詩人賞の選考担当だったので、会報に載せるための選評を書いた。400字程度ということだったので、上位4詩集の魅力について触れた。もちろん、それ以外の残りの詩集も良いところはたくさんあるが、字数の関係で割愛した。
 私の第三詩集『道草』について、公の誌面で「読んでいるうちに、なんとなく暗い気持ちにさせられる」と、書かれたことがある。「なんとなく」とあるだけで、根拠は示されていなかった。これを読んだ人は、『道草』に、マイナスの印象を抱くだろう。書いたのは、後輩の女性詩人だった。人間は神ではないから個人的感情に左右されがちだ。けれども、それをそのまま他者の詩集について活字にするのは、詩人として恥ずかしい行為である。反面教師として、学ばせていただいた。
 みんなちがってみんないい。
 少なくとも詩集に関しては、こう思う。その人の人生をかけて、思い出を込めて作成した1冊を、なにびとであろうとも貶める権利はない。

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