Parade of H新刊 『運命の遊戯盤の上で、僕らは』 ご紹介

ご挨拶

こちらのnoteを開いていただいた皆様、ありがとうございます。kizamiと申します。今は初めましての方が多いでしょうか? もう随分前『Märchen』リリース当初に小さな考察サイトを持っておりました。その頃から覚えていてくださった方、もしいらっしゃればありがとうございます。

さて、今回の本ですが…一言で言えば世界史の本です。Sound Horizonの1st(無印、2nd)、5th〜7th(イド含む)、イベリア、ハロ夜、これらの地平線を中心に、物語中の出来事や登場人物がそれぞれ、我々の住むこの地平線の出来事をモデルに生み出されたものだと仮定して、その元になった事象を史実や神話から探していきます。

『Moira』のイーリオンや『ハロ夜』の米墨戦争やゴールドラッシュのようにある程度直接的に名前が出ているものについてはまずそれを手掛かりに、『Chronicle 2nd』のキルデベルト6世のように史実に名前が登場しないように思われる人物については状況証拠を揃えてモデルの特定を試みました。

『イベリア』で悪魔とライラがレコンキスタの戦闘に介入したと思われる描写がありますが、実際のレコンキスタは西暦700年代から1492年まで断続的に続いた非常に長い戦いです。歌詞に描かれた情景が再現され得る戦闘はいつ、何処で行われたものだったのでしょうか。

『Roman』で鬼籍を予約してくれる呪われし宝石は30カラットの『赤色金剛石』ですが、史実上「呪いのダイヤ」として知られるのは現在アメリカの国立自然史博物館に収納されている45.52カラットの「ホープダイヤモンド」で色は青。これがレーヌのモデルでしょうか、それとも「赤のダイヤ」が他にあるのでしょうか。

ひたすらこんなことばかり考えています。
4thとVS、9th、7.5th or 8.5thについて、また今回取り上げた地平についても語りきれなかった一部の内容は、ページ数と内容の都合上、10月のN'th Horizon発行予定の後編『地平線篇』で扱う予定です。

詳しくはそちらに譲ることになりますが、モデル探しの主旨は地平線世界が『何の為に生み出されたのか(by べぼちゃん)』を知ること。地平線世界の創造主たるRevoさんが史実の何をどう捉えて地平線世界に反映したのか、私が勝手にRevo史観とでも呼んでいるものを探すこと。「史実」と「物語」の差分を取れば作者の意図が透けてみえるはず…かどうかまだ確信はありませんしが、目指すところは其処にあります。

別ページにサンプル記事を1本上げております。ご興味を持っていただけましたら、会場にて&イベント後はBooth通販にてお手に取っていただければ幸いです。

概要

書名:運命の遊戯盤の上で、僕らは(歴史篇)
発行日:2024.3.17 Parade of H
文責/表紙/写真:kizami 
判型:A5
P数:表紙込み188
頒布価格:1,500 円

もくじ

  • Moira

    • ギリシャ冥府案内―創世から最初の門の開門まで

    • ギリシャの死生観と『エルの神話』

    • 死の恐怖を超越し解脱を解く密儀宗教

    • Moira を殺したかったのは誰? 冥王、エレフ、或いは……

    • アルカディアの太陽が消えた日

    • 『Moira』の物語のモデル探し

    • 語り手は(本当のところ)誰ぞ? 盲目の詩人は詩女神の啓示を得たか?

    • そして因果は巡り来る――当代運命神は何故、怒鳴られることしかできなかったのか?

    • Column: Moira よ! 貴柱は何故「ミラ」なのか?

  • 聖戦のイベリア

    • 60 秒で解る? 抗争のイベリア史

    • 赤い城塞が見えるまで――イベリア半島縦断1,000 キロ

    • 焔の悪魔と封印の邪神

    • 改めて――彼の名は?

  • Märchen

    • 生と死の往還と二人の『メル』

    • 「欲しい」は罪か必然か? 七つの衝動と人を育てる「欲求の階段」

    • 母は童話を語り、我が子を育て直す

    • ザクセン家のお家事情――選帝侯の息女エリーザベト・フォン・ヴェッティンは実在した!

    • エリーザベトは(多分)判った。ではメルは……?

    • ホレおば(お姉)さんと紡錘と罪と罰

    • Column: メルの罪は許されたのか? 井戸を包んだ野ばらの意味

  • Chronicle

    • 世界の始まりへ遡る――一番最初に世界を「やり直し」たのは誰か?

    • 旧約聖書以前からある世界の洪水神話の類型

    • 黒の教祖と白の鴉、そして滅びの獣

    • 神聖帝国を騙った王、薔薇の女王達、そしてベルガの英雄

    • 顔、声、体? 基準の無い《歌姫コンテスト》でItania 王は本当は何が欲しかったのか?

    • 読む者? 読まれる者? 真の『策者』は誰?

    • Column: ときどきf になる―意外に奥深かった騎士の名の綴り

  • Roman

    • 呪いの宝石は何色か? 人形たちが動乱のパリに見た『物語』

    • イヴェール・ローランは生まれたい? 生まれなくていい?

    • 『11 文字の伝言』と『冬の伝言』の齟齬

    • もう一つの伝言「おりあわせしになさいな」は何を意味するのか?

    • ミシェル・マールブランシェと屋根裏

    • 「子を愛する母」は少数派? 革命前夜のフランスの子育て事情

  • ハロウィンと夜の物語

    • リヴァモア一家の足取りを辿る

    • ジャガイモ飢饉を逃れて新天地アメリカへ *サンプルあり

    • パンか信仰か―米墨両軍に分かれたアイルランド兵の選択

    • 男性とは様相が異なる、アイルランド女性の移民事情

    • 誰がシェイマス殺したの?

    • レニーは「Trick or Treat」をしていない? アイルランド→アメリカのハロウィンの歴史

    • Column:「 ディアナ」の夫と金の枝

  • Chronology

  • Reference


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