サービスマン、その先へ
記
本日2020年10月30日を以てサービスマンを引退しました
2020年11月2日
ご報告
去る2020年10月末日をもちまして株式会社Wakiyaを退社、サービスマンを引退いたしました事をご報告させて頂きます
飲食業界の最前線で全力を尽くし戦って参りましたが、今後はさらに食の世界を盛り上げていく為のサービスを提供する新会社を設立いたします
毎月2000人以上ご来店頂くお店において(在店時は)ほぼその全てを入口でお迎えしてまいりました
そんな毎日が十数年に及びますので、数十万人のお客様のお顔を見てお迎えしたことになります
顔や歩き方を見れば、その人の性格や考え方、所属しているコミュニティが分かる
というと皆さんそんなバカなと驚かれるのですが、プロバスケットボール選手の3ポイントシュート練習や、プロゴルファーのパッティング練習のように、毎日毎日何十、何百人の人を注意深く観察し続けているわけですからそれもご納得頂けるかと思います
さて、最終日の最後まで退職を公表しなかったのは、サービスマンという仕事は主役ではなく黒子でありお客様の時間を陰で支える存在だからです
最初から最後まで、ぼくの考え方は一貫しております
そういう意味でも去り際はとても大切でした
それでも一部、退職の意を伝えていた近しい友人たちは最後の勤務をとお店に駆けつけてくれました
お忙しい中お時間を作っていただき、またお祝いを頂戴し心より感謝しております
ぼくが現場第一主義であったのは、現場の中にこそダイヤモンドの原石が落ちていると思っていたからです
みんながやらない毎朝のトイレ掃除にも、隣の道路の掃き掃除にも、窓拭きやお花の水やりにもその原石は隠れています
むしろデスクトップやスマホの中、紙の上には本当の真実は姿を現してくれません
ぼくは能率化、効率化の対極にあるそんなサービスマンの仕事が大好きでした
日本のレストランビジネスは世界に誇るコンテンツです
繊細な舌と感性と、覚悟と決意に支えられる職人的な料理のクオリティは世界に誇るべき日本の宝です
同じように人の心の機微を読み、付かず離れず気配りをする日本のサービスマンの仕事も世界に誇るべき宝です
ぼくはロバートデニーロやNOBUさんがオーナーであったニューヨークのお店の立ち上げにも参画し、香港のレストランのサービスの現場で(ヤントーヒンという2つ星レストランです)働き、ロンドン、パリ、台湾、シンガポールと世界中のサービスの現場で働いてきました
おそらく、シェフやソムリエの仕事ではなくてホールの接客という意味では非常に稀有な経験を持った存在だと思います
やはりその経験を持ってしても日本のサービスマンのレベルは素晴らしく高く、同様にお客様の要求も非常に高いのです
それにも関わらずまだまだサービスマン、接客業の地位は低く給与ももちろん低い
これ程までに困難な仕事であるにも関わらず、あまり理解されず、評価されていないように感じております
そのため現場でサービスマンという仕事の難しさと素晴らしさを伝えようと自分なりに努力をしてまいりました
自分の中では現場でできることはやり尽くしたと思っております
一歩外に出て、さらに日本の飲食業界を盛り上げてサービスマンの地位を、飲食人の素晴らしさを世に広めていく仕事ことこそが、ぼくの第二ステージとなります
会社設立と、また新たなサービスの準備をしております
発表はひとつではありません
現場出身のプライドをもって邁進してまいりますので、今後とも応援をよろしくお願いします
辛く苦しい時期だけれど負けちゃだめだよ、今こそ頑張る時だ飲食業界!!
2020年11月2日 萩原清澄
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