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今週のぜったいにつぶやけない話

「2019年4月第3週」

ぼくが”売れるため”にまずやったこと

レストランのマネジメントというと、料理のディレクションだったりプライシングだったり、はたまたオペレーション、スタッフの採用から教育だったりと非常に幅広いのですが

その中のひとつに

ひとつと言うか数千万プレーヤーであるマンハッタンの人気レストランのマネージャーなどにとっては一番の仕事で

お客さんを引っ張ってくる

というものがあります

空席は悪であり
お店を満席にする必要がある

これが10席、20席のレストランであれば
美味しいお料理と居心地の良いサービス
というプロダクトアウトで埋まるのですが

100席のレストランというとなかなかそうはいきません

で、ぼくはその100席のレストランを埋めなくてはいけない
20代半ば過ぎの若造が高級レストランをお客さんでいっぱいにする

そんな時代がありました

さて、みなさまならどうするでしょうか?

これは営業マンであっても同じだと思うのですが、物を売ろうと思ったら自分という人間を認知させるというのがまず最初のフェーズです

人として知ってもらう

次に興味を持ってもらう

そして、好きになってもらい

最後に信頼してもらう

若かりし頃のぼくは
この知ってもらうという
最初のフェーズをどう乗り越えるか
これに苦心したわけです


色々と調べて
頭をひねった

ひねった末に
当時話題だった
新宿の伊勢丹メンズ館の地下へと
札束を握りしめて
これはもうなけなしのお金なんですけれど
そいつを大切に握りしめて向かったわけです

花粉の季節も過ぎ、桜が散り

梅雨の前のほんの束の間の初夏の陽気

ちょうど今くらいの季節だったように記憶しています

メンズ館地下の靴売り場は
当時、紳士靴売り場としては日本一の売り上げを誇りました

そこでぼくはサントーニの靴を買ったんですね

こいつを買ったせいでしばらくの間はニラともやしばかりを自炊して食べていた記憶があります

で次の日からそれを履いて仕事を始めました

だいたいぼくらは1日3万歩くらいは歩きますから
これが大きなパーティーだと5万歩とか歩くんですけど
こんないい靴で仕事をしていたら靴もダメになってしまう
足もおかしくなる

という事は重々承知した上で
約1週間履いた
でその後の最初のお休みに
今度はホテルオークラの地下へと足を運びました

東京の地下は面白い

その地下の一角に
それこそ畳4畳半
いや3畳くらいの狭いスペースに
そのゲンさんはいたんですね

ゲンさんは
伝説のシューシャインボーイと呼ばれていて
田中角栄からマリリンモンローまで
国内外のセレブリティ
一流の経営者はこぞって靴をゲンさんに磨いてもらいに
そのお店に足を運んでいました

ボーイと言っても僕より2回りも年上でしたが、若い頃からパリのホテルクリヨンや世界中の一流ホテルからヘッドハンティングが入るほどの凄腕です

ぼくはゲンさんの元へと行き
とは言っても当時のお客の中では
一番と言っていいくらい若くて尻も青いんですけど
「靴を磨いてもらいに来ました」

と言うわけです

無知とは怖いもので
基本的には予約制なんですよね
天才と言われたゲンさんですので
当たり前といえば当たり前で

でもゲンさんは笑顔でちょっと待ってねと
このお客さんが終わったら
次にやってあげるねと
言うわけです

「サントーニだね、丈夫だけどちゃんと手入れしないとダメだよ」


ゲンさんは靴を見ただけでそれがどこのブランドのものであるかはもちろん
皮の種類から染料まで熟知しているわけです

だから
ぼくの一張羅ならぬ
資産の中で最も高額な靴が
サントーニのものであるのはすぐに見抜いていました

靴を磨いてもらいながら
やっぱり次々とお客さんが来ます

列をなす

その列に向かって
ゲンさんは
「彼はねー、レストランでマネージャーやっててね」
とぼくから聞いた話を
自分ごとのように他の一流と言われる経営者の方々や代議士さんにしてくれるんです

ほら

と名刺交換をさせてくれて
どんどんと紹介してくれる

そうやってぼくはゲンさんの元に通って
自分の顔を広めていきました

これが
ぼくがある意味においての営業マンとして
最初に行った行動のひとつです

あれから10年経ちますが
未だにゲンさんは
あの時のサントーニ大切にしてるかい?
なんて
もうすごい記憶力ですよ

本当に靴が好き
シューシャインが好きなんですね

アソビカタSalon 5月の定例会では
長谷川さんという
若き日本のシューシャイン
世界チャンピオンに輝いたエースをお呼びします

同世代の努力の天才に
ぼくを救ってくれたあの頃のゲンさんの影を重ね
靴磨きと接客
人付き合いというものを学びます

アソビカタSalon の定例会はこのように
ぼくにとって意味のある
過去の経験からもみなさんに提供したい時間をお届けしてまいります

今回はビジター(サロンメンバー外)も参加可能
世界一のシューシャイン実演ありです

アソビカタSalon 入会はこちら

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