ネコゴコロとヒトゴコロ その22
ボス猫の条件
野良猫の中には、こいつがきっとこの界隈のボス猫なんだろうなといった雰囲気を漂わせる猫がいます。他の猫とは存在感がまるで違うのです。
違いが特に表れるのが顔。とにかく大きい!エラが張っている上に筋肉も発達しているせいか盛り上がっていて横幅が尋常じゃないのです。
まるでオスライオンがたてがみで己の強さを誇示するように、たてがみのないボス猫は幅広の顔で自分の存在感を誇示しているように見えます。
ちなみに、進化論の提唱者ダーウィンによれば、ライオンのたてがみはオス同士が戦う時に首や頭を守るためにあるのだとか。でも、最近の研究では強さを表すバロメーターでもあることがわかってきました。
ライオンのオスは敵を倒すごとにテストロン という男性ホルモンが分泌され、それがたてがみを濃く長くするのだというのです。色が濃くて長いたてがみは強さを表すシンボルだということ。そのせいか、メスライオンは色の薄いたてがみのオスより濃いたてがみのオスに惹きつけられるのだとか。
ボス猫もライオンと同じネコ科。近所のオス猫たちを力で支配することでテストステロンの作用で顔がどんどん肥大化。そうやってボス猫としての風格を漂わせることで、メス猫たちの憧れを独り占めにしているのです。
ならば私たち人間はどうでしょう。
今どきのイケメンは顔が小作りというか、顔立ちがかっこいいだけでなく、顔の小ささでスタイルの良さが際立つタイプが多いですし、そちらのほうが女性にモテモテのように思われます。猫の世界の常識は人間の世界では通用しないのでしょうか。
いえいえ、実は興味深い心理実験の結果があるのです。
実験を行ったのは、シンガポール経営大学のバレンタイン教授(2014)。
教授は、モテる男性の外見の特徴を調べるために、男子学生(78人)と女子学生(83人)に3分間ずつスピードデートをしてもらいました。
女子学生には、相手を替える前に「今の相手の好感度」を点数で表示してもらうという形で実験は続けられました。
その結果わかったのは、高い点数を得た男性の共通点はなんと“顔の幅が広い”ことだったのです。細面の顔より横幅が大きめの顔の男性に女性は魅力を感じたということ。
また、男性の顔の幅は男性ホルモンであるテストステロンの数値と関係があることがわかりました。テストステロンの数値が高いほど、顔の横幅が広くなる傾向があったのです。
つまり、この実験を信用すれば、メス猫たちと同様に人間の女性も幅広の顔の男性に魅力を感じてしまうということ。
もしあなたが男性で、顔が大きいことにコンプレックスを持っているとしたら、それは勝手な思い込み、大いなる勘違いかもしれないということです。自分の顔に自信を持ちましょう。
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