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陸自18式防弾ベストのプレート単価3,410,000円は本当か?


昨日ブログで18式防弾ベスト1式の調達単価について書きました。
https://kiyotani.seesaa.net/article/501406439.html

>【調達単価について】
〇 18式防弾ベスト1式の調達単価
 ⇒ 3,630,800円(令和5年度調達実績)
   (ソフトアーマー及びプレートキャリア:220,800円、防弾版:3,410,000円)
○ 新型鉄帽の調達単価
 ⇒ 現時点で未調達
○ コンバットシャツの調達単価
 ⇒ 19,228円(令和5年度調達実績)




これをX(Twitter)にも転載したところ、22万以上のアクセスがあり、反響の大きさに驚いています。その中でプレートの価格がいくらなんでも高すぎるのではないか、との疑問がありました。まあ、他国製のものと比べて一桁高い値段ですから、疑問に思うのも無理はないです。
そこでのこの件に関する背景と、事情説明をまとめておこうと思います。先にいっておくと、念のために陸幕広報に再度確認を出しています。

まず、この情報はぼくの質問に対する陸幕広報からきた回答をそのまま貼ってあります。つまり、ぼくが書き移す段階で数字を誤記したということはありえません。

実は現場の複数の部隊の人間からもプレートは300万円以上と言う話を聞いています。

また概算要求のレクチャーなどで質問した場合、レクの担当者が答えられない場合は該当部署に問い合わせるので、その段階で伝言ゲームになって誤った回答があったりします。ですからレクの後で、訂正を受けることもあります。今年のレクのぼくの質問で、一桁高い某装備の単価の回答に関しては、勘が働いたので、問いただしたら間違いだったということはありました。
ですが今回はご案内のように書面でのやり取りなので、それは無いかと思います。無論人間のやることなので絶対はないかと思いますが。



これに対して数字が異常なので疑問に思うわなかったか?
と聞かれたら、思わなかったです。だって陸幕ですから。他国の何倍あるいは一桁高い装備を買う「実績」は多々あります。
例えばM24狙撃銃にしても米国の市場では10万円以下で買えるものを、120万円で調達し、しかも調達した銃はサビが浮いていたという代物でした。


これが他国の参謀本部に問い合わせたものならば、ぼくも数字を疑ったでしょう。本年度の予算でのMINIMI Mk3や H&Kの新型狙撃銃についてEuropean Security & Defence誌に書いたら、編集長からその金額の数字間違っていないかと執拗に確認されました。これが外国の普通の感覚です。

ですが、自衛隊の調達ではそのありえないことばかりなので、全部疑っていると仕事になりません。

それからぼくが以下のようなことを書いているじゃないか、この数字だとそんなに高くならないだろうとの指摘がありました。

>本年度からプレートキャリアとソフトアーマーを組み合わせた「18式防弾ベスト」が導入され、本年度予算には8000セットが27億円で要求されている。
https://toyokeizai.net/articles/-/681615?page=2


それはその通りなのですが、実はシステムにプレートが含まれていない可能性が強いです。実際に3型改でもプレートは予算に含まれずに、ほとんど部隊では支給されていません。しかも3型改は、陸幕は国際的なデファクトとなっているSAPIと同等のプレートを使用するといっていましたが、実はそれは中即連など一部であり、それ以外は従来の亀の子形のブサイクなプレートを使用しています。3型改ではどちらでも使用できるようになっています。
中即連でも18式導入に際して鉄帽も、マガジンポーチも支給されていないので、プレートが支給されていなくても不思議ではありません。

陸幕からの返答は週明けになるかと思いますが、おそらくはこの数字に間違いはないかと思います。

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