日銀が踏んだアクセルに政府がブレーキを同時かける暴走老人的政策の悲喜劇
黒田総裁率いる日銀は円安を歓迎し、円安由来の物価高で2%のインフレになれば景気がよくなると力説してきました。それは二年で達成するといいつつ、8年以上実現していませんが。かつて黒田総裁は原油安になっとき、原油安を悪者にしていました。
それは今も変わりないようです。
悪い円安論を否定 為替「特にマイナスでない」―黒田日銀総裁
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021111500731&g=eco
>日銀の黒田東彦総裁は15日、名古屋市で記者会見し、原油価格の値上がりとともに円安が進行し、原材料価格が大幅上昇していることに関連し、「現在の円安が(経済全体に)特にマイナスになっていない」と述べ、「悪い円安論」を否定した。
彼の主張は、コストアップ型インフレは全てを癒やすというものです。インフレになればみんな、先にいけば更にインフレになると思うので、先を争ってものを買うから、消費も活性化するといってきました。
以前から繰り返し申し上げておりますが、それは全くの妄想です。
例えば100円で100個しなないりんごがあり、みんながそれを食べたいとします。
そこでりんごを120円にすれば売れるりんごは減るでしょう。
対して給料が大幅に増えて余裕ができれば、1回2個買うような人がでるでしょう。そうなると、1個200円にしても売れるでしょう。
非常に簡単な理屈です。実際に円安誘導で食品は値上がりするか、内容量を減らすステルス値上げをしています。ですが消費は活性化していません。
つまり黒田総裁のいうコストプッシュ型インフレでは消費は伸びず、所得が上がることによって起こるデマンド型のインフレによってこそ景気がよくなるわけです。こんなこともわからない狂人が中央銀行を支配しているのですから世も末です。
その狂人を支持してきたのが安倍菅政権でした。
でそのアベノミクスを継承するという岸田政権は石油製品の値上がりは危険だといっています。
ガソリン高騰抑制へ、政府が石油元売りに異例の補助金
https://news.yahoo.co.jp/articles/22f70482619568c078de63fe2d7d1c96d7cb9b69
>萩生田経済産業相が、石油元売り各社に対し、時限的に卸価格引き下げの原資となる補助金を支給する方針を表明した。
>今週19日にも決める緊急経済対策に盛り込む予定で、2021年度予算の予備費を活用。年末年始から来年3月末までの実施する案が浮上している。
>軽油・灯油も補助金検討 ガソリン10週連続値上がり…導入の目安は
https://news.yahoo.co.jp/articles/739af94512dcc80040c090ffd9121fcada255bed
>政府は、ガソリン価格の高騰を抑えるため、補助金の導入を決め、軽油や灯油についても検討する方針。
>経済産業省は16日、高騰するガソリンについて、石油元売り業者に補助金を出すという、過去に例のない異例の対策を導入すると明らかにした。
それは当の業界からも反発がでています。
ガソリン補助金「要望してない」「愚策」…もらう業界から疑問続々
https://digital.asahi.com/articles/ASPCK62NDPCKULFA002.html
>経産省は元売り各社に補助金分を卸売価格に反映するよう約束させるとしているが、最終的に小売価格を決めるのは全国のガソリンスタンドだ。元売りの関係者は「卸売価格に反映させても、小売店がそのまま反映させるかどうかはわからないし、強制もできない」と打ち明ける。小売価格は店ごとにバラバラで、卸売価格だけでなく輸送費や人件費なども影響する。
>ガソリンスタンドの経営者は「無理筋の愚策だ。我々にとっていいことなんてない」と話す。小売価格は地域によって差があるのに、「170円」という発動条件が独り歩きする懸念があるからだ。補助金が出た後に170円を超える価格をつけていると、税金でもうけていると誤解した消費者から苦情を言われる可能性もある。経営者は「業界は全く要望していない。価格は市場にゆだねるべきだ」と訴える。
まるで日銀がアクセルを踏んでいるのに、政府は思い切りブレーキを踏んでいるようなもので、昨今起こる高齢者の起こす自動車事故の様相を呈しています。
政府のやるのは目先の支持率目当てのバラマキです。その原資は税金ですらなく、将来の増税を当てにした国の借金で行われます。18歳以下へのバラマキと同じ構図がここにあります。
円安や原油高が悪いのであれば日銀と対立することになります。無論建前は日銀は独立しているわけですが、全く異なる経済政策、金融政策を日銀と政府が行えば、機能不全になることは小学生でも分かる話かと思います。
コストプッシュインフレでは個人消費が増えて景気がよくなるということはありません。
コストアップインフレは個人の可処分所得を減らします。まして毎年のように社会保障費の個人負担は増えています。つまりますます個人の可処分所得はへります。
そして国の債務が過大だから将来はさらなる増税と社会保障費の負担が増えると思えばますます、消費を控えて貯蓄に励むでしょう。個人消費が増えるわけがありません。
そうはいっても消費税で等しくすべての個人や法人から税収を増やさないと国庫が破綻します。その意味では借金使ってバラマキ政策をやるのは愚の骨頂です。
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