「防衛産業強化法に基づく基本方針案」防衛産業強化法で防衛産業は壊滅する


防衛産業を強化しろと情弱な国防族からやいのやいの言われてやったフリをしているだけのアリバイ工作が「防衛産業強化法に基づく基本方針案」です。

この手の報道でぼくが苛つくのは、新聞や経済メディアで軍事市場を知っている人間がいないことです。だからソースが防衛省や自衛隊となる。世界から見ればとんでもな人たちに話を聞いてまともな議論ができるわけがありません。
ラーメンを食ったことがないやつが、偏ったラーメンオタクの話を聞いてラーメン産業のリサーチするようなものです。

前提として以下の問題があります。
1) 防衛省、自衛隊、そして防衛産業自体に防衛産業が「産業」であるという自覚がないし、軍事市場を理解していない。これは輸出規制が大きいと思います。
2) 防衛産業にやる気がない。大手はどこも大抵防衛依存率は高くて数%です。はっきり言って鼻くそみたないものです。で、防衛に力を入れると世間体が悪いから力をいれないし、株主にも説明しない。だから外部から実態は見えない。カヤバの話をIR担当者は自社サイトで防衛部門に関して触れなくていい、投資家のIR担当者には説明しているといっていました。それは個人投資家軽視ですし、納税者を馬鹿にしているということです。

例えばニコンやいすゞが輸出して、右肩上がりで防衛部門の成長を計画するでしょうか。まずないです。ニコンがその気になれば小火器用のスコープや、双眼鏡などは簡単に開発でき、売るための販売網も持っています。が、やりません。では潜水艦や装甲車用のペリスコープを輸出するかと言えばやりません。いすゞにしても自衛隊向けトラックを大層自慢していますが、輸出をする様子はありません。トヨタも同じです。

防衛省が買ってくれる限りは作るという消極的な姿勢です。つまり事業を拡大し、相応のリスクを負って開発費をかけるなんてことはやりません。市場で海外製品と性能、品質、コストで戦おうと思っていません。
ですから外国と似たようなもので、防衛省が買ってくれる限り、低品質で高コストの製品を作ります、というスタンスです。生き残れるはずがないでしょう。

3) 調達がでたらめ。いつも申しておりますが、どのような運用構想があり、どのような装備が必要であり、それが何個必要か、それをいつまでに生産、装備化するのか、その金額はいくらかを明らかにして、議会に図り企業と契約するというどこの国でもやっている当たり前のことができません。
これは防衛省だけでなくすぐれて政治の問題です。率直に言えば、自民党の国防部会は軍国少年あるいはネトウヨレベルの知識と見識しかない。外国の調達がどうなっているのか、我が国はどうなのか、知らないか、知っていても問題ないと思っているわけです。ぶっちゃけ言えば無能です。この無能が防衛費を2倍に白と騒いでいるわけです。

4) 防衛省に経営センスはない。
諸外国の国防省の調達機関には相応に調達の「常識」があります。ところがそのような知識が欠落しています。調達改革のホープだった内局の堀地徹氏は本来装備庁設立で相応の地位につけられるべきだったのが、南関東防衛局、ノンキャリポストの函館税関長で6年も飼い殺しにされて、この夏防衛医大副校長を最後に退官です。こういう改革意欲も専門知識もある官僚を、改革=既得権益の阻害という上層部がうとんで飼い殺しにしてきました。彼以外でも多くの改革派の官僚や制服組が疎まれて、本来つくべきぽポジションからはずされています。

5) 必要な業際再編成をしない。まずやるべきは、同じ分野で弱小メーカーが競合もなしに、ひしめき合っていますが、これを統廃合するきが防衛省にも自民党国防部会にもありません。これをやらずして体質強化は無理です。

6) 商社の軽視。諸外国のマーケットを知っているのは商社です。その商社を防衛省が冷遇していると言えます。海外市場開拓と鼻息は荒いですが、市場なにそれ、美味しいの?レベルのガラパゴスな国内メーカー何ができるのでしょうか。防衛装備工業会のような業界団体でも商社は冷遇されています。

こうしてみれば、防衛産業の振興策が以下に画餅かわかるはずです。国営化でもしようものならば、経営センスのない官僚が経営を指導し、弱い体質がますます虚弱になってますます税金を無駄に使った挙げ句に事業が消滅するでしょう。


結局、国有期間の長期化を容認? 防衛産業強化法の基本方針案 「財政負担が膨らむだけ」との指摘も
https://www.tokyo-np.co.jp/article/267144

>防衛省は、通常国会で成立した防衛産業強化法に基づく基本方針案をまとめた。この法律は防衛装備品の製造施設を一時国有化した場合、できるだけ早く民間企業に譲渡する努力義務を課しているが、基本方針案は、防衛装備品の安定的な製造に支障のない範囲での努力義務と明記。国有が長引き、税金が使われ続けるとの懸念がさらに強まっている。

>同法は、企業撤退が進む防衛産業を維持するため、製造工程の効率化や海外輸出などの支援を列挙。それでも事業継続が難しい場合、企業の製造施設を国が取得、保有できる「国有化」を規定。管理運営は民間委託するが、維持管理費は国が負担する。一方で、国有化は例外措置のため、条文には「取得施設をできるだけ早期に民間譲渡する」との努力義務を設けた。
>だが、基本方針案では「装備品の安定製造に支障が生じてまで、早期に譲渡する努力義務を防衛相に課していない」と強調。具体的な譲渡時期は個別の事例に即して検討するとした。

>国有は、個別の企業には事業継続のメリットがあるが、産業全体でみると、不採算企業の淘汰とうたが進まず、技術革新の停滞や非効率経営の温存が問題となる。

産業基盤の強靭化 防衛白書該当部分
https://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2021/pdf/R03040204.pdf


■本日の市ヶ谷の噂■
防衛医大の博士課程講座では架空の講義プログラムが約半数を占める。講座の資料だけを作って「エア講座」を作って予算をネコババ、との噂。

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