旅客機が作れない衰退国家と旅客機で躍進する元途上国の差は政治家の格の違い


中国、航空強国へ一歩 国産旅客機「C919」就航
まず自国で実績、輸出へ虎視眈々
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO71440010Z20C23A5FFJ000/

メーカー、国ともに当事者意識&能力が無い衰退国家と、野心むき出しで、本来不効率な官僚主義国家なのに、確実に実績を上げている国との違いです。
まざまざと日本の航空業界と政府の無能を見せつけられる思いです。
まあ、衰退していく国とはこういうものでしょう。


>中国の国有旅客機メーカー、中国商用飛機(COMAC)が開発した旅客機「C919」が28日、運航を開始した。業界標準である米欧の安全性証明の取得よりも自国での実績づくりを優先し、輸出も見据える。COMACは重要部品の国産化にも動いており、欧米勢がシェアをほぼ二分する航空機産業で、中国は第三極の地位を模索する。

>国産機の開発は習近平(シー・ジンピン)国家主席の肝煎りプロジェクトだ。中国共産党の最高指導部が07年、C919の開発プロジェクトを正式承認した当時、習氏はCOMACが本拠地を置く上海市のトップだった。

>国を挙げたプロジェクトという点では、三菱重工業が2月に開発中止を決めた日の丸ジェット「三菱スペースジェット(MSJ、旧MRJ)」と共通する。しかし日中で開発のスタンスは大きく異なる。

>当初、C919の就航までに2000億元(約4兆円)がかかると報じていた。座席数の違いなどで単純比較はできないが、MSJが費やした累計金額(約1兆円)の4倍を見込んでいた計算になる。巨額の開発費は私募債などを通じ、国有系企業や金融機関から注入されたとみられる。

>航空機を輸出するには機体を実際に運航する相手先国での安全性証明が必要になる。航空機産業で長い歴史を持ち、デファクトスタンダード(事実上の標準)である米欧の証明取得を目指すのが一般的だが、COMAC機は現状取得していない。「中国の枠組みでいったん開発を完了した以上、後から米欧当局の証明を得るのは難しい」(日本の航空関係者)との見方もある。

>COMACがこうした戦略を採った理由は2つある。
>一つは、自国の航空機市場だけでも一定の需要が期待できることだ。米ボーイングの予測によると、41年の中国の商用航空機保有量は9630機と世界の2割を占め、北米地域に匹敵する。
>もう一つは、実績づくりを優先させていること。事故を起こさず安定運航の記録を積み上げれば、独自に運航を認め国内線で導入しようという国が出てくるだろうとの打算がある。

端的に言えば指導者たる政治家の見識と構想力が日中では月とスッポンだったということです。そして当事者である航空産業も当事者意識&能力が欠如していた。
 
 この先主要産業である自動車産業が凋落する可能性があり、そのためには航空産業の進行は必要不可欠でした。
 そのためには断固としてプロジェクトを成功させるという強い意志と決断力が必要でしたが、歴代の我が国の政権にはありませんした。
 当然関連省庁をまとめ上げる能力もなかった。端的に言えば役所の縦割りを排除して、政治の目的を官僚に徹底させる能力が政治家になかったということです。

 そもそもこの30年で航空、あるいは航空防衛産業を振興するという掛け声ばかりは大きく、経産省や防衛省も政策をいくつもぶち上げましたが全く効果がなかった。本来航空防衛産業振興基本法みたいなものを作って、専業の国務大臣を長にして内閣府に司令塔をつくるべきでした。

 本来それをやるのであれば、航空防衛産業の業界再編成は避けて通れない問題でした。それに全く手がつかなかった。これは政治の責任です。再編すらでない当事者能力のない企業が旅客機作ると言っても失敗するに決まっています。

 何しろ、ソ連の国営企業より国営企業です。「本当のビジネス」をやったことがない。あるのは防衛省のプライムという根拠のない自信だけ。その防衛省も自衛隊も軍隊からみたらトンデモなエセ軍隊に過ぎない。
 にも関わらず自衛隊の戦闘機を作り続けてきた、大三菱の能力を持ってすれば旅客機なんてお茶のこさいさい、と思っていて商売を舐めていたわけです。
 三流なのにプライドだけは一流で、現実を見ずに「戦争」して勝てるわけがありません。
衰退するだめな国というのはこういうものか、という諦観するしか無いのでしょうか。

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