放火魔が放火を批判するかの日経の円安批判


一貫してアベノミクス大礼賛、円安大礼賛でやってきた日経が今になって円安批判をしています。これは放火魔が放火を強姦魔が、強姦を非難するようなものです。

円安の重圧、暮らしに 10年で婦人服の価格13%上昇
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2455T0U2A120C2000000/

>「円安は日本経済にプラス」といわれてきた構図が変わりつつある。スマートフォンや>家電、衣料品など身の回りの製品の輸入依存度が高まり、円安による物価高が家計を圧迫しやすくなった。半面、製造業の海外移転で円安が輸出を押し上げる力は弱まった。貿易で稼いで国の富を蓄積する経済の循環が成り立ちにくくなり、円の実力を映す理論値も切り下がっている。

 こんなことは第二次安倍内閣以前からわかっていた話です。ぼくはこのブログでずっと批判してきました。そして円安は企業の円ベースでの見せかけの利益だけは増やすが、多くの製造業が海外に拠点をもち、非価格競争力の大きな企業は国内の製造拠点を維持している。円安で儲かるというのは高度成長期の70年代までの話です。
 日本企業の国内消費商材ですら外国で生産されて輸入されています。ユニクロがその好例です。車だってそういう例は少なくありません。経済の国際化が進めば当たり前の話です。

>貿易で稼いできた日本では輸出採算の悪化につながるとして円高が敬遠されてきた。円高局面では条件反射的に日本株相場も下落して「円高恐怖症」とも呼ばれてきた。

そういう世論誘導をしてきたのは日経自身です。それをしれっと、他人事かのようにいうからこの媒体は信用されないのです。
そもそもGDPの6割は個人消費なのに日経平均という指標で

>11年には東日本大震災などで市場が動揺し1ドル=75円台の最高値をつけた。企業は円高や電力不足など「6重苦」を理由に海外移転を加速。産業空洞化が叫ばれ、政府も日銀に円高対応を求めた。
>だがいまは円安を通じた輸入物価高が家計の重荷になる円安デメリットが実感されやすくなっている。

これもインチキです。すでにプラザ合意以降から日本企業の生産拠点の海外移転は増えています。円安デメリットは安倍総理就任から始まっています。食品、雑貨、衣料、エネルギーなど多くの消費財は輸入品です。アベノミクスと日銀の政策による円安誘導の影響を受けないはずがないでしょう。

>「洋服」は過去10年間で9%上昇した。婦人用は13%で、とくにワンピースは17%値上がりした。衣料品は輸入割合が98%で円安の影響を受けやすい。輸入比率が6割の「エアコン」も21%値上がりした。全品目の物価上昇率の4倍近い。


そんなことは安倍政権の誕生した2012年ぐらいから変わっていませんよ。安倍政権前1ドル80円だったのが、120円になりました。この差益の多くは、メーカー、インポーター、流通、小売が吸収してきました。それは企業の体力を奪って来たわけです。そして今やそのような無理も効かなくなってきたから値上げになっているわけです。
こんなことは現場でビジネスやっている人間や、彼らを取材していれば馬鹿でも分かる話です。ところが日経はアベノミクス、円安礼賛してきました。

>国内経済は低成長で賃金が上がらない。その中での身近な品目の上昇は家計の重圧となる。一端が家計の消費に占める食費の割合を示すエンゲル係数の上昇だ。21年1~11月は25%超と、1980年代半ば以来の水準に高まった。

2012年からそのような批判していた人間は少数派でしたが、いました。ところが日経はそんな事言うやつは経済のシロウトだ、経済学をわかっていないという株屋の手下のアナリストあたりの意見を重用してきました。

>日銀は円安について「基本的にプラスの効果が大きい」(黒田東彦総裁)との立場を崩していない。ただ、円安が輸出を押し上げる力は失われつつある。財務省によると過去10年間の輸出数量指数は円安局面でも伸び悩んでいる。日銀自身も「円安が輸出数量を押し上げる効果が弱まってきている」との分析を示す。


偉そうに日銀を批判してけど、黒田バズーカを、70年代ぐらいまでの高度成長期のセンスでもてはやしてきたのは日経でしょうが。
基本日経は株式投資の資料媒体です。ですから日本経済がどんなに痛もうが、株価さえ上がればOKというスタンスです。
日銀と政府がどんなに赤字を増やして将来の危機をまねこうが、官製相場で目先の株価さえ上がればそれを支持する体質の媒体です。
 
>円高を避けつつ賃金も抑制して輸出産業を維持しようとする政策には限界もみえてきた。規制緩和や働き手の技能向上などで付加価値が高い商品やサービスを生み出し、為替変動に左右されにくい産業を育てなければ、日本の「貧困化」が加速しかねない。

円高回避の急先鋒は日経です。ところが安易な円安は、輸出企業の努力を摘み取ります。努力しなくても円ベースで利益が上がるわけですから。そして果敢な挑戦やリスクをとって投資することがなくなった。駄目な企業が温存されて、できる企業も実力で得た利益ではないことがわかっているので、投資をせずに内部留保で溜め込むわけです。

こういう無責任な媒体が、フィナンシャル・タイムズを買収して参加に収めたのは大変な問題だと思います。
日経が誤報や嘘を書くのは批判されないからです。企業は嘘や誤報を書かれてもそれを指摘すると後で仕返しをされるのでいいません。
どんなインチキ記事を出そうが、それでも大会社の社長や広報は日経の名刺を出せば取材に応じてくれます。増長するなという方が無理でしょう。

またぼくら専門記者が指摘をしても誤報を正しません。

そういう体質ですから、誤報をやらかしても反省も検証もしません。

防衛と防衛産業に弱い経済紙、日経が一面トップ記事で誤報
https://kiyotani.at.webry.info/202201/article_6.html

だから日経の記事のレベルは低いままというわけです。


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