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借金軍拡は亡国への道



防衛省は第211回国会衆議院安全保障委員会で維新の会の美延映夫議員の

「自衛隊の偵察用無人機スキャンイーグルは、本国仕様、つまりアメリカ仕様では五ギガヘルツ帯で使用するものが、自衛隊向けでは二・四ギガヘルツ用に仕様が変更されているという指摘があります。これは端的にいきます。イエスですか、ノーですか」

という問いに対して、上田幸司防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官は

「陸上自衛隊が使用しています装備、スキャンイーグルについての御質問でございますが、電波法上の制約によって五ギガヘルツ帯で使用するものを自衛隊向けに二・四ギガヘルツ帯に仕様変更したといった事実はございません」と回答している。

ほんとですか?
メーカーは仕様を変更したとしているのですが、国会で嘘の答弁したら問題ですよ。

メーカーがわざわざ虚偽を言う必要はないでしょう。上田幸司防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官のいうことが事実であれば海外製のドローンジャマーはなんの問題もなく導入できるはずですが、実際は取材した複数のメーカーや商社はそのままでは日本では運用できないと証言しています。


文谷氏の東洋経済オンラインの記事ですが、批判している軍拡大好きなひとたちは、カネがなくても軍拡ができると信じ込んでいるようです。

いつも申し上げておりますが、国家の経済力超えた軍拡したお隣のソ連は崩壊しましたよ。


日本政府が防衛費を上げる前にやるべき3つのこと
陸自予算の削減、新戦闘機開発の中止、耐震改修…
https://toyokeizai.net/articles/-/757744

>日本政府は防衛費の増額を進めている。軍事力における対中劣勢を改善するため、2023年度からの5年間で従来1.6倍の43兆円、本年度の2024年には例年1.6倍の約8兆円を支出する予定である。
>しかし、増額継続は難しい。国民経済が困窮しているから、今は防衛費抑制を図る時期だ。2025年度以降の3年間で残り28兆円、毎年9兆円超の支出は非現実的でしかない。


>国にその余裕はない。日本は30年に及ぶ経済不振の中にある。しかも、この5年は消費増税やコロナ禍、円安の悪影響もある。国民生活も一段と困窮化している。
>この状況で計43兆円の支出は厳しい。国民の税負担はすでに限界に近い。そのため防衛増税もままならない。実際に防衛費増額分の財源確保もできかねている。

43兆円といっても真水は40兆円に過ぎません。しかも円安は進んでいるので、輸入装備も国産兵器の輸入コンポーネントも高騰しています。無論燃料代も高騰します。


円安の原因はアベノミクスで国力を低下させてたことです。稼ぐ力は減り、GDPの2倍以上の巨大な財政赤字が圧力となっています。これを放置していれば円安は更に進み、状況は悪化します。それを防ぐためには日銀の国債買い入れを減らして利上げをする必要がありますが、これまた大変です。金利が上がれば国債召喚費は拡大します。

本来膨れ上がった社会保障費を削る必要がありますが、有害ですらある湿布の保険適応すら見直せず、ふるさと脱税ことふるさと納税も止められません。

このような状態で建設国債=借金を原資に軍拡しているわけです。5年間はなんとかなっても長期戦は無理です。

>両国は地続きではない。陸軍にあたる人民解放軍100万人が中国本土に存在しても、日本に14万人の陸自が存在していても、互いにとって脅威とはならない。つまり、陸自は中国対策とはならない。

>陸自は防衛支出の相当部分を占めている。年度で変わるが陸自向け支出は防衛費の35~37%と頭一つ抜けている。海上・航空自衛隊はそれぞれ22~25%だ。5割以上も多い。
>これは防衛費増額後も変わっていない。支出割合の発表を中止したことから、それが推測できる。政府は防衛費の増額を決めた2022年の『防衛白書』から陸海空自衛隊ごとの支出割合の提示をやめている。
>陸自向け支出も従来比に合わせて増額したことをわからなくするためである。それからすれば、陸自向け支出は今なお35%前後を占めていると考えてよい。
>2024年度予算の8兆円であれば3兆円以上となる。ちなみに海自・陸自向けは2兆円に満たない。その1.5倍以上を消費している。

>戦車と野砲の発注増も大幅な増額を示唆している。2024年度予算では、10式戦車10輌と19式軽自走砲16門で合計26輌・門を発注する予定となっている。これは2020、2021、2022年度予算の平均13輌・門の2倍だ。当然だが、どちらも中国対策とはならない兵器である。

>この陸自向けの支出を抑えればどうなるか。陸自支出を従来額に戻す。または従来よりも節約する。さらには陸自の組織規模ごと縮小すればどうなるのだろうか。
>中国対策と防衛費抑制を両立できる。海空戦力を増強しながら防衛費の引き下げも可能となる。
>2024年予算に当てはめれば、6兆円代まで圧縮できる。陸自関連支出の割合を今までと同じ35%と推定すれば3兆円である。それを従来額の1.8兆円に戻すだけで防衛費は8兆円から6.8兆円になる。海空と同等額の1.2兆円とすれば6.2兆円となる。
>将来的に組織整理を進めれば、陸自向け支出は1兆円以下まで圧縮できる。たとえば、陸自14万人を7万人まで絞れば、従来と同様の支出をしても0.9兆円で済む。

これについては大賛成です。
浮いた7万人を民間セクターに回せば、お金を稼ぐ仕事をしてくれます。これは少子高齢化の現在大きな労働力です。逆に申せばその分の労働力を国防が奪っているとも言えます。


>新戦闘機開発の中止だ。日本・イギリス・イタリアの3カ国で共同開発する戦闘機について、日本は現時点で1.7兆円を投じる計画である。それを中止する。

これについてはぼくは反対です。見込みがないくらい開発費や調達費が高騰するならば停止もやむを得ないでしょう。
ですが、英国もF-35の問題点を理解しているはずです。非常に高い開発費や維持費、低いミッション達成率をどのようにしてアボイドするかは考えているはずです。もっとも成功するとは限りませんが。

F-35については軍オタさんたちはコスパ高い!と礼賛していますが、事実ではありません。
米空軍機の即応性は前年度よりも全体的に悪化、F-35AはF-22Aを下回る
https://grandfleet.info/us-related/u-s-air-force-aircraft-readiness-worsens-overall-from-last-year-with-f-35a-falling-behind-f-22a/

>米空軍は作戦機に関する2023年度のMission Capable Rate=MC率(少なくともミッション要件の1つ以上を実行できる状態)を公開、全体的に米空軍機の即応性は前年度よりも悪化しており、特にF-35Aは毎年最低の数値を叩き出すF-22Aを下回っている。

>米空軍はF-35AのMC率を明かしていないものの、米政府説明責任局(GAO)は4月に発表したレポートの中で「F-35AのMC率は51.9%に低下した」と言及しており、Air&Space Forces Magazineは「KC-46AのMC率は69.90%から65.00%に低下し、同機と交換されるKC-135のMC率は69.70%だった」と言及、これは最新鋭のKC-46Aが旧式のKC-135に即応性で負けていると言いたいのだろう。

>数年前までF-22AとB-2AのMC率が低すぎて異常に目立っていたが、個人的に「全体のMC率が下がり続けて違和感が無くなってきた」「毎年最低の数値を叩き出すF-22AにF-35Aが負けている」という点が非常に印象的だ。

>戦闘機戦力全体のMC率が下がっているのはF-35Aによる更新が進んでいないことに、そのF-35Aが依然としてメンテナンス問題に躓いていることに原因があり、MC率が比較的良好なF-16Cが戦闘機戦力の即応性を下支えしている格好で、もしF-16CのMC率が低下し始めると有事の際の作戦機が足りなくなるかもしれない。
>因みにF-15CとF-15Eの数値が異常に低いのは退役予定の機体が含まれているためだ。

ステルス戦闘機の維持コストは極め高く、稼働率やミッション達成率は低い。しかもF-35は現在もフルの生産は行われておらず、初期低レート生産が続いている。このような問題点をティア1の英国が問題視していないはずはあるまい。そこを期待するしかないですね。


>耐震性が疑わしい建物も、確かにいくつか残っている。戦争中や戦後の進駐軍向けに作った木造建築は危険である。ただ、勤務場所としては使っていない。武道場や、不要品をしまう物置に使う程度だ。
>このような建物は、本来は存在してはいけない幽霊物件だ。いずれも鉄筋コンクリートで建て替える際には取り壊す予定のものだった。それを「もったいないから」と残しただけだ。
>しかし、そのような幽霊物件に2024年度には3200億円もの予算をつけている。老朽化と耐震対策の名目だが、実際には防衛費を使い切れないためだろう。

これも賛成です。更に駐屯地の統廃合をすればコストを更に削ることができます。
後まだ金がある今のうちに既存の建物の断熱化を進めるべきです。樹脂製サッシとダブルガラスを使う、たてものの、屋上に断熱材を敷き詰めるとか、建物の密封度を上げるだけでも違います。そうすれば冷房を設置するにしても例えば10台必要なところ3台で済んだりします。あと太陽電池の導入。蓄電池を含めれば電力が安くなるわけではないですが、少なくとも昼間の電力は安いし、いざというときの冗長性確保にはなります。

海空自に関していえば、不要な国産機の調達と運用をやめるべきです。能力が低い上に値段は3倍運用費は7倍はかかります。であればこれ以上の調達は止めて、部隊も縮小し、半分以下にすべきです。P-1は20機程度に減らして、あとは予備機や部品取りに使えばいい。その分は無人機を導入すればいい。
C-2も8機ぐらいに減らして同様に余剰機体は予備機や部品取りに使えばいい。何なら全部退役でいいです。代わりにKC390、KC-130Jクラスとより小型のC-27スパルタンクラスを導入すればいい。運用コストは1/7程度になります。更に空中給油機能が付加できますから、空自の戦闘機部隊の戦力強化に繋がります。またUS-2は全廃して、ヘリに変えるか、陸自のV-22を転用すればいい。ヘリも給油すれば航続距離は伸びます。

また海自の哨戒ヘリも無人機に置き換えて行くべきです。

頭を使えばコストを削減してより効果的に防衛費を使えます。

足らぬ足らぬは頭が足らぬ。

■本日の市ヶ谷の噂■
防衛医大の桑田副校長(空将)は専門の論文ゼロ、発表ゼロの木村幹彦一佐を教授にした恩義をタテに、木村を秘書代わりというかパシリにこき使っている。木村は異動させられる恐怖感からしぶしぶ応じている、との噂。

Japan In Depthに以下の記事を寄稿しました。
新聞各紙 残念な防衛関連の未検証記事
https://japan-indepth.jp/?tag=%E6%B8%85%E8%B0%B7%E4%BF%A1%E4%B8%80

日本の報道の自由度が低いのは記者クラブのせい
https://japan-indepth.jp/?p=82748
陸自装甲車両調達の最新情報 24年度防衛予算
https://japan-indepth.jp/?p=82517

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
「ドローン急襲」想定しない日本のヤバい防衛体制
https://toyokeizai.net/articles/-/753915


月刊軍事研究4月号に陸自の18式防弾ベストに関する記事を寄稿しました。


軍事研究 2024年 04 月号 [雑誌]

Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
次期装輪装甲車、AMV採用を検証する その2 AMVのライセンス生産によって日本の装甲車事業は壊滅する
https://japan-indepth.jp/?p=81695

次期装輪装甲車、AMV採用を検証するその1
駿馬を駄馬に落とす陸自のAMV採用
https://japan-indepth.jp/?p=81667

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