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松尾敏夫日本製鋼所社長が日本の装甲車事業を破壊する


あけましておめでとうございます。

本年もはじめから防衛産業関係者が不愉快になるネタでいきます。

あと3年で現在の5年で43兆円の、安倍晋三に忖度した大盤振る舞いが終わります。
その後GDP比2%に引き上げられるという「初夢」みたいなことはないでしょう。
事実石破政権は選挙公約からGDP比率比2%を引き下げました。
何故かどこの新聞も報じませんが。

恐らく防衛費は中期的には多くても現状維持、7億円台ではないでしょうか。
毎年3兆円も社会保障費が増え続け、GDPの2.6倍以上の財政赤字も膨らみ続けています。
その環境で軍事費だけを青天井で上げることはできない。やればさらなる円安を誘発し、
最後はソ連みたい経済崩壊です。そしてIMFの管理下に入って嫌でも苛烈な赤字削減を強要されるでしょう。
防衛産業も能天気なことを考えています。昨今の売上げ増でいいきなっているのでしょうが、現実を直視すべきです。


既にご案内のように陸自の次期装輪装甲車に採用されたパトリア社のAMVが日本製鋼所でライセンス生産されることが財務省の反対を押し切って決定しました。

日本製鋼所(JSW)に天下りした某陸将が、武田良太元総務大臣(その後落選)に働きかけをして、財務省に圧力をかけたようです。
この陸将、JSWにはAMVを凌駕する新型装甲車を開発する能力がある、AMVの国産化比率は99%可能だとか仰っていたそうです。知識とリテラシーのない政治家が「よっしゃ、よっしゃ」とその三味線で踊ったということです。
装甲車開発も生産も経験がないJSWがそんな能力があるわけないでしょう。妄想をもとに政策を動かくのやめてもらっていいですか?しかもJSWのAMVのライセンス生産に関わるのが旧コマツの装甲車事業の残党とベンダーです。

大体ユーロサトリとかの視察に商社にアテンドしてもらわないと回れないような情弱メーカーにそんな能力はないでしょう。

まさにゾンビ装甲車ビジネスです。やっと装甲車開発能力が低い、お荷物のコマツが撤退したのにそのゾンビを引き入れた松尾敏夫日本製鋼所社長の責任は極めて重いといっていいでしょう。

そして小型装甲車のトライアルは中止になりましたが、もし日立が推すイーグルのライセンス生産にでもなったら三国志状態です。
輸出する気がさらさらない、開発能力も低い防衛省にタカって食っていこうという「子供部屋おじさん装甲車事業」が小さな国内市場を食い合って、開発費も按分されるわけです。
仮に防衛省が100億の開発を出せるとして、それが33億円つづ払われて、重複した研究開発をすることになります。
しかも海外市場に打って出る覚悟もない。ひたすら他国の何倍高くて、低性能な装甲車を調達することによって国力を食いつぶして自衛隊を弱体化させている。

19式自走榴弾砲にして実戦では使いものにならないクズです。

本年のユーロサトリでJSWの偉い人と話したのですが、「国内でも競争は必要です」と仰る、であれば火砲の生産に三菱重工が入ってもいいわけですよね、御社が独占しているのは国益に反していますよね、ということになります。

JSWが防衛事業を拡大するのであれば、火器の生産を集約すべきでしょう。住友重機も機銃から撤退したわけですか、機銃や豊和工業の小銃などの事業を奪うなどすれば火砲の開発や生産の効率化ができ、ここの装備の調達期間を減らし、生産性を上げてライセンス生産にしてもさほどコスト高にならないでしょう。そのうえで他国のメーカーのRWSなどに参加するなどあれこれ手はあったはずです。

火砲にしてもJWSの火砲が優れているわけではない。優れているのは砲身の精度です。これは文句なしに高い。だからBAEシステムズも欲しがった。ですが砲全体の設計が優れているわけではない。火砲設計の経験が圧倒的に少ない。更に申せば自走榴弾砲などのシステムも同様です。でき悪い火砲や砲塔開発するぐらいなら、韓国メーカーのようにCMIインターナショナルなどの実績のある海外メーカーとアライアンスを組むべきでした。
また装甲車両を開発するにしてもシステム統合はどうするのか?今や装甲車両のバイタルパートはネットワーク関連です。いかに優秀なドンガラを作っても搭載する、ナビゲーション、バトルマネジメントシステム、センサー類、そしてそれらを統合するシステムがクズであればクズにしかなりません。これは三菱重工も相当弱い部分です。自社でやるのか、それとも三菱電機など他の会社とアライアンスを組むのか。

まともな事業展開の構想もないのに、仕事と名が付けば犬の糞でも拾ってくるような胡乱なことをやって税金を浪費するのはやめて欲しいものです。事業の継続と拡大が単に財政赤い字を増やすだけではなく、自衛隊を弱体化させて我が国の防衛を危うくしてはいないか。
また事業の継続と発展には輸出市場に参入することが不可欠ですが、その覚悟はあるのか。
松尾敏夫日本製鋼所社長はよく自問されたほうがよろしいかと思います。


日本の政治家も頭がオカシイ、あるはカルト宗教みたいな日本のメーカーや防衛省の言う事だけを聞いて判断するのはやめてほしいものです。もう少しセカンドオピニオンを取り入るべきです。

AMVの派生型の参考品の取得予算について、指揮通信型は令和5年度予算、兵站支援型、施設支援型、救急車タイプ(患者輸送型)は6年度予算にそれぞれ参考品取得経費を計上されています。
 今後調達コストや維持費が高騰しないか監視していく必要があります。

 そもそも装備庁や陸幕に装甲車両の運用能力や開発指導力はありません。それがあるならAMVに音声無線しか搭載しないとか、軽装甲機動車とその後継を4人乗りで、無線機も火器も搭載せずに、下車戦闘は運転手まで降りて、装甲車放置するとかドリフのこんとみたいな運用はしません。またコマツにNBC偵察をベースに96式の後継を開発させたり、共通戦術装輪装甲車に時代遅れの10式と同じ10TKNWを採用することもないでしょう。16式にしても当初頑迷に法令にあわせて横幅2・5m以下にしろとかいっていなったでしょう。そして必要性が極めて疑わしい水陸両用装甲車をMHIに開発させて開発費を浪費するようなこともないでしょう。
更に申せばスポールライナーを見たことも、サンプルを取り寄せる知恵もなく、ネットをみて開発するような間抜けなこともないでしょう。

どうせ防衛省と陸幕に運用も開発も能力がないのですから、装甲車両を調達するのはやめてメルセデス・ベンツやタトラのトラック、トヨタのランクルでも導入する方が遥かにまともな選択です。

松尾敏夫日本製鋼所社長も本当に自社の特機部門が日本の国益に役立っているのか、また将来にわたって役に立つのか。やるべきことは何なのか。また自社の選択が株主や国民の信頼に答えるものなのか。新年にあたって熟慮されるべきかと思います。


■本日の市ヶ谷の噂■
20式小銃はレシーバーに銃身の根本を固定しているだけなので、銃剣戦闘をすると銃身が歪んで、射撃ができなくなる。
頭の悪いやつが着剣装置つければいいだろうと、いい加減に設計しただけ、との噂。


おすすめ本
ボーイング社と強欲資本主義の話です。短期の株主と経営者の利益の極大化が社会を不幸にしています。
個人的には株主最優先でもいいと思いますが、それは中長期的に株主の利益を保証すればいい。そのためには研究開発費や社員に投資すべきということになる。


ボーイング 強欲の代償―連続墜落事故の闇を追う― - 江渕崇




財政制度分科会(令和6年10月28日開催)資料
防衛
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241028/01.pdf
防衛(参考資料)
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241028/03.pdf

財政制度分科会(令和6年10月28日開催)資料
防衛
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241028/01.pdf
防衛(参考資料)
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241028/03.pdf


Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
海自の無人機、MQ-9Bの調達とインド軍の調達の違い
https://japan-indepth.jp/?p=85823

 European Security & Defenceに以下の記事を寄稿しました。
Japanese MoD selects Beechcraft T-6C as the JASDF’s new primary trainer
https://euro-sd.com/2024/12/major-news/41765/japan-selects-t-6c-for-jasdf/

Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
航空自衛隊 次期初等練習機選定は審査が僅か一ヶ月で試乗もなし
https://japan-indepth.jp/?p=85525

月刊「紙の爆弾」12月号に以下の記事を寄稿しました。
税金を浪費して欠陥機を導入防衛費「GDP比2%」無駄遣いの全実態


紙の爆弾 2024年12月号 [雑誌] - 鹿砦社

Merkmal(メルクマール)に以下の記事を寄稿しました。
自衛隊「職務中の死亡事故」はなぜ止まらないのか?4月のヘリ墜落で8人死亡、背後に潜む人災の実態とは
https://merkmal-biz.jp/post/77927

Japan in depthに以下の記事を寄稿しました。
新聞テレビが報じない自民党の防衛費GDP比2パーセント公約の撤回
https://japan-indepth.jp/?p=84903

Merkmal(メルクマール)に以下の記事を寄稿しました。
航空自衛隊のT-7後継機取得 「官製談合」疑惑が再燃するなか、透明な入札は実現できるのか?
https://merkmal-biz.jp/post/77504/2

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
「自衛隊員の手榴弾事故」現状の対策は不十分な訳
旧式の危険な手榴弾が訓練でも使用されている
https://toyokeizai.net/articles/-/831217


Merkmal(メルクマール)に以下の記事を寄稿しました。
率直に言う 陸上自衛隊の戦車は「全廃」すべきだ
https://merkmal-biz.jp/post/77045
「石破首相 = 軍事オタク」は本当か? 防衛知識ゼロの他政治家が国を守れるのか? 石破氏を長年知るジャーナリストが“真実”を語る
https://merkmal-biz.jp/post/76790

月刊軍事研究に「ユーロサトリでみた最新MBTの方向性」を寄稿しました。


軍事研究 2024年 11 月号 [雑誌]

Japan In Depthに以下の記事を寄稿しました。
防衛省、ベトナムに「資材運搬車」を提供
https://japan-indepth.jp/?p=84403
「軍オタ」が歪める防衛議論(前編
https://japan-indepth.jp/?p=84282
軍オタが歪める防衛議論(後編)
https://japan-indepth.jp/?p=84315

European Security & Defenceに寄稿しました。
https://euro-sd.com/2024/09/major-news/40266/jgsdf-calls-for-numerous-afvs/

東京新聞にコメントしました。
兵器向け部品の値段「見積り高めでも通る」 防衛予算増額で受注業者の利益かさ上げ 「ばらまき」と指摘も
https://www.tokyo-np.co.jp/article/352551

月刊ZAITENに寄稿しました。
https://www.zaiten.co.jp/latest/

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
海上自衛隊の潜水艦メーカーは2社も必要あるか川重の裏金問題で注目される潜水艦の実態
https://toyokeizai.net/articles/-/774627

月刊軍事研究8月号に防衛省、自衛隊に航空医学の専門医がいないことを書きました。


軍事研究 2024年 08 月号 [雑誌]


Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
「敵に手の内をさらさない」という防衛省、自衛隊の「敵」は国会と納税者か
https://japan-indepth.jp/?p=83101
新聞各紙 残念な防衛関連の未検証記事
https://japan-indepth.jp/?p=82844
日本の報道の自由度が低いのは記者クラブのせい
https://japan-indepth.jp/?p=82748

次期装輪装甲車、AMV採用を検証する その2 AMVのライセンス生産によって日本の装甲車事業は壊滅する
https://japan-indepth.jp/?p=81695

次期装輪装甲車、AMV採用を検証するその1
駿馬を駄馬に落とす陸自のAMV採用
https://japan-indepth.jp/?p=81667

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
航空専門医がいない空自に戦闘機開発はできない
やる気のある医官が次々に辞める自衛隊の内情
https://toyokeizai.net/articles/-/744651

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