私は、昔、テレビ朝日「朝まで生テレビ」(原発特集)を観ていて感じたことですが、推進側と反対側の討論の過程で、原研で反応度事故の研究を実施してきた石川迪夫さんが、「軽水炉では、反応度事故が発生して、出力の10倍の瞬時出力でも安全に停止でき、原研NSRRで、そのような実験を数百回も実施した」と言う主旨の主張をしたところ、反対側の人は、炉物理や反応度事故の専門がないため、疑問を投げかけつつも、明確な学術的反論ができませんでしたが、・・・

私は、昔、テレビ朝日「朝まで生テレビ」(原発特集)を観ていて感じたことですが、推進側と反対側の討論の過程で、原研で反応度事故の研究を実施してきた石川迪夫さんが、「軽水炉では、反応度事故が発生して、出力の10倍の瞬時出力でも安全に停止でき、原研NSRRで、そのような実験を数百回も実施した」と言う主旨の主張をしたところ、反対側の人は、炉物理や反応度事故の専門がないため、疑問を投げかけつつも、明確な学術的反論ができませんでしたが、石川さんの言うNSRR(Nuclear Safety Research Reactorと言うのは、米GA(General Atomic)社の設計によるスイミングプール型反応度事故研究炉であり、等価炉心直径約63 cm、炉心高さ約38 cm、燃料棒157本(20 w%濃縮ウラン、ステンレス304被覆管)、炉心の中心に実験孔があり、圧縮空気で、瞬時に、制御棒を引き抜き、4.7ドルの反応度を加え(プラスの値ならば、核分裂を促進する要因、マイナスならば、その逆)、パルス状出力で、軽水炉の約7-8倍の出力を出せる性能を有し、実験孔には、長さ約30 cmの試験用軽水炉燃料棒が設置され、反応度実験しますが、炉心燃料棒は、正常に保たれ、受験孔の軽水炉燃料棒だけ粉々に崩れ、炉心燃料棒と試験用軽水炉燃料は、もし同じならば、両者とも粉々に壊れますが、そうではなく、炉心燃料棒は、何度も実験を実施する関係で壊れないような仕掛けがしてあり、商業用軽水炉燃料棒とは、材質的物性的核的に、まったく異なっており、仕掛けとは、
・濃縮ウラン燃料に、水素化ジルコニウムが均質に混合され、燃料の昇温時に、大きな負の温度係数を持ち、ネガティブフィードバックで、瞬時に、マイナスの反応度が加わり、出力を下げる、
・燃料ペレットと被覆管の間に隙間を設け、被覆管が壊れないようになっている
・軽水炉燃料棒の被覆管は、ジルコニウム合金ですが、NSRRの燃料棒は、メカニカルな変化に強いステンレス304を採用している、
などで、パルス状出力で、短時間のため、特別に細工された燃料棒は、壊れないだけで、商業用軽水炉で、同じ条件の反応度(4.7ドル)が印加されたならば、炉心の安全は、保てません。
NSRRの反応度事故の定量的関係は、商業用軽水炉とは異なっているのにもかかわらず、素人を騙すため、推進側は、意図的に、同じと説明しています。
以上の事実関係は、原研編『原研三十年史』、pp.263-264(1986)を基に、私の炉物理的解釈に基づきます。

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