原発運転員訓練用シミュレータについての考察

はじめに

日本の産業現場では、事前に教育訓練を実施してから配属していますが、それだけの経験では十分でなく、作業をしながら訓練を受けるようになっていて(On-the-Job Training ; OJT)、最近、実際の原発では、運転班運転員は、専門的・経験年数的に、五段階のピラミッド構造になっており、上から、総括責任者(組織的課長職位)、副総括責任者(組織的課長代理職位)、上級運転員(原子炉系担当)、中級運転員(タービン系担当)、初級運転員(補器系担当、主なOJT対象者)から構成されています。専門と経験を積むことにより、上位の職位に昇格します。
運転員は、原発の運転に従事しながら、専門知識や経験を積み、より高い判断能力を有する運転員に養成されます。しかし、それだけでは、なお、十分でなく、運転中に安全系の操作が許されるのは、月一回の割合で実施されるサーベランス(監視)試験対象の機器・配管システムに限られており(制御棒作動試験、非常用ディーゼル発電機起動試験、緊急炉心冷却装置作動試験)、米国では、その他の安全系の作動試験なども実施されているものの、日本では、許可されていません。

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