南海トラフ地震時の浜岡原発の安全評価ポイント

南海トラフ地震については、地震研究者やマスコミの社会対応が良くないため、国民に的確な情報が伝わっておらず、近いうちに発生が予想されるのは、モーメントマグニチュードが、9.0と誤解されています。
政府の防災会議や地震研究推進委員会は、「今後30年間に、モーメントマグニチュードが8.0-9.0の発生確率は、80%」と、しかし、最近になり、表現を変え、より危機感を煽るかのように、「今後40年間に、モーメントマグニチュード8.0-9.0の発生確率は、90%」としました。
それは、正確に言えば、「今後40年間に、モーメントマグニチュード8.0-9.0の発生確率は、90%、しかし、従来の東海地震の発生間隔からすれば、モーメントマグニチュード8.0-8.6の発生確率は、90%弱であり、8.6-9.0の発生確率は、90%弱の「弱」の部分であり、グーテンベルグ-リヒター則に拠れば、推定9%」となります。
南海トラフ地震の影響下に設置されている中部電力の浜岡原発では、たとえ、発生確率が、1%でも、0.1%以下でも、可能性のある地震に対しては、施設の保守的安全評価のために、9.0(津波に対して9.1)を想定しなければなりません。
浜岡原発の安全評価は、大きくふたつに分類され、
・南海トラフ地震対策、
・原発システムの信頼性評価、
です。
南海トラフ地震対策は、大きくふたつに分類され、
・防潮堤の安全評価、
・耐震安全評価、
です。
耐震安全評価は、大きくふたつに分類され、
・原子炉建屋内の機器・配管類、
・サイトの原子炉建屋を除くすべての屋外施設(道路、送電線、変電所、空冷式ガスタービン発電機棟、地下電力ケーブルダクト、フィルタベント、海水取水塔、地下海水水路、海水貯水槽、海水ポンプ棟など)、
です。
原発システムの信頼性評価とは、原発の評価でいちばん重要な意味を持つ「炉心損傷事故発生確率」(内部事象と外部事象からなり、前者は、機器・配管事象とヒューマンファクター、後者は、地震、津波、火山、竜巻、火災、航空機衝突)の評価であり、その値は、世界的に採用されている「確率論的リスク評価手法」(イベントツリー、フォールトツリー、機器故障データの組み合わせ)で算出されます。
最も重要な数字は、
・防潮堤の工学的安全余裕度、
・原子炉建屋内機器・配管の工学的安全余裕度、
・原子炉建屋を除くすべての屋外施設の工学的安全余裕度、
・内部事象と外部事象を含めた炉心損傷事故発生確率、
です。

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