以下、大熊由紀子『核燃料』(朝日新聞社、1977)の再読の感想 スリーマイルとチェルノブイリと福島と言う後知恵での批判は、歴史評価では、してはならないルール違反、今でも、この内容は、「核燃料サイクル」の啓蒙書として生きており、これ以上の内容の啓蒙書は、世の中に、存在せず、この本の内容に対する批判者や反対者が掲げる批判根拠は、「あとがき」に記された核燃料サイクルについて、たった一言、「避けえない選択」の部分のみ

以下、大熊由紀子『核燃料』(朝日新聞社、1977)の再読の感想です。
「朝日新聞」に連載された記事は「第1部探査から廃棄物処理まで」、第2部は、加筆で、「発見から実用化まで」、単行本化の段階で、索引、年表の追加になっています。
第1部のオリジナリティは、核燃料サイクルの現場見学・調査、機器のそれまで公開されていなかった材質・寸法など、機密データが記され(専門家は、これまでなかった情報の価値に着目しますが、素人は、趣味の相違のみで、批判や否定)、現場の現状を克明につづり(専門家でも実現していないほど広範囲の分野)、啓蒙記事を超え、研究者にも参考になる分かりやすい学術記事レベルになっており(工学的難解な内容をかみ砕いて解説)、核燃料サイクルを全項目にわたり、同じくらいの文量でまとめており、公正・中立であり、推進を強調するわけでも、反対を強調するわけでもない、啓蒙書であり、連載当時の1976.7-9の社会背景は、1979年のスリーマイル島原発事故前、1986年のチェルノブイリ原発事故前であり、記事内容が間違っているわけではなく、スリーマイルとチェルノブイリと福島と言う後知恵での批判は、歴史評価では、してはならないルール違反になり、今でも、この内容は、核燃料サイクルの啓蒙書として生きており、これ以上の内容の啓蒙書は、世の中に、存在していません(私には、これほどバランス良く、全分野をまとめることはできません)。
この本の内容に対する批判者や反対者が掲げる批判根拠は、「あとがき」に記された核燃料サイクルについて、たった一言の「避けえない選択」の部分のみでした(その表現は、積極的に肯定しているわけでもなく、いわんや積極的に推進しているわけでもない)。


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