Trovatoreさんからの質問への回答 事故耐性燃料の開発では、ジルカロイの表面にCrをコーティングする方法が有力ですが、たとえ、Crのコーティングが極薄であっても、Crの中性子吸収のため、中性子経済に影響するため、燃料棒のウラン濃縮度をいくぶん高めねばならないかもしれませんが、臨界計算コードを利用し、模擬モデルで、計算したら正確に評価できます

2023年3月20日 12:20
Trovatoreさんからの質問
金属でない被覆管であれば酸化反応は起きませんが、そのような被覆管の開発は行われているのでしょうか ?

回答
NHKスペシャルの後編(2023.3.19 21:00-21:55)の最後のところで紹介されていましたが、酸化反応を抑えるか、あるいはなくす新しい被覆管が、「事故耐性燃料」として、各国で、開発されています。
番組では、踏み込んだ技術分析はしていませんでしたが、独自調査に拠れば、金属では、ジルカロイの表面にCrをコーティングするものや、非金属では、SiCなどが候補です。米国では材料照射炉で照射試験を行っている段階であり、2030年頃に実用化を目指しています。
いまの技術をいくぶん改良するだけで実現できるいちばん現実的なものは、ジルカロイの表面にCrをコーティングする方法ですが、たとえ、Crのコーティングが極薄であっても、Crの中性子吸収(熱中性子吸収断面積は、3.1 barnsと、決して小さくはない)のため、中性子経済に影響するため、燃料棒のウラン濃縮度をいくぶん高めねばならないかもしれませんので、臨界計算コードを利用し、模擬モデルで、影響の程度を計算したら正確に評価できます。
しかし、ジルカロイの表面にCrをコーティングする方法では、崩壊熱でジルカロイが1850 ℃くらいで溶融するため、炉心崩落してしまうため、一時的な緩和策になっても、抜本的な解決策にならず、それでも、苛酷事故時、炉心注水対応の時間稼ぎにはなります。

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