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思考力を高めるために

3月某日、私は学費を払うために自宅近くにある青い銀行の支店に出向きました。
同年配と見える女性の行員から、「お子さんの受験のお支払いですね。この時期多いですね。」と言われました。
私は、「いや、私のです。」といって、驚く行員をしり目に支店を後にしました。


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●大学院
そう、私は4月から、某大学が夜間でやっている社会人向け経済学大学院(経営学(いわゆるMBA)ではありません)に、科目受講生として通っているのです。
こう言うと、よく「おめでとう」と言われるのですが、科目受講(一科目ごとにお金を払って受講する)なので、入学試験を突破したわけではありません。よって「おめでとう」と言われるのはちょっと違います。
ただ、大学の成績証明書(卒業以来、初めて見ました。いまはコンビニでゲットできます。成績はひどかった・・・)や健康診断書(なぜ必要なんだろう)を提示したり、志望動機を書いて提出したりするので、一定の審査はあるようです。

●きっかけ
世界史専門塾「ゆげ塾」の動画を見たことがきっかけでした。
この塾の講師は経済学部・大学院出身であり、世界史を経済の観点から説き起こしてくれます。無論、経済以外の政治や外交、軍事、文化も説明します。
学生時代は世界史(と日本史)選択であり、経済はビジネスマンとして毎日向き合ってきました。
いささか自信を持っていましたが、この動画を見て、いかに自分の世の中に対する知識や理解が浅いかを痛感しました。
もっと勉強して、世の中に対する洞察を深めなあかんね、と思いました。

大学院に行って勉強しようかな、と思いました。
大学時代に全く勉強せずに卒業してしまったので、そのリベンジの意味もあります。ここまでビジネスマンとして経済界にいて、どこまでこの実務経験がアカデミックな世界で通用するのかという興味もあります。

●ERE(経済学検定)
いろいろと調べましたが、多くの大学院でEREという試験(経済学のTOEICのようなもの)で一定のスコアを持っていると、受験時に筆記試験が免除されることがわかりました。
まず、これを受けてみようと思いました。
内容は、ミクロ経済学・マクロ経済学というガチなやつです。

2か月ほど頑張って勉強しました。
意外なことに、思考力・記憶力・集中力は学生時代とさほど変わっていませんでした。最悪なのは老眼。老眼鏡を作りました。
2月初旬にEREを受験し、必要なスコアをクリアしました。

●TOEIC
多くの大学院受験で、私にとっての大敵であるTOEICのスコアが必要になります。
30代までスカイプ英語を使って結構真面目に勉強しましたが、こればっかりは思ったように伸びず、苦手意識を持っています。

学生時代のような勉強は回避しようと思いました。
そこで思いついたのが、古巣R社のサービス、サプリです。
ERE受験日にスタディサプリを契約し、TOEICの勉強を開始しました。
英語の勉強は私にとってはつらいものでした。単語や文法を「覚える」とか、発音に「慣れる」とかって、学問の本質ではないよね。
それでも何とか2か月弱、サプリに取り組んで、一定のスコアを得ました。
過去の最高点より微減でしたが、10年ほどまったく英語を勉強していなかったので、まずまず恥ずかしくないスコアがとれて安心しました。

●科目受講
同時並行で、科目受講の手続きをしました。
一連の経済学勉強にあたり、私の方針は、「嫌になったら辞める」でした。
私はもう十分に仕事があるので、嫌になったら途中でやめればよいのです。ここで頑張って何らかの実績(学位など)を得れば、何らかのポジションにつける・給料が上がるなどの報酬があるのであれば、嫌なことがあっても頑張らないといけないですが、私はその必要はありません。っていうか、何らかの実績が得られても、経済的メリットはありません。
しかし、お金や時間をかけてコミットしてから嫌になると、途中で辞めづらくなります。
なので、小分けにして取り組んでいく方針です。

その方針で、今年は科目受講から始めました。
二科目受講しています。

●どうなのよ?
現在、プログラムの半分ほどが経過しました。
結論、非常に面白いと思っています。これまで得てきた知識の隙間に、さくさくと情報が埋まっていく感じで、非常に心地よいです。

私は毎回予習をして、論点メモを作成して全員に提示しています。
誰もそんなことやっていませんので、講師は「では大野さんのメモに沿って議論しましょう」と言って進めてくださいます。まるで私と1on1で話しているような時間も生まれます。結果的に、私がもっとも学びが大きいことになっています。
ちなみに講師はお二人とも私よりも年若ですが、まったく気になりません。私よりもよく知っている人は、その領域では全員師匠です。そういう意味でも、学びに年齢は関係ありませんね。

●いったい何のために?
なぜ今更、実務に関係のない経済学を学ぶのか。
理由は二つです。

・世間に対する洞察を深める。
例えば、なぜリッチな国とそうでない国があるのか。
部分的な説明や、自分の狭い経験から説明することはできます。しかし、歴史や制度などから網羅的に、説得的に説明することはできません。
少なくとも、経済学という学問としてある程度確立された窓から社会を見て、自分なりに納得できる説明をする知見を得たい、そう思っています。
なぜ、この社会はこうなっているのかについて、洞察を深めたいというのが理由です。

・思考力を高める。
覚える学問・調べる学問に、今や意味はありません。
自分の頭で考えよう、と思っていても、気づけばGoogleで調べているだけという自分に気づきます。これから必要なのは、調べる力ではなく、考える力です。

偶然ながら同時期に、AIが我々一般人の手元まで来ました。
もう過去の知識が頭に入っていることが意味をなさなくなる時代が目の前に来ています。そんな時に必要なのは、思考力です。
Googleでいろんなことが調べられるにもかかわらず、我々は悩みごとから解放されていません。AIが浸透しても、人間は悩み続けるでしょう。
その悩み事を解決するのは、思考力であると思っています。

経済学は、あくまで思考力を高めるためのトレーニングツールであると、割り切って考えています。
思考力を高めるためのツールであれば、自分が好きでfamiliarな領域のほうが良いです。そう思って選びました。

●いったいどこにいくのか?
嫌なら辞める方針なので、いつどこで方針転換するかわかりませんが、今もっているモチベーションは意外に長続きしそうです。
以前、『バッタを探しにアフリカへ』という若手昆虫学者の書籍がベストセラーになりました。その作家のように、『真理を探しに経済学へ』という書籍を書いちゃうかもしれません。その場合、第一章はこのPostになるでしょう。

●どこにそんな時間があるの?
非常によく聞かれる質問です。
実はこれには革命的な理由があります。
それは「お酒を辞めたから」。これに尽きます。
よく考えると、自分が使えるavailableな時間の多くを、酔っ払って過ごしていました。
お酒を辞めると、毎日数時間集中して使えます。また、二日酔いにならないからか、情熱が途切れません。
お酒を辞める効果は、健康や肥満だけではなく、時間にこそあります。まさに時間革命です。(といいながら、会食はコロナ明けでかなり復活しています。私はノンアルで行きますので皆さんご一緒させてください!皆さんは気にせずたくさん飲んでくださいね~)
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お陰様で、先日誕生日を迎えました。
48歳のおっさんですが、28歳のときより、はるかにexcitingな毎日を送っています。
上記の通り、お酒は飲みませんが、会食はコロナ前同様バンバン行きますので、皆さんお付き合いください。

『人の生涯は、ときに小説に似ている。主題がある。』(竜馬がゆく) 私の人生の主題は、自分の能力を世に問い、評価してもらって社会に貢献することです。 本noteは自分の考えをより多くの人に知ってもらうために書いています。 少しでも皆様のご参考になれば幸いです。