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「安い国家ニッポン」への処方箋

我が国は、他国が成長する中、30年成長していないと言われている。
それゆえ、人件費も安く、それに対応して物価も安い。円安も相まって、外国人にはかなり安く見えるようだ。「安い国家ニッポン」と言われる所以である。
こうなってしまった背景には、こうなる原因があるわけであり、それ自体は、そう簡単に克服はできない。克服できるなら、とっくの昔にしているはずである。
克服どころか、多くの識者が言うように、衰退ゾーンに入っていく可能性も高いだろう。

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世界史を概観すると、資本が衰退地域から成長地域に移動していったことがわかる。
世界が経済でつながった大航海時代あたりをスタートとすると、イタリア→オランダ→イギリス→アメリカと資本が移動していった様子が見て取れる。
イタリアの商人が、今後勃興するであろうオランダに投資をした。オランダの商人が、成長市場であるイギリスに投資をした。これは歴史や経済の必然である。

ここから先が仮説なのだが、投資をし、その投資が成功したら、その投資からリターンを得ているはずである。そのリターンを衰退している自国の経済に還流させて、衰退のスピードを遅らせてソフトランディングさせたのではないかと考えている。
前述の事例で言えば、イタリアもオランダもイギリスも、覇権国家ではなくなったが、その後も世界の先進国の一角として、相応の国民生活を維持してきたように見える。そこには、投資家らのリターンを還流させたのが要因になっていると類推する。

西洋経済史関連の書籍を読んでも、成長国家が次の覇権を握る過程については、当然に詳細に書いてある。しかし、過去の経済大国が、その後どういう経緯を経たのかの記述は少ない。そこに関心を持っており、この仮説の正否をリサーチしたいと考えている。

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未来人である我々は、単に「成長市場に投資をした」と考えてしまうが、当時の人々の立場に立ってみると、そう話は単純ではないだろう。
自国も含めて複数の投資先があったはずである。投資先も、地域と産業のマトリクスがあると考えると、さらに複雑な投資意思決定であったと思われる。中には投資に失敗し、財産を失った人もいるだろう。
当時の彼らが、どういった投資方針に基づき、どんなポートフォリオで、どの程度のリスクを取ってこれらの投資をしたのか、考えたい。

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翻って、我が国の資産ポートフォリオの形成にどう生かせるかを考えたい。我が国には1400兆円の個人金融資産があると言われているが、ほとんどが国内にとどまっており、しかも預金・保険・年金等の安定資産に配分されている。
そしてその資金が、金融機関を通じて国債投資に充てられているのが現在である。
つまり、今後他の成長市場があったとしても、過去の経済大国のように、成長市場への投資からのリターンを国内に還流することはできない状態であると言える。

我が国の財政の状況を考えるに、下手に海外に資金を移動させると、国債の信用力に影響があり得るので、海外への投資は、投資余力を慎重に見極めて行わなければならない。よって、まずは理想論ではなく、財政・金融政策も考慮に入れたうえでの現実的な投資余力の見極めが肝要であろう。

そのうえで、アジアやアフリカ等の今後の成長が見込める地域への投資を行うことで、最適なポートフォリオにシフトしていくことを提言したい。
地域について言及したが、産業に投資していくという考え方もある。むしろ、ボーダーレスな現代社会においては、むしろ産業別にポートフォリオを組むという考え方のほうが妥当かもしれない。

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以上をまとめると、現時点の興味・関心の対象は以下の通りである。

①過去の経済大国が、成長市場への投資のリターンを得て、自国の国民生活を維持した過程について検証したい。
②当時の彼らの立場にたって、当時の投資方針・ポートフォリオ・リスク許容度などを分析したい。
③我が国の投資余力を見極めたうえで、成長市場・産業への資産シフトを入れ込んだポートフォリオを提言したい。

『人の生涯は、ときに小説に似ている。主題がある。』(竜馬がゆく) 私の人生の主題は、自分の能力を世に問い、評価してもらって社会に貢献することです。 本noteは自分の考えをより多くの人に知ってもらうために書いています。 少しでも皆様のご参考になれば幸いです。